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原田尊志の直感 〜 オマール・ペンとカーティス・メイフィールド

(3 min read)

Omar Pene / Climat

Curtis Mayfield / New World Order

セネガルのオマール・ペン最新作『Climat』(2021)、ほんとうに気に入っているので、その後もくりかえし聴いていますが、自分でもブログに上げたあとエル・スールのHPで発見したこのアルバムの紹介文末尾に余滴のように添えられていた文章が、実は気になっています。

店主原田尊志さんいわく 〜〜

(それにしても、聴いているうちに、歌い手の資質も全然違うのだし、まったくもって、適切な喩えではないんですけど、なぜか、唐突に、カーティス・メイフィールドの晩年作を思い出してしまったということもありました。というようなことは、音楽的平衡感覚を失っている耳の持ち主であるワタクシ事でしかないのですが…)

〜〜

謙遜していますけど、ちょっと鋭い嗅覚じゃないでしょうか。

カーティス・メイフィールドの晩年作って1996年の遺作『ニュー・ワールド・オーダー』のことです。1990年のアクシデントで下半身不随となって以後はこれしかないんですから間違いありません。

それとオマール・ペン『Climat』との共通性、それはひとことにして、おだやかで落ち着いたサウンド・フィールということでしょう。静かな諦観に裏打ちされたややダークな表情と陰で哀感に富む色調など、印象として通ずるものがたしかにあるなあと思いあたりました。

もちろん違いもかなりあります。オマールのほうは生演奏楽器でオーガニックにサウンド・メイクしているのに対し、カーティスのアルバムのベーシック・トラックは基本コンピューター打ち込み。終末感すら濃暗く漂うカーティスに比し、オマールの音楽には生の祝祭感もあります。

それでも4「Climat」や8「Lu Tax」といった哀感が支配するナンバーや、あるいは7「Fakatal」なんかでも、間違いなくカーティスのアルバムを想起させる暗さ、ダウナーさがあるし、それら以外の陽なナンバーでもオマールは落ち着いていてややダーカー。いったん沈み込み、それをバネにしなやかさで躍動するといったフィーリング。

音楽の種類もなにもかも違う二作ではあるんですが、言われてみてはじめてこれら二作の共通性に気がついてハッとしたんですね。原田さんの文章がなかったら、オマールでカーティスを思い出すなんてこと、なかったと思います。感謝ですね〜。

(written 2022.2.27)


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