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Spotify、コロナ危機に際し、音楽業界支援プロジェクトを開始

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きのうもアイオナ・ファイフ関連で書きましたが、コロナウィルス感染拡大とそれにともなうソーシャル・ディスタンシングの徹底で、世界の音楽家、音楽業界をとりまく状況はたいへん厳しいものになっています。レコードや CD、グッズなどの売り上げから得られる収入しかなくなっているんですし、それらだってライヴ現場でどんどんさばけたりもするもんなんですから。もちろんいっさいのイベントやコンサートなど人前に出てのパフォーマンスは、事実上まったくできないという状態に陥っていますよね。

はっきりいって音楽業界にとってはまれにみる大ピンチだと思うんですが、ぼくは自室でふだん音楽を Spotify で聴いています。たぶん総聴取時間の九割以上が Spotify アプリを使ってのものなんですね。もう本当にお世話になっているんですが、このコロナ危機に際しなにかできないかということを、もちろん Spotify も考えているようなんですね。

それで「Spotify COVID-19 Music Relief」というプロジェクトが立ち上がりました。正確にはこれから音楽家や業界への支援がはじまるといったところみたいなんですが、はっきりいってふだんぼくらが月額980円を支払って Spotify で音楽を楽しんでいるそのお金が音楽家にどう分配されているのか、わかりにくいですよね。もっとシステムを透明化してくれたらいいのにというか、bandcamp みたいに「ダイレクトに」音楽家へお金が届く仕組みを示してくれたらいいのにという思いがぼくにはありました。

そういうのは平時であればあまり考え込まないことですけど、いまはコロナ危機で大勢の音楽家がたいへんに困難な状況にある非常時といえるわけですから、それでいっそう、ぼくたち音楽ファンは愛する音楽家のためになにかできないかという気持ちが強くなっているんじゃないかと、これは間違いなくぼくだけではないという実感が、ここ日本にいてもここ一週間/十日ほどで、あります。

Spotify の COVID-19 Music Relief プロジェクトは、新型コロナウイルスの影響を受け困窮している音楽家、音楽業界で働くひとびとへ経済的支援を提供するもので、くわしいことは(英文ですが)上のリンク先をご一読ください。このプロジェクトの一環として、近日中に Spotify 上で音楽家がファンから直接募金を集めることができる機能のリリースを予定しているそうです。

たぶんこの、ファンから音楽家が直接お金を集めることのできる機能こそ、今回のプロジェクト最大の目玉なんじゃないかと思うんですね。音楽家は自身の Spotify プロフィール・ページで寄付のためのリンクを貼ることが可能になりますし、自分用、支援を必要とする別の音楽家用、音楽業界支援のための機関用など、音楽家が選択した資金調達先にリスナーを誘導できるようになるみたいです。

このほか(Spotify 社からの寄付もふくめ)いくつもの種類のプロジェクトが展開される様子ですが、ふだん Spotify で便利に、そう事実上無料でというに近いような状態で(たったの月額980円だから)高音質で無制限にどんどん音楽を聴きまくっているぼくたちも、今回のような大規模なコロナ危機に際しては、やはり好きな、愛する、音楽家やその関係者になにかしたいという気持ちになりますよね。

社会事業者としての自覚とともに、そこらへんを Spotify としても汲んでくれたということなんでしょう。ライヴ・イベントやコンサートなどがなにもかもいっさい消えてなくなっていますから、そういった支援は現状できません。だから外出自粛中のぼくたち在宅民にできるのは、せめて CD や関連商品を買うこと、(昨日書いたようなオンラインの)パトロン・システムを利用して音楽家への直接の経済支援を行うこと、そして今回はじまることがアナウンスされた Spotify COVID-19 Music Relief プロジェクトを通じて寄付をすること、などしかないじゃないですか。

(written 2020.3.28)

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