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ソナ・ジョバーテのコラ演奏はほんとうに美しい

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Sona Jobarteh / Fasiya

ガンビア系ロンドナーのソナ・ジョバーテ。いまでも唯一のアルバム『ファシヤ』(2011)についてはすでに二回書いてきているんですけど、まだまだ言い足りていない気がします。それになによりぼくはこのアルバムの音楽がほんとうに大好き。だからいつも聴いているし、折に触れてしゃべりたくなるっていう。いちおうソナについて書いた過去記事のリンクを書いておきます。

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三回目ということで、もういい加減にしろ、と言われそうですけど、ホ〜ント大好きなんですから〜。アルバム『ファシヤ』でぼくがなかでも気に入っているのはドラマーの叩きかたとソナのコラ演奏です。なかんずくソナのコラですけど、これはもう完璧にヴァーチュオーゾと言っていい腕前ですよね。西アフリカにおけるコラ演奏は男性が担うもので、女性には禁止されていたんだそうです。

ソナは、だから自身の公式サイトでも書いてありますけど、西アフリカ(出身)における史上初の女性コラ奏者ということになるんだそうですよ。弾き手が男性でも女性でも、ぼくはコラという楽器のキレイな音色がほんとうに大好き。世界にある弦楽器のなかでも、音色の澄んだ美しさという点ではNo. 1なのじゃないでしょうか。

そんなコラをソナは縦横無尽に弾きこなしていますよね。ソナのばあい、コラ演奏がソング・ライティングのなかで最初からの必須不可欠要素として熟慮されているっていう、そんな曲を書いているなと思えるのも重要なポイント。コラで演奏する、コラでないとこれらの曲が成立しないっていう、そんな、曲づくりとコラ演奏の不可分一体化がここまで美しい曲を生み出しているのだなとわかります。

弦楽器だけに(といってもコラは全弦開放で弾きますが)、速く細かいパッセージを正確に繰り出すには高度な技巧が必要となりますが、アルバムで聴くソナのコラ演奏はこの点でも圧倒的。アップ・テンポの曲、たとえば1曲目「ヤラビ」、5「ファタフィナ」、7「バナイヤ」などでならそれがよくわかります。特に「バナイヤ」の間奏コラ・ソロにじっくり耳を傾けてほしいですね。すんばらしいコラ演奏ですよ。

ソナの弾くコラという楽器の音色の美しさや魅力、といった点では、ほかにもたとえば8曲目「ガイナーコ」、9「スマ」のイントロなんか、よく伝わりますね。ソナのばあい、そのコラ演奏があまりにもすばらしく、同様に自身で弾きこなすギターなどと同列に並べ、同様に弾きこなしているのがわかります。西洋楽器であるギターと西アフリカの楽器であるコラとがなんの違いもなく曲成立の過程で活用されている、それがソナの音楽です。

アルバムをとおしほとんどの曲でドラムスを叩いているウェズリー・ジョゼフ(Westley Joseph)のドラミングも特筆すべきです。特にスネアのフィル・インでたたみかけてグルーヴを編み出すあたりの快感はなんど聴いても最高。ソング・ライティング、コラ演奏、ドラマーを中心とするバンドのグルーヴ、がこのアルバムでは目立つ美点でしょうかね。

(written 2020.12.28)

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