スパンコールのスカートを揺らして
仕事柄、職場には若い夫婦がくることが多い。
女性だけのときもあれば、子どもを連れてくることもある。
今日は職場にちびっ子が来た。
コロナの折、人が来なくなった職場で、子どもの声を聞けたのは、なんだか嬉しかった。
背の低いベンチに、それでも足がつかないちびっ子は、ピンクのスパンコールのスカートを履いていた。
「あっちに行くのぉー!!」
という声。
自由に駆け回ることができないのが、申し訳なくなる。
調理室の天井にある大きな鏡、ボタンを押すとプシューという血圧計、普通より広いエレベーター、横の建物と繋がる秘密の地下通路。
駆け回って欲しい。
目線の違う、目に映る世界の違う、目の留まる先の違う…、彼女はたくさんのものを不思議がり、はつらつと、怯えながら、その時そばにいる安心できる相手と、ともに接するのだろう。
きっと、その素敵なスカートを履いていたら。
自分はこれがいい、こうしたい、嫌だっー!
って、もっと言えるはず。
そんな自分は黒づくめのスーツマスクマン。
怖い人だろうなぁ。嫌とも言えず、これでいいのか悩むことなく時間が過ぎていく感覚。
でも、まぁ、これでいいかな。
これぐらいのほうが、自然かな。
自然に生きてたら、きっと気づけなかったことに、気づけるかな。
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