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いまどきとは思えない古典的ハード・ロック 〜 ラーキン・ポー

(3 min read)

Larkin Poe / Self Made Man

萩原健太さんのブログで知りました。

いまどきめずらしい古典的なブルーズ・ベースのハード・ロック・バンドでしょうね、ラーキン・ポー(Larkin Poe)。通算五作目らしいアルバム『セルフ・メイド・マン』(2020)を聴きました。ラーキン・ポーは二人姉妹バンドで、その遠い祖先がかの作家エドガー・アラン・ポーにつながっているとのこと。ラーキン・ポーというバンド名も二人の曾々々祖父の名前だそうです。

1曲目の出だしからしてもう笑っちゃうというか、まるで1960年代末のレッド・ツェッペリンかオールマン・ブラザーズ・バンドかっていうサウンドで、このバンドの音楽志向がよくわかります。二人組なので、ベースやドラムスなどはサポート・メンバーがいるのか、自分たちでの多重録音か、どっちかでしょうね。姉妹の姉メーガンはラップ・スティール・ギター担当ということで、けっこう粘っこくブルージーなプレイで聴かせます。ロバート・ランドルフっぽくもあり。

妹レベッカは通常のエレキ・ギターですが、それもゴリゴリのオールド・ファッションドなハード・ロック・スタイル。リード・ヴォーカルをどっちがとっているのかはぼくにはわかりませんが、それも鋭く野太い声で感心しますね。アルバム収録曲はどれもハードなブルーズ・ロック。オリジナル曲ばかりのようですが、6曲目の「ガッド・ムーヴズ・オン・ザ・ウォーター」だけはカヴァー。ブラインド・ウィリー・ジョンスンもやったトラディショナルですね。9曲目「デインジャー・エンジェル」の土台だけがめずらしくアクースティック・サウンド。

エッジの尖ったハードなエレキ・ギター(&ラップ・スティール)で構成されるハード・ロック・リフを基調に演奏を展開し、そこにゴリゴリのヴォーカルが乗るという、いかにもな古き良きブルーズ・ハード・ロックをやるラーキン・ポー。そこに2020年ならではの現代性みたいなものがちょっとでも混じり込んでいるのか、ぼくにはちょっとわかりません。

でもオールド・ファンの頬をゆるませる音楽には違いなく、ツェッペリンあたりのファンだったらニンマリしそうな作品に仕上がっていますよ。タイラー・ブライアントがゲスト参加の4曲目「バック・ダウン・サウス」では深い南部音楽愛を表明していたりします。

(written 2020.8.1)


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