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カフェBGMとしてのパット・マシーニー『ロード・トゥ・ザ・サン』

(3 min read)

Pat Metheny / Road to the Sun

去年出たものだとずっと思っていたけれど、いま確認すると2021年のリリースになっているパット・マシーニーのアルバム『ロード・トゥ・ザ・サン』(2021)。ぼやぼやしていたら、もう次の最新作『サイド・アイ NYC』がこないだ出ちゃいましたね。

が、順番に、『ロード・トゥ・ザ・サン』のほうからメモしておきます。パットは(最後の一曲を除き)演奏にまったく参加しておらず、もっぱらコンポーザーとして曲を提供し、それをほかのギターリストに弾かせたというアルバムです。

しかもジャズ・コンポジションではなく、クラシック・ギターのための現代音楽作品と言えるでしょう。最初の4トラックが「Four Paths of Light」の四楽章で、これはアメリカのクラシック・ギタリスト、ジェイスン・ヴィオー(Jason Vieaux)によるソロ・ギター演奏。

続く5〜10トラック目が「Road to the Sun」の六つの楽章で、こちらもパットが高く評価するロス・アンジェルス・ギター・カルテットによる多重奏。そしてアルバム・ラストの「Arvo Pårt: Für Alina」だけがパット自身による42弦ギター演奏、といった構成です。

クラシック作品ということでぼくの得意分野ではないのですが、聴いていてとても気持ちいいことは事実です。じっくり対面して聴き込むにはやや軽いっていうか、そもそもクラシック音楽をそういうものとしてとらえていないぼくなので。

しかしBGMっていうか、カフェとか自宅でなにか作業したり読書したりしているときの背景に流すと、ほんとうにすばらしいフィーリングをつくってくれて、やっていることがはかどるっていう、そんな音楽だなあというのが最大の印象ですね。

これが間違いないっていうのは、事実ぼくはカフェや自室で確かめました。というか偶然の発見だったのですが、書き仕事や読書の際にたまたま流していて、ほんとうにジャマにならないし、かといって無音だとまずいという状況で、仕事の集中力を高めてくれたんですよね。

クラシックにかぎらず音楽は、それだけにじっくり向き合うように聴くのもいいし、はたまたBGM的にっていうか、なにかしながら流しっぱなしにするのもいい聴きかたで、それもまた楽しみであり、大きな効用のひとつだなあと思いますね。

日中だけでなく、深夜に部屋の照明を落として入眠準備をするときのBGMとしてもピッタリ似合いそうなパットのこの『ロード・トゥ・ザ・サン』。そういう聴きかたは音楽家の意向には沿っていないかもしれませんけどね。

(written 2021.9.18)

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