トルコ風味の消えたジャジー・ポップスがいい 〜 カルスの新作EP
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Karsu / Beste Zangers 2021
きのう書いたトルコ系オランダ人歌手のカルス。ああ言っていたら、こないだ今年の新作が出たようです。四曲約15分というEPで、『Beste Zangers 2021』(2021)というタイトル。
今回は、きのう書いた2019年の前作『Karsu』と違い、トルコ風味はゼロ。全面的にジャジー・ポップスに専念した内容で、これですよ、これ、カルスはこういうもののほうが本来の持ち味を発揮できる歌手です。はたしてぼくの願いが通じたわけじゃありませんが、これは歓迎ですね。
出自がトルコ系で、しかも応援してくれているファンがトルコには大勢いるそうなので、そちら方向に配慮するというのは理解できるんですけども、自分の資質・持ち味を慎重に吟味検討して、こういったジャジー・ポップスを全面展開したEPを発表したのはいいことじゃないですか。
1曲目は軽いアクースティック・ギター・サウンドに導かれ、ふわりと歌いだすその導入部で、すでにいい雰囲気を出しています。演奏は生バンドでしょうね(っていうか、このEP、そもそもライヴ・アルバムか?)、オーガニックなサウンドで、それもカルスの持ち味にピッタリ。
2曲目は、なんだかちょっぴりガーシュウィンの「サマータイム」を思わせる曲で、しかもオペラっていうより、1920〜30年代あたりのレトロなジャズ・ソングふうっていう、なかなかムードのある一曲です。もりあがる箇所での声の張りかたにはややおおげさなところもありますが、従来的なジャズ・シンガー・スタイルでしょうね。
ちょっとヨーロッパ大陸っぽい感じの3曲目に続き、4曲目は軽いレゲエ調。前作にもレゲエ、ありましたね。カルスはレゲエ好きなのかもしれません。ここでは英語で歌っていて、バンドの演奏はレゲエ・ビートを使いながらもジャジーで、やはりカルスにはこういうのが似合います。
(written 2021.10.1)
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