見出し画像

ノルウェイ発、洗練されたブルー・アイド・ソウル 〜 アダム・ダグラス

(3 min read)

Adam Douglas / Better Angels

萩原健太さんのブログで知りました。

現在はノルウェイに移り住んで音楽活動を展開しているらしいアメリカ人ブルー・アイド・ソウル歌手のアダム・ダグラス。新作『ベター・エンジェルズ』(2021)もノルウェイ録音で。ほんとうはアメリカに帰国して制作したかったみたいなのですが、コロナ・パンデミックのせいでそれはお流れ。

でも現地の腕利きミュージシャンたちを起用して、全体的にとても聴きやすくグッと来るソウル/ポップ・サウンドを展開していて、好感が持てます。1曲目から、16ビートでうねるメンフィス調のリズム・セクション、ゴスペル・クワイア、ホーン・セクション、アダム自身による粘っこいスワンプ・ロック調のスライド・ギターなど、多彩な米ルーツ・ミュージックの要素でバック・アップしてみせています。

こういった傾向が2曲目以後もずっと続いていて、洗練されたコード進行をともなったライト・ソウル・サウンドっていう感じかな、ソウルといっても決して暑苦しくない、真夏に聴いてもさっぱりとした涼感が得られそうなシティ・ポップ寄りの音楽に仕上がっていて、米サザン・ソウルはむさ苦しいなぁと感じることもたまにあるぼくなんかにはちょうどいいです。

だいたいぜんぶアダム自身(共作もふくめ)が曲を書いているようですが、どれもチャーミングでいいんですよね。それとこのサウンド・メイク。プロデュースも自身でやっているみたいで、アレンジのみごとさもきわだっています。楽器演奏でもアダムの弾くエレキ・ギター、バックでのカッティングといいシングル・ノートで弾くソロやオブリガートといい、とってもいい感じ。

なかでもぼくが気に入っているのは6曲目の「ウェア・アイ・ワナ・ビー」。ファンキーじゃないですか。しかもエレキ・ギターのカッティング・サウンドがとっても気持ちいい。完璧なるメンフィス・ソウル・サウンドだけど、しっかりソフィスティケイティッドされていて、ジャジーでもあって、しかもほんのりブルージーっていう。最高だ、これ。

また、4曲目の「ソー・ナイーヴ」なんて、たとえばボズ・スキャッグズの『シルク・ディグリーズ』に入っていてもおかしくなさそうな雰囲気の曲で、こういった洗練されたちょっぴりジャジーなAORテイストが、ブルー・アイド・ソウル志向と相性いいんでしょうね。

そういえばボズだって、AORの代表のように言われるけどだいたいはブルー・アイド・ソウル、ホワイト・ブルーズの世界の人間だし、なんか関係あるんですかね、白人がソウルをやってジャジー・テイストをとりいれた洗練サウンドをやるとAOR化するとか。

(written 2021.7.19)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?