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元歌のよさを活かしたアース、ウィンド&ファイアのカヴァー集 〜『インタープリテイションズ』

(3 min read)

v.a. / Interpretations: Celebrating the Music of Earth, Wind & Fire

Astralさんに教わりました。

モーリス・ワイト自身がプロデュースしたらしいコンピレイション『インタープリテイションズ:セレブレイティング・ザ・ミュージック・オヴ・アース、ウィンド&ファイア』(2007)。さまざまなコンテンポラリー・シンガーたちが、文字どおりEW&Fの曲を再解釈したトリビュート・アルバムですね。

Spotifyデスクトップ・アプリで見ますと、このアルバムのなかで再生回数の多いのは断然3曲目の「セプテンバー」がトップで、ほかの曲の再生回数とは二桁も違います。やっているのはカーク・フランクリンですが、カークの人気じゃなくてたぶんこれは曲の人気なんでしょう。「セプテンバー」はEW&Fの曲のなかで最も有名ですから。

そして、なにを隠そう、ぼくがこのアルバムで知っていたのも「セプテンバー」だけだったんですよね。実はEW&Fの曲って、ほとんどちゃんと知らないままできました、というかそもそもこのバンドをあまり聴いたこともなく。特にこれといった理由もありませんが、なんとなくその気にならなくて。

Astralさんも似たようなことを書いていますが、あんがいこれが大方のブラック・ミュージック・ファンの実情なんじゃないかという気がします。べつに嫌いだとか敬遠しているとかいうんじゃなく、なんとなく、EW&Fのことは、意識はしても自分からどんどん積極的には聴いてこなかったというのが。

だから今回まとめて10曲も聴いたのは初体験です。しかもカヴァー・ヴァージョン。それにしてもしかしカッコいいですよねえ。特に1曲目のチャカ・カーンが歌う「シャイニング・スター」。もうこのオープニングだけでこのアルバムをぜんぶ聴こうという気になるほどです。

2007年のアルバムですけれど、特にコンテンポラリーR&Bとかヒップ・ホップ・ソウルに寄ったようなつくりにはなっていなくて、うん、ちょっとネオ・ソウル的な解釈でやっているものも混じっているかなとは思いますが、基本的には従来的なソウル・ミュージック・マナーに聴こえます。

曲そのものが新しくないわけですから、これはある程度納得できることです。それでも、ややフュージョン寄りの特色も帯びていたEW&Fの原曲のその色は抜けていて、もっと歌を中心にサウンド・メイクされているなと思います。

現代的なトラック・メイクに寄りすぎず、元歌のよさを最大限にまで活かすべくプロデュースされているなあという印象があって、そんなところ、好感触ですね。

(written 2021.6.22)

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