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浮きこぼれ

(5 min read)

ということばを、昨晩ネットをぶらついていて初めて知りました。よく知られている落ちこぼれの対義語で、学力がとても高いがために学校の教室で浮いてしまい、教師から(なぜか)怒られたりクラスメートからいじめられたりして強い違和感を持ち、学校から遠ざかってしまうケースを言うようです。

こうしたことは、指し示すことばこそなかったものの、むかしからあったとよく知られているはず。そして、だれよりこのぼくがほかならぬ浮きこぼれだったのです。特に学力が急速に伸びはじめた中学生のころから、不登校にはならなかったものの、なんだかクラスで自分だけ「かなりヘン」だぞと感じていました。

飛び級したり10歳くらいで難関大学に合格したりするこどものニュースが世界にはたくさんありますから、めずらしい事象でもないのでしょう。勉強が心から好きっていうこどもはいつでもどこにでもいて、楽しくてしかたがないのでどんどん自分で進んで学ぶ結果、そうでもない周囲(incl.教師)からは「こいつオカシイぞ」と見られるようになってしまいます。

ついてこられないのが落ちこぼれですが、進みすぎてもうとまれるというわけで、だいたい小中学校時分ってスポーツができると羨望の的なのに、学力が高すぎるばあいは異端視されるんですよね。だれも頭抜けずみんな同じくらいの平均を揃って維持している状態こそが望ましいとみなす日本の学校教育システムに原因の根本があります。

つまり、学習能力や進度ってひとりひとりバラバラなんだから、数十人を一箇所に集めて一斉に同じ授業を受けさせるという方式がそもそもよくないわけです。それでもなぜだか学校は行かなくちゃダメだということになっていることにあまりだれも疑問をいだいていないですよね。

じっさいぼくも、特に中学の英語と数学の授業は正直言ってかなり退屈でした。こっちはそんなこととっくにわかっているし充分理解実践できているのに、どうして教師がそこまでていねいに説明を尽くさなければならないか、それなのになぜみんなわからないのか、納得できずイライラするというのが本心でした。両教科ともテストはつねに100点でしたし。あんな簡単なもん、100点以外とりようがないってもんです。

しかも中間とか期末とかのテスト時間って45分だったか50分間あるわけで、最初の10分ほどで解答と見直しがすべて終わってしまうから、残りの時間やることがなくひたすらガマンで、中途外出も認められなかったから、紙の余白に落書きして遊んでいましたよねえ。時間が来たらそれを消しゴムで消すっていう。入試でもそうでした。

出題パターンというかヴァリエイションがすべて読めちゃっていたわけですから。学校の授業やテストはイージーすぎて退屈でしたけど、それを土台に自分でどんどん先へ進むのはめっちゃ楽しくて、塾は行かなかったんですが、参考書や問題集を買って自宅でやっていました。

中学三年のときには高校生用の英文法書を熟読して英英辞典を引いていて、それをうれしげに職員室へ持っていって英語教師に見せると、お前すごいな!とビックリされながら同時に「あんまり一人で先へ進みすぎるな」「点取り虫と言われるぞ」とか注意されたりもして、意味がわからずひたすら??マークが浮かんでいました。

そして、学力が高すぎるがため教師や生徒にヘンな目で見られたりなにか言われたりして疎外感を持つというのは、実は在校時代だけの話。社会に出たらすばらしいっ!と言われ褒められるだけで、やりすぎだと注意されたり怒られるなんてことはありません。どんどん学んでおいてよかったぁと実感することばかり。

学校時代にしか経験しない違和疎外フィールなんですから、上でも書きましたがやっぱり学校システムじたいに問題があるんだとしか思えませんよ、落ちこぼれや浮きこぼれは。

(written 2022.11.15)

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