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作編曲の冴えるムサ・ジャキテ最新作

(3 min read)

Moussa Diakite / Kanafo

この音楽家はbunboniさんに教えてもらいました。この最新作はオーダー中とのことで、一足お先にbefore you。


現在オーストラリア在住、マリのギターリスト、ムサ・ジャキテの最新作『Kanafo』(2020)。ジャケットはあかぬけない感じかもですけど、音楽はなかなかグルーヴィでカッコいい。演奏パーソネルはBandcampのページに載っているので参考にしてください。

ヴォーカルのほうぼくにはイマイチですが、ギターがいいですよ。ムサは各種エフェクターをかませてさまざまなサウンドで弾いているのも楽しい(...と思ったら違う、これはキーボード・シンセだ)。バンドのアンサンブルだってとてもよく練り込まれているのがわかり、でたとこ勝負のインプロもいいけど、こういうウェル・アレンジドな音楽にぼくは惹かれるんですね。

それはそうと本作、エレベの音がブンブン野太くてお尻にずんずん響くし重量感があってすごいと思います。ひょっとしたら弦ベースじゃないのかも、キーボード・ベースだったりする?と思うような音のテクスチャーですよね。いずれにしてもグルーヴィにボトムスを支えていて快感です。

個人的に特にグッと来はじめるのが2曲目から。ノリがよくなってくるじゃないですか。ビートの効かせかたもカッコいいし、バンドのキメもピシっとしているし。曲のタイプはちょっとロック・チューンっぽいかもなと思いますが、バラフォンの使いかたなんかにはまぎれもない西アフリカ音楽の刻印があります。

バラフォンもそうだし、ンゴニとかコラとか、西アフリカの生演奏アクースティック楽器がアルバム全体でうまい具合にちりばめられていて、曲によっては主役級の活躍ですし、そういうのと電気電子楽器との配置、ミックス具合が実にすばらしく、全曲ムサの作編曲ということで、そのへんに音楽家として最大の魅力があるひとなのかもしれないですね。

4、5曲目あたりに来るとなんど聴いても「カッチョエエ〜!」と叫んでしまいそうになるし、バンドのアンサンブルとムサのギターですね、それでグッと胸をわしづかみにされてしまうんです。後半はマリ味を出しつつ(陽光を思わせる)カリブ音楽テイストを香らせている曲も複数あり、ホントいい。

なお11曲目のインストルメンタル・ナンバー「Doncomodja」というのはbunboniさんがとりあげられていた前作のアルバム題です。そっちにはこういうタイトルの曲なかったんですが、ギターリストとしての自覚というか矜持みたいなものが一貫して表されているんでしょうね。

(written 2022.9.21)

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