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ソウルクエリアンズ由来のヒップ・ホップ・ジャズ 〜 RHファクター(1)

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The RH Factor / Hard Groove

トランペッター、ロイ・ハーグローヴのヒップ・ホップ・ユニット、RHファクター。21世紀に入ってちょっとしてからはぼくもずいぶん夢中になっていて、三つしかアルバムないんですけど、三枚ともCD買って熱心に聴いていました。

2003年の『ハード・グルーヴ』、2004年の『ストレングス』、2006年の『ディストラクションズ』。きょうは一作目だった『ハード・グルーヴ』の話をしますが、まずなんたってジャケットがいいですよねえ。こんな感じだから、CDショップでも目について、たぶんみなさん同じだったんじゃないでしょうか。

RHファクターの『ハード・グルーヴ』、出だし1曲目の「ハードグルーヴ」からして、いまでも聴くだにカッコよすぎてしょんべんチビリそうですけど、しかしこれらのアルバムのこと、ちょっと前までぼくは完全に忘れていたんですよね。昨年のおおみそかに「21世紀のベスト20」というのを書いたでしょ、そのとき入れ忘れましたからね。あんなにくりかえし夢中で聴いたのに。

2021年になってちょっとしてからなにかのきっかけで思い出し、Spotifyで聴いて、そのカッコよさにふたたびノック・アウトされているというわけです。アルバム『ハード・グルーヴ』にしても、やっぱりこれはヒップ・ホップ・ジャズというべきですよね。ちょっと、いや、かなり、ネオ・ソウル色も濃いです。

ロイ・ハーグローヴはストレート・アヘッドなジャズもよくやっていて、そっち方面でも人気ですけれど、ディアンジェロの『ヴードゥー』に参加したあたりからかな、ネオ・ソウル、ヒップ・ホップ系の作品にかかわるようになりました。『ヴードゥー』にはどうして参加したんでしたっけ?ソウルクエリアンズの関係?

だからエリカ・バドゥのアルバムにもロイが参加したものがあるし、それで自身のRHファクター『ハード・グルーヴ』にもディアンジェロとエリカがゲストで演奏し歌っているんですね。それらもほんとうに心地よくて、ネオ・ソウル風味全開。そんな曲調のなかで吹くロイのトランペットもいいムードですよね。コモンも参加したトラックがあります。

また、ネオ・ソウルっていうよりヒップ・ホップ・ジャズというべきトラックの数々も大好きで、トランペットに激しくエフェクトをかけグジャツとサウンドを歪め痛快に吹きまくるグルーヴにも降参ですね。1「ハードグルーヴ」、7「ザ・ジョイント」の漆黒のファンクネス、5「パストール “T”」、9「アウト・オヴ・タウン」の疾走感など、たまりません。

その後アルバム後半はネオ・ソウルのテイストが色濃く出ているなと思います。そんななかでも、10「リキッド・ストリーツ」、14「ザ・ストローク」で聴かせるていねいなバラード吹奏表現なんかも絶品ですね。まるできれいな花がぱっと咲くのを見るかのよう。絶品のネオ・ソウル・ジャズだと思います。

(written 2021.2.7)

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