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演歌好き

(4 min read)

My Favorite 演歌スタンダーズ

もう間違いないので、臆せず正直に言っておきたい、ぼくは大の演歌好き。邦楽のなかでは圧倒的に演歌がNo.1。17歳で米ジャズにハマって以後は長年遠ざけていたものですけれど、思い出したきっかけはやっぱり2017年にわさみん(岩佐美咲)が好きになって応援するようになったこと。

ぼくら世代のジャズ狂なんかが演歌好き、それも根っからのそれだというのを告白するのは、ちょっぴり勇気がいることなんですよ。でもブログなんか演歌関係の記事が増えてきて、こいつそうなんだなと周囲に疑いなく思われているだろうと確信するようになりましたので。そもそもが筆致だって違うもんねえ。

演歌聴いてりゃ楽しいんだもんなあ。ぼくが好きと感じる演歌は、2010年代以後的な第七世代じゃなくて、いやそれもマジ好きだけど、もっと古典的な1980年代くらいまでのものがいちばん。都はるみ、八代亜紀、石川さゆり、藤圭子、森進一、北島三郎、そのへんです。

そういった演歌なら、聴いて快感で、テーマを見いだし考えて楽しくて、文章書くのもらくちんスムース、すいすい書けて、これ以上ぼくの琴線に触れる音楽があるのか?と思うほど(言いすぎ)。

そのあたりすべてサブスク(ぼくのメインはSpotify)にあるっていうのもぼく的には意味の大きなこと。実をいうと生まれてこのかた演歌のレコードやCDを買ったことは一度もないんですね。ヒットしているものはすべてテレビジョンの歌謡番組で聴けましたから。それが17歳までのぼくの音楽ライフでした。

それを60歳近くになってとりもどしたっていうのは、もう圧倒的にサブスクの力が大きい。検索すればパッと見つかって、自室でもお散歩しながらでもカフェでもレストランでもクリニックの待合室でも、その場で即聴けるっていうのがどれほど大切なことか。もしサブスクがなかったら、ここまで演歌好きの血が甦らなかったのは間違いないですから。

共感しているのはもちろん歌詞部分じゃありません。そっちはですね、いま聴くとどうにもならないっていうか、このジェンダー平等が求められる時代にありえない男尊女卑フィール満載で、そこを意識しはじめたらとうてい演歌なんて聴けません。民謡もそうで、そもそもそうした現代感覚を求める世界じゃありませんから。

いいなと思うのは陰影のくっきりしたあざやかなメロディ・ラインとか、おなじみのコード進行とかサウンド・メイクとか、ラテン・ミュージック由来の跳ねるビート感とか。北島三郎の「まつり」だって変形クラーベ(1・2)ですから。

歌手もみんなうまいし、発声が鮮明で節まわしも楽しい。これはちょっと…みたいなことをふだんよく言うので好ましくないと思ってんじゃないかとかんぐられていそうなぐりぐり濃厚な強いコブシやヴィブラートだって、きらいなんかじゃなく大好き。八代亜紀のそれなんかよだれが出るくらい。

古典演歌好きっていうのは、ひょっとしたら古典落語好きとか、ティン・パン・アリーのアメリカン・ポップ・スタンダードをジャズ系歌手がそのままストレートに歌うのが好きとか、つまり一種の伝統芸能愛好ということかもしれないですね。

とにかく演歌は聴いて気持ちよく楽しくワクワクする。それだけ。

(written 2022.11.27)

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