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しんどいときに聴く音楽(66)〜 黄金時代のデューク・エリントン

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Duke Ellington / The Golden Era

ドクター・ジョンの『デューク・エレガント』が出た前世紀末ごろ、こんなに楽しいものならぜひデューク・エリントンのオリジナルも聴いてみたいというブルーズ・ファン、ロック・ファンが周囲で続出しました。

だからそれなりの推薦CDを言い、買って聴いてもらったんですが、ほぼ全員がガッカリしたという反応で、そりゃあねえ、『デューク・エレガント』はドクター・ジョンがこれ以上ないほど大胆に展開しているからであって、ジャズ・オリジナルを聴いてもちょっとねえという気持ちはわかります。

スティーヴィ・ワンダーも歌っているし、デュークへの愛を隠さない音楽家はジャンル問わず多く、それにぼくはだいたいがジャズ・ファンだからデュークの作品も大好きです。

ドクター・ジョンきっかけでデューク・ファンになってもらうことには(あの当時)失敗しましたが、それでもいつかなにかのきっかけで興味を持ってもらえたらなという思いは常にあります。

そんなデュークのカタログのうち、全盛期といえるのは間違いなく1940年代初頭のヴィクター時代。その前39年ごろからピークを迎えていましたが、ヴィクターはCDでもサブスクでもできちんとリイシューしてくれているのがほんとうにすばらしいところ。

そんなわけでCDなら三枚組の『ネヴァー・ノー・ラメント:ブラントン・ウェブスター・バンド』(2003)から、必須の名演ばかり選んで順に並べておいたのが上記の自作プレイリストです。1940〜42年の録音集。

もとのアルバムをぜんぶ聴くとなると四時間ほどもかかっちゃうので、なかなかたいへんだと思います。ぼくのプレイリストなら1時間18分。どれもこれも濃密なすばらしい曲と演奏ばかり。

そう、デューク・ミュージック最大の特徴はサウンドの濃密さです。くわえてこの時期はベースのジミー・ブラントンとテナー・サックスのベン・ウェブスターが参加していて、いっそう音にいどろりと厚みをもたらしています。

『デューク・エレガント』でドクター・ジョンがカヴァーしているものは「ドゥー・ナッシング・ティル・ユー・ヒア・フロム・ミー」(「コンチェルト・フォー・クーティ」)と「ザ・フレイミング・ソード」の二曲しかありませんが、そのほかどれもこれもみごとなジャズ史上最高峰の輝きを放っている名作名演といえるはず。

(written 2023.12.27)

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