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稲木紫織のアートコラムArts & Contemporary Vol.29

大竹省二写真展
『COLOR DREAMS
カラー写真が夢見た時代』開催中

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フジフイルムスクエア写真歴史博物館の会場

六本木の東京ミッドタウン、外苑東通りに面したフジフイルムスクエア写真歴史博物館にて、戦後の日本写真史において大きな足跡を残した写真家・大竹省二の展覧会『COLOR DREAMS カラー写真が夢見た時代』が開催されている。高度経済成長へと向かう1960年代、カラー写真は新しい時代の到来を告げる、夢と希望を象徴するものであったろう。展示された色鮮やかな写真たちからは、弾むような時代の息吹が伝わってきて目を見張らずにおれない。

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「佐久間良子」Photographer, Shoji Otake ©Ayumi Otake

富士フイルムの主催による企画写真展のために、これらの作品を選び展覧会に結実させたのが、大竹省二さん亡き後も、大竹作品を守り、管理し続けている大竹省二事務所のディレクター、大竹あゆみさんだ。大竹省二の魅力と本展の見どころについて、あゆみさんにお話を伺った。

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「浜美枝」Photographer, Shoji Otake ©Ayumi Otake

大竹省二は1922年、静岡県に生まれる。10代の頃から写真に熱中。1942年、上海・東亜同文書院に入学。同年、学徒応酬。1945年、復員。1946年、GHQ(連合国軍総司令部)の広報部所属となる。1950年、INP(米国通信社)東京支局・写真部長。同年、フリーランスに。1953年、二科会写真部の創立会員となる。日本を代表する作家、俳優、芸術家を撮影。女性のポートレートやヌードで一世を風靡した。1992年、日本写真協会功労賞受賞。2015年、逝去。

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「草笛光子」Photographer, Shoji Otake ©Ayumi Otake

あゆみさんとの出会いはユニークで運命的ですらある。あゆみさんはもともと写真が好きで、中学生の頃から、修学旅行で撮影した写真で旅行記を作って楽しんだりしていたが、写真家になろうとは全く思っていなかった。名古屋での学生時代、就職活動で苦心する中、専門学校の写真コースに通い始め、「大竹省二事務所、秘書募集」の張り紙に遭遇。試しに受けたら合格し、上京することに。

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