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拡大された『24 ナイツ』でもブルーズ・サイドが好き 〜 エリック・クラプトン
(4 min read)
Eric Clapton / blues side of The Definitive 24 Nights
CD二枚組だったエリック・クラプトンの『24 ナイツ』(1991)が拡大されてCD六枚+ブルーレイ三枚というボックスになった『The Definitive 24 Nights: Deluxe Box Set』(2023)から、CD2のブルーズ・サイドだけ抜き出して一個のプレイリストにしたのが上のリンク。
1990/91年のロイヤル・アルバート・ホール長期レジデンシー公演からのライヴ音源だった『24 ナイツ』のことは個人的にちょっと好きでずっときているというのが事実。昨年一度書きました。
なかでも好みだったのがCD1後半四曲のブルーズ・サイド。バディ・ガイ、ロバート・クレイ、ジョニー・ジョンスンなどUSアメリカの黒人ブルーズ・ミュージシャンを一同にバンドにむかえ数々のブルーズ・スタンダード・チューンをくりひろげていたもの。
90年代あたりからのクラプトンがやるブルーズについては、特に次作にあたる『アンプラグド』(92)なんかできわだっていましたがクロウト筋からは散々な評判で、世間的にバカ売れしたという事実とは裏腹に従来からのブルーズ(・ロック)・ファンからは「こんなのダメ」と言われたものでした。ブルーズ・アルバム『フロム・ザ・クレイドル』(94)にしてもそう。
なんの心境かあのころクラプトンはかなり意識して積極的にブルーズ・スタンダードをたくさんやっていましたが、端緒となったのが『24 ナイツ』のブルーズ・サイドだったんじゃないでしょうか。その後しばらく連続していますからね。キャリア初期からブルーズばかりなひとですけれども。
あくまで個人的にはですね、『24 ナイツ』ふくめこのへんのクラプトンがやるあっさりこぎれいなこじんまりブルーズのこともちょっと好きで、エモーションとかスケール感とかはないものの、聴きやすいし、なんだかね、うんシティ・ポップ的洗練というか、とにかくさっぱりしていて胃もたれ胸焼けしないんです。
泥くさくないおしゃれでスタイリッシュなブルーズってわけで、裏返せばいくら聴いても心に残らないガツンと来ないものですから、そんなのちょっとね…とみなさんおっしゃるのはマジで理解できます。ぼくもかつて同じでしたから。この歳になってくると薄塩味がいいってだけの話で。この手の告白が恥ずかしくなくなったし。
ですから1991年オリジナル『24 ナイツ』でたった四曲だったブルーズ・サイドがディフィニティヴ版では13曲1時間28分となり、これでもかとたっぷり楽しめるのは(ぼくにとって)うれしいんですね。もとの四曲もきちんと再録されているし。
91年オリジナルにはなかったバディ・ガイやアルバート・コリンズなどクラプトン以外が歌うナンバーも収録されていますし(違いがきわだっていますけど)、一曲ジョニー・ジョンスンが完璧1930年代スタイルのブギ・ウギ・ピアノを披露するものだってあります。そういうのはどうやったってオリジナル版には入れられなかったものでしょう。タイトなファンク・ブルーズも複数あっていいですよ。
なお、このブルーズ・サイド、通して聴くと起承転結があって、一回のコンサートをそのまま収録したみたいな流れに聴こえますけど、じっさいには90年ものか91年か、日付だってバラバラでしょうし、それぞれベスト・テイクと判断できたであろうものを並べてつなげてあるんでしょう。
(written 2023.6.27)
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