しんどいとき助けになる音楽(32)〜 サマーラ・ジョイ
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Samara Joy / Linger Awhile
みなさんよくご存知のとおり、ぼくはコンテンポラリー・ジャズにおけるレトロ・スタイルがこのうえなく大好き。そもそも大学生のころから1920年代ディキシー/30年代スウィング・ジャズの古いSP音源をリイシューしたLPレコードばかりこれでもかと親しんでいましたから、現行レトロ・シーンにはまっちゃうのは必然みたいなもんでした。
サマーラ・ジョイもまたそうした黄金時代へのノスタルジアを音楽で表現している歌手。デビューしたときからファンでしたが、二作目『Linger Awhile』(2022)でますます大好きになりました。だって聴いていると気持ちいいんだもんね。
管楽器が参加している曲もありますが、基本的にはギター+ピアノ・トリオというシンプルな編成で、淡々とおだやかに歌うサマーラがいいと思います。まったくなんの変哲もないスタンダードなジャズ・ヴォーカルで、個人的にはそんな音楽もまた大の好みなんです。
いまはもう2020年代なんだから、なにかもうちょっと新しいことできないの?という向きもあるかもしれませんが、現行レトロ・シーンにそんなことを言ってもムダなこと。それになにより本人たちがこうした音楽が大好きで心から楽しんでやっているとよくわかるじゃないですか。
こないだレイヴェイの記事が『Variety』誌に載っていましたが、いはく「まるでちょうど100年前に生まれてきたような音楽家」ですって。まさにそうですよね。サマーラ・ジョイについても同じことが言えます。
(written 2023.9.22)
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