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クラプトン『24 ナイツ』がわりと好き

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Eric Clapton / 24 Nights

それにしてもエリック・クラプトンって、そのファンであることがちょっと気恥ずかしいような存在だということなのか、多くのみなさんが遠慮しながら自嘲気味に発言しています。ぼくにはもうそんな若々しい気分なんてないので、いいものはいいと素直に言いたいです。それが歳を重ねたということ。こんなこと言っていいだろうか?笑われない?って思わなくなりました。

それで、全肯定の熱心なファンを除けば一般にはクラプトンって1980年代なかごろまでだった音楽家という見かたが支配的で、ぼくも同意見ではありますが、それ以後の作品にだって好きなものはちょこちょこあります。その一つが1991年発売の『24 ナイツ』。CDだと二枚組でした。

このライヴ・アルバムがなんであるか、ロイヤル・アルバート・ホールでの連続公演のこととか、四部構成でそれぞれテーマがあってバンド編成ががらりと違うとか、調べればくわしい解説が出ますので、どうぞ検索なさってください。該当Wikipediaを読むだけでもおっけ〜と思います。

個人的に好きなのはディスク1の2パート。1〜4曲目が1960年代のクリーム・ナンバーを中心に4ピース・バンドでの再演。5〜8がブルーズ・サイドで黒人ブルーズ・ミュージシャンを従えてのカヴァー集。これらがぼくには心地いいんですね。

こういうと、60年代からロックやクラプトンを聴いてきている筋金入りのみなさんには、アンタ気は確かか?と思われそう。だけど、個人的な嗜好のことにはだれも注文つけられませんから。それを隠さず正直に堂々と言える年齢になってきましたので。

1〜4曲目(2は新曲)なんて、クリームのオリジナル・ヴァージョンよりずっと好き!(えっ?)って思えるくらいですから。特に「バッジ」と「ホワイト・ルーム」。90年代にもなってなんでそんなのやってんの?懐メロかよ!と悪口も言われたでしょうが、バンド演奏のキレとビート感がオリジナルよりずっと好き。ぼくは。

ドラマーはスティーヴ・フェローンで、ずいぶんシャープなドラミングをするので、大好きなんです。そのほか三名、合計たったの四人でやっているのに不足ないゴージャスなサウンドに聴こえるし、ライヴ演奏にしてはスキがないし、クラプトンのギター演奏だっていつもに増してきわだっています。

5曲目以後のブルーズ・サイドでぼくがいつもじっくり聴いてしまうのは6「ハヴ・ユー・エヴァー・ラヴド・ア・ウーマン」。クラプトンにとっては60年代から数えられないほどくりかえしやってきた最頻演得意曲で、そのあまりに手慣れた感ゆえ、ここでは悪くいえばクリシェだらけのつまらない演奏に堕しているとも聴こえます。

ギターの音色づくりにしたっていかにもだし、フレイジングも手癖だらけのオン・パレード、妙にこぎれいな清潔感ただようとても流暢ないっちょあがり的演奏、こんなの「ブルーズ」じゃないよというのが一般のブルーズ/ブルーズ・ロック愛好家の意見でしょう。ぼくもおっしゃるとおりと思うんですけども。

それでもなにかの心地よさ、聴きやすさがこの「ハヴ・ユー・エヴァー・ラヴド・ア・ウーマン」にはあります。非ブルーズに落ちることの危険性ととなりあわせになった平坦なおだやかさ、エモーションがほとばしらずこぼれおちたりなどいっさいしないありきたりの日常性が、ニセモノ・ブルーズであるとはうすうす感じながらもの愛好感にぼくのなかではつながっているんです。むかしから。

(written 2022.9.4)

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