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玉置浩二LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2024"Pastorale"万博記念公園

週末に万博記念公園で行われた玉置浩二のシンフォニックコンサートを拝見して来ました。
そのレビューを記事にしました。
無料でどなたでも読めます。


野外でライブするということ

玉置浩二のシンフォニックコンサートを拝見するのは、今回で5回目になります。そのうち4回は、いずれも大阪フェスティバルホール。
日本で一二を争う音響が抜群と評価されるホールです。多くの実力派の歌手や海外アーティスト、もちろんクラシック歌手の殿堂ですね。
そこで拝聴する玉置浩二の歌声は格別のものがあります。
ですが、今回、拝見したのは、野外。
それもかなり大きな会場である万博記念公園のお祭り広場。

私は野外コンサートというのは、音楽フェスなどで何度か経験したことがありますが、そのどれもがバンドによる音響で、今回のようなオーケストラによる生演奏と歌というのは初めての体験でした。
野外ライブというものは、先日の国立競技場でのAdoのライブ音響に対する批判騒動にもあったように、ある意味に於いては非常に難しい問題を孕んでいます。
しかし、今回のライブに関しては、そういう批判が全く起こらないというのは、彼自身のこれまで積み上げてきた実力と評価以外の何者でもないでしょう。

彼のライブの特徴である、マイク外しによる歌唱は、今回、野外であっても果敢に行われました。
その歌声が響き渡る時、会場が静寂に包まれ、しんと静まり返った空間を真っ直ぐに歌声がどこまでも伸びていく。
その歌声に包まれる至福のひとときは、その会場にいた人達にしか体験できない特別のものです。

静寂の中の一本の糸がどこまでもどこまでも伸びていく。

まさにそのような空間だったと感じます。

玉置浩二が歌神と呼ばれる所以

玉置浩二が「歌神」
即ち、歌の神様という別称をつけられるようになって久しい年月が経ちます。
今回の彼の歌声も、昨年、2度に亘って拝聴した歌声、さらにこの3月に拝聴した歌声もなんら変わることがない、という印象を持ちました。
それよりも、今回は、非常に彼自身がリラックスした中で歌を楽しんでいる、ということを感じました。

彼の歌声の大きな特徴は、2つの色彩にあります。
1つは、ピンと張ったやや甘めのベルティングボイスと思われる歌声です。
この歌声は顔の前の部分に声を当てて響かせていくものですが、彼の中・低音域を中心に使われる力強い歌声です。
これに対し、高音部に使われるファルセットからのヘッドボイスがあります。
いわゆる裏声と呼ばれるものになりますが、非常に綺麗で艶のある優しい音色を持つものです。
この2つの歌声が彼の歌を支えます。

これらの歌声は多くの歌手達も使っているものですが、それらの人達との大きな違いは、玉置浩二の場合、「背中で歌っている」ということが言えるでしょう。

普通、歌うという行為に於いて、重要視されがちなのは、腹筋力で、呼吸法の中でも腹筋を使った方法が重要視されがちです。
しかし、実は、腹筋力では身体のバランスを保つことは出来ません。
いい声を出すためには、腹筋だけでなく、背筋も重要な役割を持つことは、少し専門的に歌をやったことがある人なら、誰でも知っていることです。

玉置浩二の場合、歌声を聞いていると、「背中で歌っている」ということを非常に感じます。
即ち、彼の歌声は、腹筋よりも背筋によって、ズドーンと、身体の前面へ押し出されている、ということなのです。

以前、平原綾香が、彼が歌っている時に身体を触らせてもらったとき、「背中からズドーンと歌声が通っていく感じだった」と話しています。
まさに、彼の歌声は、身体を大きな一本の筒に見立てて、その中をズドーンとブレスと共に歌声が通り抜けていく。
そんな感じがするのです。
そして、それこそが、私もかつて学んだクラシックの歌手が習得する発声法そのものと言えるでしょう。
クラシックの歌手とポップス歌手とでは、自ずと声の出し方が異なりますが、呼吸法、背筋を使う、という点に於いては、彼のように上手い歌手では、まさに同じだということが言えます。
そして、それが出来るからこそ、あの広い野外会場でも、マイクを外して、ワンコーラス、歌い切ることが出来るのであり、その歌声は十分、会場の隅々まで響き渡ることが出来るということなのです。

彼は、この数年、非常に精力的にライブを行なっています。
1年の前半はクラシックコンサート、後半はバンドツアーという形のライブスケジュールが当たり前のようになりました。

会場には、明らかに20代、30代の若い世代のファンの姿も多く見られ、「歌神」と呼ばれ、多くの若手アーティスト達が憧れる彼の歌声を一度は聴きたい、と思う人(一度聴けば、リピートしたくなり)がファン化していく、ファン世代の広がりというものを感じさせました。

今回は、野外ということで、最後には、花火が夜空を彩り、太陽の塔の見守る中、非常に思い出深いコンサートになりました。

※ライブの印象的な曲の詳細については、また別記事で配信したいと思います。


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