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ライ・クーダーとかジョン・ハイアットとかお好きなら 〜 スティーヴ・ドーソン

(3 min read)

Steve Dawson / Gone, Long Gone

萩原健太さんに教えてもらいました。

スティーヴ・ドーソンはカナダはヴァンクーヴァー出身のルーツ・ロック系シンガー・ソングライター。各種ギター類を弾き、歌い、プロデュースやエンジニアリングもやるっていう。現在は米ナッシュヴィルに拠点を置いているみたいです(多い)。

その最新作『ゴーン、ロング・ゴーン』(2022)には、なぜかフェイシズ「ウー、ララ」のカヴァーがあったりもしますが、それ以外はスティーヴのまろやかなギター演奏をフィーチャーした自作や共作で構成されています。公式サイト↓

アメリカーナと言っていい音楽で、個人的にはおだやかに静かにアクースティック・ギターや各種スライド系を弾いているしっとりナンバーがお気に入り。北アメリカ大陸ギター・ミュージックのルーツの一つであるハワイ音楽を思わせる瞬間も多くていいですね。

ホーン・セクションがソウルフルなグルーヴを提供するオープニング・チューン「ダイムズ」からゴキゲン。2曲目はハワイのキング・ベニー・ナワヒにささげられたものですが、イナタいビートに乗ったハワイ的なギター・スライド+ニュー・オーリンズ・スタイルの転がるピアノがからんで、なんともいい気分。

3曲目のタイトル・ナンバーはストリングスとアクースティック・ギター&ペダル・スティールが溶け合うっていう。ヴォーカルも入ってはいますが、スティーヴ2018年の前作『ラッキー・ハンド』は自身のギターでストリング・カルテットと共演するインストルメンタル・アルバムだったので、そこからの流れを汲んでいるのかも。

そして、今作で個人的に白眉だぞと思うのが6曲目「クラニアピア・ウォルツ」。もちろんワルツですが、多彩なスティール/スライド系ギター技巧をしっとり味わえるインスト・ナンバーで、+ブラシでやるドラムスとレトロなパンプ・オルガンがしんみりと色を添える渋めの一曲。おだやかで、のんびりのどかなハワイの風景も連想させて、えもいわれぬいい心地です。

同じくインストの9曲目「シカーダ・サンクチュアリ」はスティーヴのアクースティック・ギター独奏。多重録音もなし、一本で一発録音したインスト・アメリカーナみたいな感じ。「クラニアピア・ウォルツ」にしろ、こうした落ち着いたギター・インストが印象的なアルバムですね。

決して弾くまくり系の派手さや技巧見せつけはないけれど、ギター演奏のほんとうのうまみがじんわり沁みてきて、その意味でもライ・クーダーとイメージが重なります。

(written 2022.3.30)

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