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新旧センバ、どっちも好き 〜 ゼカックス

(4 min read)

Zécax / Avó Sara

bunboniさんに教えていだだきました。

アンゴラの歌手、ゼカックスことジョゼ・アントニオ・ジャノタ。Spotifyでは2016年とクレジットされていますけど、どうなってんの?ともあれ、リリースされた唯一のリーダー・アルバム『Avó Sara』は2パート構成。前半が新録音作品で11曲目まで。12曲目以後はゼカックスの往年のヒット曲を年代順に収録したもの。

やっぱりなんといっても前半11曲の新録音アルバム・パートが聴かせる内容で、とてもいいですよねえ。センバだといっていいと思いますが、アップデートされたモダン・センバとして工夫されています。サウンドも感覚的にも21世紀的。

出だし1曲目でもうじゅうぶんそれを聴きとることができますね。リズム、というかグルーヴがシャープでタイトでしょう。しかも甘さというかスウィートなフィーリングもあって、なかなか聴きごたえありますよね。ホーン・セクションもピシッと決まっているし。

スウィートさ、メロウさが2曲目以後も目立っているなという印象で、このへんは時代感覚ということなんでしょうね。ゼカックスのヴォーカルは決してうまいわけじゃないっていうか、ちょっと朴訥としていますけど、バックのサウンドが最高ですよ。DJマニャがアレンジしたようで、ゼカックス本人がどこまでかかわっているのかはわかりません。

3曲目「Fim de Semana」は往年のヒット曲のリメイク。(1980年代の?)オリジナルが17曲目に収録されているので聴き比べてみてください。3曲目の新ヴァージョンがいかに新感覚か、わかると思います。モダンにセンバを焼きなおすといったこういう試みがアルバム全体であふれていて、楽しいですね。

しかしですね、その17曲目のオリジナル版「Fim de Semana」にしてもそうなんですけど、個人的にはこういった往年のセンバもなかなかいいぞ、むしろそっちのほうが好きかも、自分のフィーリングには合うよなあと思う面があります。

たしかに感覚もサウンドもちょっと古くさいとはいえ、こういった黄金時代のセンバを聴くのがぼくは大好き。なぜでしょうか、自分でもよく説明がつかないんですが、とにかく聴けば気持ちいいんだからしょうがないです。チューニングのあいまいなホーン・セクションがあまり演奏していない、ギター中心の曲だと最高だと思っちゃいますよ。16曲目「Contentor」なんか、もうねえ。

図らずも今回のゼカックスのアルバムは新旧のセンバが並ぶことになっていますから、新しいのもいいけど古いのだって好きだぞという、ぼくのこの嗜好をいっそうはっきりと自覚することができました。もちろんパーカッションをフィーチャーした新録部分の10曲目「Mulher Angolana」なんかすごいなとわかりますが、ぼくは12曲目以後の古いセンバも同じくらい好きです。っていうか、どっちかというとそっちのほうが。おおらかでのどかな感じがするのがいいのかなあ?よくわかりません。

(written 2020.11.13)

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