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聴きどころはブラウニーのブリリアンスとホーン・アレンジメントの妙 〜『The Eminent J.J. Johnson Vol.1』

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J.J. Johnson / The Eminent J.J. Johnson Vol.1

ブルー・ノートの公式ソーシャル・アカウントが紹介していたので、いま『The Eminent J.J. Johnson Vol.1』(このかたちでの発売は1989年)を生まれてはじめて聴いていますが(えっ?)、これめっちゃいいですね。どうしていままで聴く機会がなかったんでしょう、有名作だからアルバム題とジャケットはかなりよく見ていたのに。

サブスクにあるこのアルバムは2001年盤CDに沿ったもの。末尾の別テイク三トラックを外せば、10インチ盤オリジナルLP『Jay Jay Johnson with Clifford Brown』(1953)と同じ六曲で、曲順は違えども、これはこれで整理されていて聴きやすく、いいと思います。

トロンボーン、トランペット、サックス三管の重なりや動き、リズムとのからみあいなど緻密にアレンジされているのがわかりますが、だれが譜面書いたんでしょう、たぶんピアノで参加しているジョン・ルイスですかね、メンバーのなかでこういうのやれそうなのは。マイルズ・デイヴィスの九重奏団でだってアレンジャーの一人でしたし。

ソロ・パートにくると、なんたってトランペットのサウンドがあまりにブリリアントで、そこだけクッキリ浮き出ているように聴こえます。さもありなんクリフォード・ブラウンですよ。1953年6月のセッションですが、なんだか突出したあざやかさ。現在過去未来、これだけ吹けるトランペッターはほかにいないはず。

特に3「ターンパイク」ではソロ・リレーの一番手でブラウニーが出て、もうそれだけでいいほうに曲の印象が決まってしまうような、そんなみごとさ。このトランペッターはタンギング技巧がすばらしくて(全ジャズ・トランペッター中私的No.1)、そのおかげでフレイジングがくっきり歯切れいい快感をもたらし、最高です。

なんだかおかげでJ.J. ジョンスンもジミー・ヒースもソロはかすんでしまうほどですが、このアルバムの聴きどころはブラウニーのブリリアンスとホーン・アレンジメントの妙にあるんですから、これでおっけ〜。大好きな曲5「イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー」はJJのワン・ホーン吹奏で、美しく淡々とメロディをつづっているのがまたいいですね。

(written 2022.12.20)

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