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快感度数の高いジャズ・ボッサ 〜 ジョアン・ドナート

(3 min read)

João Donato / Muito À Vontade

ジャズ・ボッサ史上No. 1ピアニスト、ジョアン・ドナート(ブラジル)。最近アナログ・リイシューされたらしいアルバム『Muito À Vontade』のオリジナル・リリースは1963年でしたっけ。Spotifyのでは1962となっていますけど、63年じゃないかなあ。

それで、ジョアン・ドナートの1960年代ジャズ・ボッサ・アルバムは、去年『A Bossa Muito Moderna』のことを書きましたが、あのときは姉妹作品みたいなこれら二枚が 2in1 でCDリイシューされたんでした。今回ヴァイナル・リイシューになったのは『Muito À Vontade』のほうだけなんですかね。

いずれにせよ編成はジョアンのピアノ・トリオ+パーカッション。四人で趣味のいいサロンふうっていうか室内楽なジャズ・ボッサを演奏しているんですが、これがもう快適そのもの。極上のムードなんですね。決して激しかったりしないし、かといってふわっとしたバラードみたいなのでもなくて、すべてが中庸テンポのおだやかなジャズ・ボッサ。

なんの歯ごたえもないよ、とみる向きもおありでしょうが、部屋のなかで流しながらくつろぐにはこれ以上ない好適な音楽なんですよ。ブラジルにはこの手のリラクシング・ミュージックがわりとあるなと前から思っていますが、選択肢が豊富なのはさすが世界一の音楽大国です。

ジョアンのピアノのうまさもきわだっているし、歯切れよい正確な鍵盤タッチで、あくまで曲のムードをこわさないように雰囲気重視で演奏していますよね。リズム・セクションは脇役ですけど、ドラマーなんかもハイ・ハットとスネアを中心に地味なリズム・キープ役に徹し、ボンゴのアマウリ・ロドリゲスもいい味を添えています。

なかにはちょっとハード気味っていうかリズムにエキゾティックな味があるかも?と思える曲も混じっていたりして。たとえば6曲目なんかはリズム重視ですし、ジョアンも強めに鍵盤を叩いていますよね。ラスト12曲目もなんだか出だしのピアノ・フレーズからして異色です。ちょっぴりアフロ・キューバンっていうかカリビアンかも。

ともあれ、こんなにも気持ちいい音楽、なかなかないんですよね。

(written 2021.1.18)

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