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これもジャズから連続的に産み出されたものなのだ 〜 クーティ・ウィリアムズの40年代エンタメ・ジャンプ

(4 min read)

Cootie Williams Selection

きのう書いた『ホット・リップス・ペイジ・セレクション』と同時期に作成したSpotifyプレイリストがきょう話題にしたい『クーティ・ウィリアムズ・セレクション』。上でリンクしておきましたが、CDだとやはりこれも仏クラシックスの(廃盤)で、サブスクだと同じく「Complete Jazz Series」で、年代順に聴けます。

クーティの「Complete Jazz Series」は1941年1月録音からはじまっていますね。デューク・エリントン楽団で名をあげたこのジャズ・トランペッターは、40年にそこを辞めベニー・グッドマン楽団に移籍しています。

しかし一年で脱退し自分のバンドを結成して活動するようになってからは、王道ジャズというよりブラック・エンタメ系にハミ出したブルーズ由来の猥雑ジャズをキャピトルやマーキュリーなどに録音しはじめたのが、ですから41年のことです。

仏クラシックスのCDもサブスクの「Complete Jazz Series」も、1949年9月録音で終了していますが、Wikipediaによれば50年代のクーティの活動はどうもよくわからないらしく、人気が凋落し、そもそもバンドの規模も少人数編成にしていたそうで、なにがあったんでしょうね。

1962年にデューク・エリントン楽団に復帰して以後は、同楽団で王道ジャズ路線を死ぬまで続けたクーティですが(85年没)往時の輝きはもはやなく。ぼくみたいなリスナーには自身のバンドでの40年代ジャンプ系録音がいまでも最高に楽しくて忘れられませんわ。

すくなくともその40年代音源だけはサブスクでも漏らさずぜんぶたっぷり聴けるんで文句なしです。30年代にはデュークのところで輝かしいキャリアを誇ったクーティが、その後自分のバンドでこうしたエンタメ系へと移行したのはなぜだったんでしょう。なんにせよ彼我の区分を厳密にせよというのはどだいムリな話。

正直に言って、ジャズ/リズム&ブルーズ/ロックの区別をしたがるそれぞれファンのことがぼくはさっぱり理解できないです。好みはひとそれぞれあるからやむをえないにしても、もしどれかを否定する方向に走ると自分の足下もあやうくなるっていう事実を認識してほしいものです。

クーティみたいな音楽家のキャリアをじっくり聴くと、ますますこの感を強くしますね。自身のバンドでの1940年代音源では、ジャズを土台におきつつ大きく芸能方面に踏み出してジャンプ〜リズム&ブルーズをやっていたことは、聴けばだれでもわかるはずのこと。

なかには1949年の「レット・エム・ロール」「スライディン・アンド・グライディン」「マーセナリー・パパ」みたいな、こりゃもう(初期型)ロックンロールだろう、すくなくともその先駆けには違いないと断言できるものだってあるんですから。それらだってジャズから連続的に産み出されたものですよ。

ブラック・エンタメ系にハミ出した1940年代クーティ自己名義音源に(かつてのデュークのところでの「コンチェルト・フォー・クーティ」みたいな)ジャジーなスリルとか快感はないかもしれませんが、曲のノリと猥雑感がこの上なく楽しくてですね、これもまた別の種類の音楽美なんです。

(written 2022.4.12)

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