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新宿読書会メンバーが3月に読んだ本たち

新宿読書会のひさこんです。

新宿読書会では会メンバーのコミュニケーションツールとして『Slack』を使用しています。

その数あるチャンネルの中でも、#既読報告_本 -マンガ チャンネルという本を読んだ後に他のメンバーに「こんな本読んだよ〜」と報告するチャンネルが活発に稼働中です。

自分の次に読む本の参考にしたり、自分が知っている本だったら自分の感想をコメントしてコミュニケーションを取ったり、自分の読んだ本の記録にもなるので便利ですね。

多種多様な趣味の人がいるSNSと違い、本好きの人で集まったコミュニティだからこその会話が生まれたりするのが非常に面白いなと感じています。

せっかくなので、新宿読書会メンが上げてくれた本を私の一言を添えてアーカイブさせていただきます!読書好きな人の選んだ本ということで、興味のある方にとって価値のある情報となるかもしれません(^○^)

あの人はなぜ定年後も会社に来るのか【Yさん】

老後不安や孤独感に対する向き合い方を、認知行動療法の考え方を用いて紹介している本です。
特に大切だと思ったのは、自分の感情への向き合い方ですね。
周囲の環境(職場など)に適用するため、感情を抑圧し続けていると、自分の感情・欲求が分からなくなってしまう。
感情に気付く方法として、マインドフルネスが紹介されています(目に見えている色や形、聞こえる音、身体の感覚、呼吸などに集中する等)。
普段は隠している自身の感情に気付くことで、本音を踏まえたコミュニケーションを取れ、親密な関係を築けるとのことです。
また定年後は、他人が自分を評価してくれるシステム(上司、給料など)がなくなるため、現役時代から自分で自分を評価するシステムを身につけ、なりたい自分を明確にする旨が記載されています。
この部分は特に気になり、実践していきたいなと思いました。

Yさんは将来にすごく興味があるのか、こういう本をたくさん読んでいますね。定年後を知っている人が書籍として知見を文章化してくれているというのは、書籍を読む理由の一つだと思うのでとても良いことだと思います!

しゃばけ しゃばけシリーズ 1 (新潮文庫)【Kさん】

この小説は、江戸時代の話ということなので、登場する男性の皆さんは、髷を結っていることになります。(多分)
病弱だけど、やると決めたら必ずやる、芯の強い主人公も髷、その主人公に仕えている妖の犬神と白沢も髷、息子に甘い父親も、菓子屋なのに餡作りが下手な友人も、みんな髷。おそろ。
なんかアムラーみたいで面白い。と、一人謎のワクワクを噛みしめながら一気に読みきったのが、この「しゃばけ」です。
途中、話が中弛みするような感じがしますが、ミステリー要素も入っているので、飽ないと思います。
また、主人公が息をするように命を狙われるので、どう回避するかも見所だと思います。ただでさえ、病弱なのにホント大変。髷に魅力を感じた方、是非読んでみてください。

読書会の3月テーマが歴史物ということで、導入本として読んでいただきました(^○^)。私も読んだことあるのですが、妖怪と主人公のやりとりが面白い作品ですね。

チェンソーマン 11【Yさん】

やっと完結か〜と思いながら読んだら少年誌出禁レベルの内容で作者のアタマのおかしさを再認識しました(褒め言葉)

こういうこの人だから描ける!って作品が私も大好物です(^○^)

薬物依存症 【シリーズ】ケアを考える (ちくま新書)【Hさん】

薬物に限らず依存症の仕組みとか対象ごとのメカニズムの違いとか、それについての間違った偏見とか、そういうものが知れてものすごく興味深かった。
・依存症とは、たとえるならば、脳が「ハイジャック」された状態
・依存によって体質が変化した状態を「精神依存」と呼び、この精神依存こそが薬物依存症の本質
・日本の薬物対策は供給の低減に偏りすぎていて、需要の低減(やりたいと思ってしまう遠因を除外する)があまりにもおざなりにされている現実を訴える筆者
・更生に対して「大きな罰則」や「周囲からの失望」はあまり功を奏さないばかりか、その抑圧によってさらに依存度を高める逆効果もある(ダメ、絶対。ではダメ)
・依存症とは、本質的に「人に依存できない」人がなる病気、つまり「人に依存できない」病です。ですから、依存症からの回復には、人とつながり、そのつながりに依存できるようになることが大切
とかとか、精神科医目線なので薬物とか精神安定剤とかそういう話がメインですが、アルコールだったら身近に置き換えられるし、依存者への偏見をマイノリティ目線で思うところもあったり、なんか思考がまとまらないくらい余韻があります。
"依存症という、この「やめられない、とまらない」の状態から回復するには、絶対に必要な条件があります。それは、世界中で一箇所だけでいいから、安心して「クスリを使いたい」「クスリを使ってしまった」「クスリをやめられない」といえる場所、正直にそういっても誰も悲しげな顔をしない場所、誰も不機嫌にならない場所、決して自分に不利益が生じない安全な場所を持っていること"
って一節は、救われる側も救う側も、いろんな「つながり」が不足しているすべての人への救済って感じで印象的でした。

>日本の薬物対策は供給の低減に偏りすぎていて、需要の低減(やりたいと思ってしまう遠因を除外する)があまりにもおざなりにされている現実を訴える筆者
ここ、ハッとしてしまいましたね。

沖縄から貧困がなくならない本当の理由【Nさん】

久しぶりに喉の奥がひりつくようなやるせなさ感じる、良い本でした。
一言で言うと「変化を嫌い、"できるものいじめ"や同調圧力が醸成され、若者からは創造性が奪われている」といった内容。
・オリオンビールは県内ではシェアNo.1だが一歩沖縄を出ると他の大手に太刀打ちできない。それは48年続いている酒税優遇措置のお陰である。いわゆる既得権益。本来は立て直しを図るための5年程度の優遇措置であったはずなのに、むしろ優遇措置の期間を引き延ばすために労力を割いてきた。
・従業員の所得が低い←経営者が充分に給料を払わない←従業員的には頑張るリーダーはありがた迷惑、生産性高めようとも思わない(出る杭は打たれる同調圧力)。
・〇〇はあのおばぁのところから買いなさい、床屋はここへ行け、多少遠くとも知り合いの店を使えと教えられ、創造性奪われる若者。自尊心が失われていく。貧困の悪循環。
「どうしたら彼らをやる気にさせられるだろう?」ではなく「本来やる気のある、彼らの情熱を奪っているものはなんだろう?」と正しく問うことが必要と説く。
そして我々も、知らず知らず情熱を奪われている…かもしれないですよ?

私もこの感想を読んで興味をもって読んでみました!最後の「知らず知らず情熱を奪われている…かもしれないですよ?」がミソですね(^○^)

俺の歯の話【Kさん】

皆さんは子供の頃、抜けた歯をどうしていましたか?
我が家は、下の歯が抜けたら屋根に、上の歯が抜けたら地面埋める。という謎の風習があったので、それに従い、上の歯は植木鉢の中に押し込んでいました。歯って、土に還るのでしょうか?
また、世界には歯の妖精がいる国もあるようで。
こちらはお金と交換してくれるので、埋めずに貯めておけば良かったと少し後悔しております。さて、「俺の歯の話」でも、歯を金に変えています。
妖精の力を借りずに、競売を利用して。それをきっかけに、主人公は別世界へと引きずりこまれます。ただ、本人は気がつきません。
これは現実なのか?それとも幻なのか?境界線があやふやな世界を味わえる、そんな一冊です。

私は下の歯を屋根の上に、上の歯を床下に投げ入れるって聞きました。(実際にやったことはない)。歯を売るっていうちょっとホラー感のあるSFって感じが良いですね。

安野モヨコ『監督不行届』【Hさん】

庵野秀明と安野モヨコの夫婦生活を安野モヨコが描いたエッセイコミックです。
漫画のキャラクターのようにハチャメチャで、創作以外のあらゆる生活が破綻している庵野監督を安野モヨコが母のように、友達のように支えていく日常を面白おかしく描いています。
執筆時期は序公開の前なので、 庵野さんの社会的重圧がまだ少なく、もっとふわっとしているかもしれません。続編が待たれる。

シンエヴァもドキュメンタリーも人気ですし、読んで損はなさそうですね(^○^)

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