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メイシオ・パーカーの新作はニュー・オーリンズ・ファンクかな

(4 min read)

Maceo Parker / Soul Food: Cooking with Maceo

Astralさんのブログで知りました。

ぼくがいままで聴いてきたメイシオ・パーカーは、ジェイムズ・ブラウン、Pファンク勢、プリンスと、これら三者のバンドでサックスを吹いているものだけでしたから、メイシオ自身のソロ・リーダー・アルバムというのは今回はじめてだったんですね。『ソウル・フード:クッキン・ウィズ・メイシオ』(2020)。そうしたらかなり楽しいし、しかも歌だってうまいので、ちょっとビックリしました。

メイシオってこんなに歌えるんですね。ちっとも知りませんでした。新作『ソウル・フード』にはニュー・オーリンズやそこ出身 or ゆかりのあるミュージシャンが複数参加しているし、録音もニュー・オーリンズのスタジオで行われ、しかもとりあげられている曲にニュー・オーリンズ関係のものが多いということで、ある意味ニュー・オーリンズ・ファンクがテーマになっているとみることもできますね。

メイシオの過去作の再演もありますが、やはりミーターズ「ジャスト・キスト・マイ・ベイビー」、リー・ドーシー「イエス・ウィ・キャン・キャン」(アラン・トゥーサン)、デイヴィッド・ファットヘッド・ニューマン「ハード・タイムズ」、アリーサ・フランクリン「ロック・ステディ」、ドクター・ジョン「ライト・プレイス・ロング・タイム」、プリンス「アザー・サイド・オヴ・ザ・ピロウ」が聴きどころということに、ぼく的にはなります。

どの曲にもカリビアン/ラテンとも聴こえるシンコペイションがリズムに効いていて、いかにもニュー・オーリンズ・ミュージックだなと思えるだけのものがありますよね。メイシオのヴォーカルにも心なしかニュー・オーリンズ・テイストを感じたりもして。サックスのほうはずっとおなじみの聴き慣れた味をそのまま発揮しています。アレンジャーがだれだったのか知りたいんですけど、伴奏のホーン・アンサンブルなんかもファンキーで最高ですね。

個人的にグッと来るのはやはり聴きなじみの強い曲で(ぼくは知っている曲やスタンダードのヴァージョンを聴くのが大好き)、たとえば5「ハード・タイムズ」でもあのフレーズをメイシオがサックスで奏ではじめただけでニンマリしますし、大名曲「ライト・プレイス・ロング・タイム」なんか、みんな知っているあのシンセサイザー・フレーズがはじまってホーン・リフ、リズムと順に入ってきたら、もう快感。プリンスの「アザー・サイド・オヴ・ザ・ピロウ」も個人的には好きな曲ですが、一般的な知名度は高くないかも。

メイシオの歌もサックスも快調だし、ニュー・オーリンズ音楽ふうに跳ねるリズムとファンキーなアンサンブルが最高に心地いい一枚です。

(written 2020.8.14)


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