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稲木紫織のアート・コラムArts & Contemporary Vol.20

現代音楽作曲家・近藤譲作品を
30年演奏し続けるピアニスト
井上郷子さんの芸術と日常の間

井上郷子さんは現代作品を軸に演奏するピアニストである。近藤譲のみならず、リユック・フェラーリ、モートン・フェルドマン、ジョン・ケージ、甲斐説宗、武満徹、松平頼暁など、多くの著名な作曲家の現代曲を初演。また、委嘱作品を演奏。近藤譲は世界的に活躍し、私が最もクリエイティブだと思っている作曲家である。「線の音楽」という彼独特の作曲方法論によって書かれた作品は、一見シンプルだが超絶技巧を要し、世界中の演奏家たちのアレンジ魂を鼓舞し続けている。

先日、郷子さんの30回目のピアノリサイタル「近藤譲ピアノ作品集」を聴いた。コロナ禍でなければ、昨年末、ドイツのケルンを本拠とする西部ドイツ放送(WDR)で、近藤譲の2013年以降のピアノ曲を集めた3枚目のCDをレコーディングする予定で、それによって、これまで発表した2枚のCDに加え、現在までの近藤譲ピアノソロ作品をすべて録音できるはずだったという。これを知って、ここまで近藤譲作品に肉薄しているピアニストに、インタビューしたくてたまらなくなった。

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リサイタルにて

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