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しんどいとき助けになる音楽(25)〜 ジョン・コルトレイン

(3 min read)

John Coltrane / Soultrane

実をいうとジョン・コルトレインの全作品でいちばん好きなのがプレスティジの『ソウルトレイン』(1958)なんですけど、こんなやつファン失格でしょうか?吹きすぎない(といってもたっぷり吹いているけど)中庸さおだやかさ加減がいいと思うんですよね。

大学生のころ最初に買ったトレインのレコードがこれだったという理由もなかなか大きくて、その後アトランティック、インパルスと移籍してからのものにイマイチなじめなかったぼくは、結局いつも『ソウルトレイン』に戻ってきます。

つまりまだスタイルが過激にとんがっていない時代のものということで、曲もオリジナルはなくてスタンダードな他作で占められているのをほどほどのいい感じに、とんがらず、吹きこなしているっていうのがですね、ぼくの趣味には合うんです。

だから保守派ですね、ぼくの音楽趣味は。タッド・ダムロンの1「グッド・ベイト」からのんびりのどかなフィーリングがいいし、続くビリー・ストレイホーン「アイ・ワント・トゥ・トーク・アバウト・ユー」もきれいなバラードをそのままストレートに演奏していてなごめます。A面はこの二曲だけ。

B面はもっといいですよ。三曲なんで一個一個の演奏時間が長すぎないのも聴きやすいし、音楽スタイルだってねえ、なめらかで、個人的にはこういうジャズこそ大好き。いまの気分だとなおさらです。

ところでB面の三曲でいちばん好きなのは4「シーム・フォー・アーニー」なんですけど、しずかできれいなメロディでいいですよね。でもこれだれが書いた曲だろう?と思って見たらフレッド・レイシーという名前が書いてあるんです。だれでしょうね、知らないなあ。

ネットで調べてもまったく情報が出てこないし、そもそも「シーム・フォー・アーニー」だってここで聴けるトレイン・ヴァージョン以外みたこともないですし、どうもあやしいぞ。ひょっとしてこの曲はトレイン・オリジナルで、なにか事情があって変名で登録したとかじゃないかという可能性があるかも。

(written 2023.9.13)

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