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稲木紫織のアート・コラムArts & Contemporary Vol.22

時空を超えた美の館
新緑溢れる東京都庭園美術館
「艶めくアール・デコの色彩」展

🌟庭園美術館も緊急事態宣言を受け、5月11日まで臨時休館です。
 ご注意ください。

JR目黒駅から徒歩数分。東京都庭園美術館を訪れたことがおありだろうか? ここは、隣に自然教育園の林野を臨み、都心とは思えない鬱蒼とした緑に囲まれた、まさにサンクチュアリのような美術館。本館は1933年に竣工した旧朝香宮邸で、フランス滞在中、1925年のアール・デコ博覧会を見学して魅せられた朝香宮夫妻が、アール・デコの粋を集めて実現させた自邸である。

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東京都庭園美術館外観

1983年、庭園美術館として開館以来、200近い展覧会を開催してきたが、年に一度、建築物としての魅力を伝える建物公開が実施され、本展はその一環として、旧朝香宮邸における色彩に改めて注目。本館では邸宅空間の再現展示、新館ではアール・デコ期の絵画などを展示し、色彩を印象づける展覧会が4月24から始まった。

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外看板

本館1階に入館してすぐの大広間と外を仕切っているのが、庭園美術館のシンボルとも言える、ルネ・ラリック(1860-1945)のガラスレリーフ扉だ。朝香宮邸のために製作されたが、ラリックに依頼したのが、パリのアール・デコ博の内装デザインを手掛けた、装飾美術家のアンリ・ラパンだった。

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正面玄関。ルネ・ラリックのガラスレリーフ扉 

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