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120秒で読める iSCSI の命名規則

こんにちは。辻村です。この記事は以前に書いた iSCSIの記事のアンコールです。
内容については加筆されていません。

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旬のネタを書くのはある意味その記事の寿命を縮めてしまうので多少ちゅうちょする。もちろん、興味がないことを書いても読んでいただけないので、統計なども取っている。どうやら iSCSI について情報を探している方もいらっしゃるようだ。ここ何日かの傾向であって、もしかしたら全訪問者の 2% くらいの人に向かって書いているかもしれないけれども、一度多くある iSCSI の用語について書くのも良いかと思った。そういった訳で、今回は iSCSI の命名規則について書こうと思う。

1. IQN と EUI


iSCSI のイニシエータなどを指し示すのに、2 種類の命名規則がある。一つは IQN (iSCSI Qualified Name) といい、もう一つは EUI (Extended Unique Identifier) という。それぞれ、iqn. あるいは eui. で始まる。厳密には EUI のほうは EUI-64 というらしい。

1.1 EUI


EUI は IEEE (あいとりぷるいー)で規定されているアドレッシングの方法で、EUI-64 という。64 ビットで世界中の機器を示そうとしたものだ。これは、IEEE Registration Authority が指定する 24 ビットの Company ID というものと、各会社が自由に割り振れる 40 ビットの extended identifier からなる。64 ビットだが冗長なので、通常は 16 桁の 16進数で表される。この Company ID は OUI (organization unique identifier) と言った方が通りがよいかもしれない。
(なお、16進数の一桁は 8 ビットなので、16 桁で 64 ビット分となる。)

iSCSI でこの表記をするときは、eui.ABCDEF123456789a となる。(ABCDEFの部分が OUI、残りの文字がextended identifier にあたる)

ただ、見ていただければ分かる通り、人間には分かりづらいこと間違いない。

1.2 IQN


IQN は異なる命名方法を採用している。例えば、Solaris の場合は、以下のような IQN である。

iqn.1986-03.com.sun:01:c861b3d5e000.4c900faa

ご覧のように、年、月が入り、ドメイン名を逆に書いた上で、16進数が並んでいる。これはドメインを取得した年月を yyyy-mm の形で並べたものだ。その後、ドメイン名が逆順でくる。: (コロン)以降は実は各ベンダーが決めていいことになっている。 機器のシリアル番号などを使うことも多いようだ。MAC アドレスを使っても何の問題もない。IQN もそんなに分かりやすい訳ではないので、alias (別名)をつけることができる。EUI よりはとりあえずベンダーは分かるのでましという程度だ。

なお、IQN は規格上 UTF-8 で記述され、223 文字をこえてはならない。(手元の資料は 2005 年のものであるので、改定されているようであればご容赦いただきたい)

2. ISID (Initiator Session ID)


ISID は iSCSI のログインのときにイニシエータ側が自分を名乗るための ID である。ここでも何種類かの実装方法があるが、一つは、OUI の下位 22 ビットをを使い、24 ビットを識別子 (qualifier) として使う方法である。つまり、IQN は内部で EUI に含まれる OUI を使った ISID に変換されて外に出て行く。

3. TSIH (Target Assigned Session Identifying Handle)


TSIH はログインをしたときにイニシエータに対してターゲット側が返す値だ。ISID と TSIH は一緒になって SSID (Session ID) となり、セッション管理に使われる。イニシエータが同じ SSID でログインを要求することで、別途ご紹介しようと思っている iSCSI での冗長化が行われる。

今回は短いことを信条としたので、多少はしょったところはご容赦願いたい。

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