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ジャズ・ブルーズが好き 〜 ルー・ドナルドスン

(3 min read)

Lou Donaldson / Here 'Tis

またしてもルー・ドナルドスンの話題でごめんちゃい。きょうは『ヒア・ティズ』(1961)。タイトルは “Here It Is” のこと。61年作ですから、まだ8、16ビートのファンキーなソウル・ジャズ路線に転向する前ですけど、それでも本作ではピアノじゃなくオルガンを使い、そこそこソウルフルなんです。

メンバーはルーのアルトのほか、ベイビー・フェイス・ウィレット(オルガン)、グラント・グリーン(ギター)、デイヴ・ベイリー(ドラムス)というシンプルな編成。ガーシュウィンとパーカーが一曲づつで、あとはルーの自作です。

聴きものはなんといってもルー自作のスロー・ブルーズ二曲、2「ヒア・ティズ」と5「ウォーク・ウィズ・ミー」、特に前者です。これがソウルフルでブルージーでかなりいいんですよね。ベイビー・フェイス・ウィレットのオルガンも大活躍。こういう曲調のものとなればやっぱりオルガンが似合いますよねえ。「ヒア・ティズ」という曲題からしてゴスペル・ライクです(ボビー・ティモンズふう?)。

グラント・グリーンもアーシーなギターリストとしての本領発揮、とまではまだいかない時期ですけど、それでもそこそこファンキーに弾いています。そしてやっぱりなんといってもルーのアルトのうまあじですね。ビ・バップ時代から活躍しているサックス奏者なんですけど、もう完全に1960年代のファンキー・ムードを醸成していますよね。

そう、やっぱりこういった音楽は1950年代末〜60年代いっぱいにかけて、特にブルー・ノート・レーベルを舞台に、大きく展開された路線だなと思うんですね。もはやいま2020年代にどれだけ時代のレレヴァンスがあるかわかりませんが、過去の名作・名演を楽しむ、それが気持ちいい、好きだ、というフィーリングがあれば、それでじゅうぶんじゃないでしょうか。

こういった(ゴスペル・ベースの)ファンキーでソウルフルなジャズ・ブルーズ・インストルメンタルのことは近年看過されがちになりつつあるような気がするんですけど、好きなものは好き、とハッキリ明言していきたいと思います。時代がどう変わろうと、評論家たち、マニアがなにを言おうと、ぼくらファンは愛し続けていきますよ。

(written 2021.3.21)

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