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ブライアン・オーガーがカ〜ッコイイ

(4 min read)

Brian Auger / Introspection

萩原健太さんに教わりました。

いままでずっと知らずに来ましたが、ブライアン・オーガー、な〜んてカッコイイんでしょうか。英国のソウル・ジャズ鍵盤奏者で、1960年代からやっているそうです。オルガンだったりエレピだったりアクースティック・ピアノだったり、どれもグルーヴィで、ノリがよくて、こりゃいいなあ。こんなにすばらしい鍵盤奏者を人生でずっと知らずに来たなんて。でも健太さんの紹介で聴くことができたからうれしいですね。

そんなブライアン・オーガーの『イントロスペクション』(2020)はベスト盤で、いままでの50年以上にもわたるブライアンのキャリアのなかから全体を俯瞰するように35曲をピック・アップし、CD だと三枚に収録したものですね。ぼくは CD 買わずに Spotify で聴いていますから、ディスク一枚ごとの区切りがわからず、全体がつながっているのがあれですけど。データもないからブライアン・オーガー 初体験者にはどの曲が何年のどのアルバムにあるんだなんてこともさっぱりわからず。

でもカッコイイ曲はまじカッコよくて、しびれます。1曲目の「フレディーズ・フライト」からごきげんですが、このままの調子で最後まで三時間以上を突っ走っていますから感心しますよね。ブライアンの音楽はたぶんジャズ・ベースだなとは思うんですけど、そこにブルーズ、リズム&ブルーズ、ロック、ソウル、ファンクなどが渾然一体となって溶け込んでいて、これ以上ないうまあじを聴かせてくれます。まさに文字どおりの意味での「フュージョン」!

よく知っている曲もけっこう入っています。3曲目「バタフライ」(ハービー・ハンコック)、6「ミッドナイト・サン」(ライオネル・ハンプトン)、8「インナー・シティ・ブルーズ」(マーヴィン・ゲイ)、などなど。ほかにもニンマリとする瞬間が随所にあって、聴いていてなごめますし、うれしいですね。ジャズ・ファンクになった11「ファンファーレ・フォー・ザ・コモン・マン」(アーロン・コープランド)からそのままファンクな「ブルー・ロンド・ア・ラ・ターク」(デイヴ・ブルーベック)になだれこんだり、ジェイムズ・ブラウンの「ゼア・ワズ・ア・タイム」が出てきたりジョン・コルトレインの「至上の愛」のリフが入ったり(そういう曲名にはなっていない)。

アルバムはブライアンの極上の鍵盤プレイをフィーチャーしたインストルメンタル演奏が主体だと思うんですけど、ヴォーカルが入って歌をやる瞬間もかなりあり。ヴォーカルが入ると俄然リズム&ブルーズ/ソウル色が強まりますね。楽器演奏曲はソウル・ジャズみたいな感じのものが多いと思います。スタジオ録音もライヴ収録もあり。

ブライアン・オーガーは1960年代からずっと来て、現在でも現役ということですけど、60/70年代にこういった音楽をやっていたのなら、さしづめいっときのレア・グルーヴ界隈でさかんにとりあげられたんじゃないかという気がします。しかしそれと同時に本人はずっとそんなクールな音楽を現役でやってきているわけで、さかんにサンプリングもされるらしく、さもありなんと思えるだけの超絶グルーヴィな鍵盤プレイ、ファンキーな音楽がここにはありますね。

(written 2020.6.6)


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