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2023年を代表する大傑作 〜 キミ・ジャバテ

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Kimi Djabaté / Dindin

リスボンを拠点としているギネア・ビサウ出身のグリオ系音楽家、キミ・ジャバテ(ヴォーカル、ギター、パーカッション、バラフォン)の最新アルバム『Dindin』(2023)がチョ〜カッコいいぞ。もうシビレちゃって、連日こればっか聴いてるんだもん。

特にも〜タマラン!のが3曲目「Alidonke」。毎日なんどもリピートし、部屋でひとり踊り狂っちょります。先行シングルの段階ですでに聴けた曲で、そのときから惚れちゃって、こんなのがあるんならアルバムも傑作に違いないと確信できたすばらしいセクシー・グルーヴに降参。

西アフリカのグリオ伝統やアフロ・ポルトガルな音楽ルーツにしっかり根差しながら、デザート・ブルーズなどもとりいれつつコンテンポラリーで良質なアフリカン・ビートを体現しているとわかるのが圧倒的で、なにもかも完璧なグルーヴを持つこれは、もう2023年のベスト・トラックに決まりですよ。

その他4「Kambem」、7「O Manhe」、10「Mana Mana」など、強く速めのビートの効いた曲はたまらないほどカッコよくグルーヴィで、それでいてかっ飛んでいる印象がなくクール。ヒタヒタと静かに迫ってくるような落ち着きがあり、曲づくりもバンドの演奏もよく練り込まれています、アルバム全体でも。

キミ自身の曲であるどれも内容的にはアフリカの社会や政治状況、宗教や女性の権利、貧困、教育といったテーマをとりあげている模様ですが、マンディンカ語を聴解できないぼくは、演奏されるビートやサウンド面でのすばらしさカッコよさにひたすら酔うばかり。

「Alidonke」が今年のベスト・トラックであるばかりか、本作『Dindin』はいまのところ2023年の音楽を代表する大傑作に違いないと惚れこんでいます。アフロ・ポップの伝統、近年の成果、ルゾフォニアのみならず世界の音楽を俯瞰する視野のひろさ、新しいビート感 〜〜 すべてを兼ね備えつつ熟練でコクのあるまろやかなできばえに落とし込むキミの手腕に脱帽。

(written 2023.2.28)

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