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ブルージーでまろやかなマロヤ・ジャズ 〜 メディ・ジェルヴィル

(2 min read)

Meddy Gerville / Mon Maloya

2017年の『Tropical Rain』が傑作で(一部で)注目を浴びたレユニオンのジャズ・ピアニスト、メディ・ジェルヴィルですが、その後新作『Mon Maloya』(2020)が出ていることに気づきました。これ、どうしてだれもとりあげないんでしょうか。ぼくが見つけたあと、書いたのはAstralさんだけじゃないですか?

あ、さがしたら一年以上前にMúsica Terraでピック・アップされていました。

多彩で派手なゲスト参加が特徴だった『トロピカル・レイン』に比べると、今作はたしかにやや地味です。基本ピアノ・トリオ編成での演奏ばかりというにひとしいし、どの曲も演奏は落ち着いたフィーリングのもの。

メディのピアノをじっくり聴かせる内容で、しかもなかなか目立つのはブルージーなタッチです。ブルーズ・リックの多用というかペンタトニック・スケールにもとづいたフレイジングを多発していて、ぼく好み。

なかにははっきり「ブルーズ」と銘打った曲(5)もあったりして、これはもちろんそうですが、それ以外の曲でもフレイジングのはしばしにブルーズっぽさが聴きとれます。前からハード・バップ・ピアニストっぽいスタイルのメディではありますが、今作ではブルーズをことさら意識したかも?という運指。

アクースティック・ピアノ以外の鍵盤楽器をあまり使っておらず、生楽器演奏のテクスチャーにこだわったサウンド・メイクになっているのもいいし(ベースもコントラバス多用)、例の複合三連のマロヤ・ビートはしっかり健在、カヤンブの音も随所で聴こえます。ジャケットではやはり前作同様それを手にしていますね。

(written 2022.3.22)

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