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人気サンプリング・ソース 〜 ブラザー・ジャック・マクダフ

(3 min read)

Brother Jack McDuff / Moon Rappin’

ジャケット・デザインが(ぼく的に)悪いと、どうしてもちょっぴり聴く気が起きにくいというダメ・ルッキズム人間なんですけども、それでもジャズ・オルガン奏者、ブラザー・ジャック・マクダフの『ムーン・ラッピン』(1970、ブルー・ノート)、中身は上々。もうちょいおしゃれでカッコいいジャケだったらなぁ。

特に2曲目「オブリゲットー」がクラブDJやヒップ・ホップ系ミュージシャンのあいだで人気のサンプリング・ソースだということで、この一点でもっていまでも話題になり生き残っているアルバムだということでしょう。

道理でこないだはじめて聴いたアルバムなのに、2曲目が流れてきたら、アッ知ってるぞと思ったわけですよ。といってもヒップ・ホップとかサンプリングを多用した音楽とか、ふだんそんなには聴いていないですから、たぶんブルー・ノート・ジャズのサンプリング・ソース集コンピレみたいなので耳にしていたんだと思います。

そうやって甦らなかったら、本作なんて遠い過去の歴史のちりの山のなかに埋もれてしまっていたに違いなく、実際なっかなかCDリイシューもされなかったし、ずっと長らく廃盤のままで、マクダフとブルー・ノートはそんなに縁が深いわけでもありませんから、ファンだって忘れていたかもしれません。

それを掘り出してサンプリングするミュージシャンは、だから廃盤になったアナログ・レコードで聴いていたということで、ってことは中古レコード・ショップで買うしかないわけですから、以前もちらっと触れましたけど、DJとかクラブ系のひとたちっていったいどんだけあさってどんだけ聴いているのかと感心しますよね。

そうしたおかげで、いま2022年のぼくもサブスクで難なくこのアルバムに接することができるようになっています。嗚呼ありがたや。2曲目だけでなく、アルバム全体にグルーヴィでノリよいカッコいい瞬間が多少あって、しかもジャジーにインプロ・ソロを飛ばしまくるというふうでもないですから、ジャズ・ファン以外にもあんがい聴きやすいという面だってあるのかも。

(written 2022.9.5)

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