同人女、体型診断とパーソナルカラー診断を受ける

同人女、悩む

2024年春。当年とって31歳になるオタク、日々色々と悩みがあるものの、直近二つのことに悩んでいた。一つ、家族からもらう誕生日プレゼントを何にするか。二つ、クローゼットがもので溢れかえっているのをどうするか。

まず一つ目だが、実家の家族(父と母と妹)からは毎年、予算大体一万〜三万くらいのものを贈り合う。しかし、一万くらいで欲しいな〜というものがあればみんな社会人。自分で買えてしまうし、そもそもオタクの欲しいものは販売というかまだ存在していない。クリプターたちのるかっぷとかねんどろ欲しいと思っても、発売していないのである。無理だ。
ということで、近年はだいたいネタ切れだった。去年なんかは「ハンズとかロフトで売ってる自分では絶対買わないけどプレゼントにはしたい文房具」をリクエストして、万年筆のインクを混ぜる用のポットとラメの素を貰った。いつまでもラメでテンションを爆上げする女児だと思われている。エクサタ!
そんなこんなで完全にネタ切れ状態のまま、誕生日が近づく。家族のグループラインで「なんか欲しいもんないの?」と聞かれるが「うーん」なのである。
しかし、私の誕生日の少し前、妹の誕生日に革命が起こる。妹は「美容院のヘッドスパ代」を誕生日プレゼントとして指定。なるほど、「体験」にお金を払う──そういうのもあるのか。

二つ目、クローゼットの空きがない。服はそんなにもってないはずなのになぜ?と思ったが答えは簡単だった。薄い本と漫画が中に入っているから。
そもそも東京の家は狭い。ウサギゴヤ=ハウスである。そして、そろそろ2歳の下の子が、漫画の本とカバーと帯をバラバラにして違うのに付け替えるという悪魔の遊びを楽しんでいる。ので、大事な本は避難せざるを得ない。薄い本についても、夫はBLも嗜むので別に読まれても構わないが、子に読まれては万死どころか百億死に値する。ティエリアもブチ切れ間違いなし、切腹するしかなくなる。……というわけで、クローゼットがパンパン。そこで、本を減らす方向に行くわけがないのがオタクである。服を減らす。だるだるになっている服を捨てるにしても、無事な服のうち、似合うものを残したい。でも、何が似合うのか全〜然分からん。だって三十年、ファッションに特に興味なく生きてきたから!

思い返してみれば、中高は女子校で土曜まで授業があったために私服を着るのは日曜日だけ、その日曜日もだいたいガールスカウトに行っていたため制服があった。
大学は私服だが、文系ですら男女比7:3、大教室の前の列に座ってる人がみんなチェックシャツのチェック一色(おそらく役満)が発生する大学だったので、ファッションが話題になることはなかった。そもそも、研究室に泊まり込むコーデなんて某女性誌だってさすがに特集していないだろう。
社会人にいたっては、スーツの青山でマネキン買いをすることで解決していた。要は、制服があるようなものである。

というわけで、三十年も生きてきて似合う服がわからない。わからないから誰かに教えてもらおう!!というわけで、家族からプレゼントでパーソナルカラー診断チケットを貰い、行ってきました。特に参考にならないレポです。

同人女、予約をする

行くのは伊勢丹新宿店。伊勢丹。新宿。この文字の並びだけでビビっているが、もう行くしかない。ちなみに、パーソナルカラー診断とは別枠で、体型診断というのも予約した。なんか、センサーとかで体型を測って、どういう形の服が似合うのか教えてくれるらしい。こちらは3300円だが、伊勢丹のクレカを作るとタダになるらしい。ま、服買う時そのデパートのクレカ使った方がいいよね!ということでこれも予約することにする。新宿なんて滅多に行かないから……。

予約する時に、いつも着る洋服のサイズだとか、ブランドだとか、こういう服が欲しいとか予算を記入する。
いつも着るブランド?ユニクロ……だが、ユニクロだけでは判断に困るだろうと思い、二着ずつしかもっていないがAMACAとMackintoshも書いておいた。若干の見栄。
予算。予算……あんまり低すぎても「こんなお値段じゃ紹介できるお洋服はありませんわ!」になりそうだし、高すぎてめちゃ高級服出されても困ってしまう。うちの洗濯機は手洗いだろうとネットに入れて洗うし気遣いはエマールのみである。うちじゃ生きていけない。悩んだ末、巌窟王(モンテ・クリスト伯の方)を宝具6にするために使った七万円と書いておいた。何言ってるかわからないと思うが、私もよく分かっていない。
それから、希望する条件やどういうシチュエーションで着たいか。とりあえず、家で洗濯できることは必須だ。子供と砂場に行くかもしれないからね……。そして、シチュエーション。別に職場に着て行くつもりはあんまりない。それよりもっと重要な場所──保護者会である。今はまだ保育園なのでそうでもないが、小学生とかになった時に、子供が「〇〇ちゃんのお母さん、ダサッ」なんて言われたらそれも百億死に値する。まあ口さがないいじめっ子はなんでも悪くいうものだが、子の弱点と化してはならない。……というわけで、保護者会くらいはいけるちょっとかっちりめのカジュアル、と書いた。ちょっとかっちりめのカジュアルってなんやねん、と思ったけれど、そこは伊勢丹のベテラン店員さん、いい感じに読み取ってくれるだろう。デパートといえば伊勢丹、という環境で生きてきたので、伊勢丹への信頼が謎に厚い。
さて、あとはいよいよ行くだけである。いざいかん新宿の彼方!

同人女、新宿に降り立つ

途中、反対方向の電車に乗るというハプニングはあったものの、なんとかたどり着いた。新宿に最後に来たのはキンプリの応援上映だったというのに、よく頑張った方だと思う。ちなみに私は方向音痴であり、せっかく伊勢丹についたのに中で迷った。
さて、とにもかくにも診断である。婦人服フロアの中に、パーソナルラボというところがあ……あ、あそこだ〜!!めっちゃ受付にお姉さんいる〜!!遠目にも分かる、めっちゃキラキラしてる。
「日坂さまですね、お待ちしておりました!」
「アッ、よ、よろしくお願いします……」
という陰キャ仕草をしつつ、まずはクレカの申し込みである。ちなみにアプリで事前に申し込むこともできるらしい。最近はすごいなぁ……大体十分くらいかかったので、事前に申請して行くことをおすすめします。ごめんなさいお姉さん。

予約したのはお昼前に体型診断、その後一時間挟んで午後からパーソナルカラー診断。
「間挟みますがよろしいですか?」
「あ、はい、大丈夫です」
「お昼ご飯食べたいですもんね!」
と明るく言ってもらいつつ、実際は新宿オカダヤでドール用の装飾と子供服用の布を買う用の時間である。
この時点で「アッ」と言いすぎてるので、たぶん担当のお姉様方にも陰キャであることは伝わっただろう。ちなみに、体型診断をしてくれるのが母くらいの年齢のお姉様で、パーソナルカラー診断の方は50代とおっしゃっていた。どちらの方もハキハキを絵に描いたような感じで、めちゃくちゃテキパキクレカの申請書(タブレット)が操作されていく。

「それではこちらにどうぞ〜」
私がほへ〜としている間に、機械の操作が終わったのか測定室に入る。四方の柱にセンサーカメラが埋め込まれていて、中に入った人をそのまま3Dモデルみたいにする。肩幅とかウエストとか、そういうのを全部まとめて測れるすごい機械……らしい!センサーが赤いレーザー光線みたいに見えることはないのだが、見えてたら映画バイオのアレっぽいなとちょっと思った。そうしたら私はサイコロステーキ同人女である。
髪の毛をまとめてあげて、服を脱いで案内に沿ってポーズを固定して三秒間静止する。案内の仕方が完全にプリクラ。立ち方は仁王像みたいな感じ。
服を着ながら、レシートみたいな診断結果が出てくるのを待つ。肩幅とかウエストなら自分でもギリ測れなくもない気がするが、股下や床から肩までの高さ、太ももの周径とかも全部数字で出てくる。ネットで服を買うときも役に立ちそう。あと、太もももふくらはぎも左の方が1センチ以上太いというのも初めて知った。知ったところでどうするという話だが、やはり利き足とかいうのもあるんだろう。
それから、身体をもし輪切りにしたら平に近いか円に近いかも出てくる。平に近ければ1、円に近ければ5でまさかの1だった。ありとあらゆるところで平均的、少なくとも日本人女性の1標準偏差内におさまる体型のはずだが、こんなに平だとは驚いた。自分の身体を輪切りにしたこととかないから……。
「おつかれさまでした〜」
そうして部屋を出ると担当のお姉様が待っていてくれる、結果はタブレットの方に飛んでいるらしい。
その数値から、上半身の形状と下半身の形状の特徴を算出し、9つのタイプに振り分ける。ちなみに私は8つめのXタイプだった。
さらに、身体の厚みがない(あれだけ平ならそれはそう)ので、首元が詰まったりボウタイのような大きめの飾りがあるものがおすすめ。ボトムはワイドパンツやフレアスカート、だいたいのサイズ(7号とか9号とか)も教えてくださる。アプリから見ると、おすすめの販売員さんコーデが出てくる。これがめちゃくちゃ参考になる。身長159センチなので大きくも小さくもなく、真似できそうなコーデが多い。これを教えてもらっただけで十分価値はあるのだが、なんとこれクレカの特典で無料である。マジ?
上半身はコンパクトに、ということなので家にあるチュニックを古着屋に持ち込む決心がついた。

同人女、パーソナルカラー診断を受ける

新宿オカダヤにダッシュを決めたのち、パーソナルカラー診断を受ける。なんとか迷わずにつけた。
「さきほど体型診断を担当したものと、のちほど一緒にお買い物させていただきますので〜」
とパーソナルカラー診断のお姉様に言われる。え、つまりお姉様二人を侍らせてお買い物ってコト⁉︎お嬢様じゃん!と思いつつ、「アッ、よろしくお願いします……」と返すに留まった。
パーソナルカラー、伊勢丹ではよく聞く春夏秋冬ではなく、Delight, Sophisticate, Harvest, Permanentで分けるらしい。
そしてよく見かけるアレである。なんかいっぱい同じような色の布が集まってるやつ!例のアレだ〜!とテンションが上がる。
「一枚一枚あてていきます、似合うお色がきますと、肌が明るく、クマが目立たなくなり、瞳がキラキラして見えるのですぐわかりますよ!」
いや肌が明るい、クマが目立たなくなるくらいは分かるけど、瞳キラキラは言いすぎやろとちょっと思った。そもそもメガネを外して診断する(メガネのフレームの色が邪魔するらしい)ので、私には薄ぼんやりとしか見えないのだが……。
と、思ったが、肌が明るく見えるのは本当に分かった。むしろ、メガネを外して薄ぼんやりしていたからわかったのかもしれない。首元がさっと明るくなる。あと似合わない色は本当に青白く見える(私は冬、Permanentをあてると完全に病人だった)。この色の服、会社に着て行く用にするか……。
色相環ぐるっと診断して「お客様は夏、Sophisticateですね!」とお姉様から一言。夏って言っちゃってるけどいいのだろうか。
そして夏の中にも合う合わないがあり、イエロー系は本当になんというか……野暮ったい感じになることが分かった。逆に得意なのは青系。好きな色なのでラッキーである。
「あの、推しの色が紫なんですけど……」
「紫でしたらウィスタリアなどがおすすめです」
藤の色って……コト⁉︎とテンションあげつつ、具体例をいろいろ出してもらう。口紅の色だったり、ヘアカラーの色だったり。あと色の名前見るだけでも楽しい。
パーソナルカラー診断で、似合う色の色見本がついた紙をもらえる。水彩絵の具の色見本みたいでかわいい。
そしていよいよお買い物タイムである。どういうシチュエーションに着て行くのか、外せない条件はあるか、普段着ている洋服のテイストみたいなことをもう一度確認。
「今ですね、おすすめしたいのが三着くらい浮かんでますので!では行きましょう!」
心強すぎる。

同人女、買い物をする

さきほどの体型診断のお姉様も合流して、まずは出てすぐのところでワンピース、パンツ、ニットなどを見る。
「この!この色です!このサックスブルーですね」
「これワイドパンツもなかったですか?」
「ここにあったキャミソールワンピ、どこいきました?」
「ベージュじゃなくて黒の9号ありますか?」
みたいな感じで、お姉様たちがどんどん服屋さんの店員さんに商品を出してもらう。三着くらい思い浮かんでいると言ったのはマジであり、三着どころか五着くらい選んだ。もちろんこれ全て買うわけではない。
「じゃあこれをラボの方運んでおいてください」
というと、たぶん仮の会計処理かなんかをして、パーソナルカラー診断をやるブースの近くに運んでもらえる。ここで一気に試着ができる!
違うブランドに移ってまたトップスを選び、さらに違うブランドに行ってカーディガンを選び。十着くらい選んだのが、ブースに戻る頃には運ばれていた。すごい、なんだかお嬢様っぽい!
そこからはひたすら試着である。しかし、ブランドAで選んだトップスとブランドBで選んだパンツを組み合わせて一気に試着できるのはありがたい。上半身はコンパクト、下半身はふわっとした感じ、なので組み合わせも大事だ。色のトーンも揃えたいし……と思うとやっぱり一緒に着てみるしかない。普通、会計前の商品をよそのブランドで試着することはできないだろうし、そういう意味で一気に試着できること自体が貴重すぎる。
もちろん、着てみるとなんだか微妙だな?というのもあった。
「このワイドパンツだとダボっとして見えますね……同じ色でテーパードがあったと思うので、持ってきます」
と試着を繰り返す途中でまた持ってきてもらう。色は気に入っていたので、形が違うのであればそれは万々歳だ。
紫色のものが欲しい、と言ったのも汲み取ってもらい、
「ラベンダーとヴァイオレット、どっちが推し色に近いですか?」
とか訊いてもらい、いい感じのラベンダー色のカーディガンを持ってきてもらったり。最終的に、十着の中から四着を選んだ。会計は七万三千円……にもろもろ特典のポイントなど入って六万九千円になった。よ、予算内!
購入したものの中では、自分では選ばないような色のものもあったけれど、実際着てみると顔色がよく見えた。色の力ってスゲー!私の顔より薄い本の表紙を見てもらうことになるだろうが、同人イベにはこの服で行こうと思う。
試着しながら「この色お似合いですね!」とか「もう少し優しい色味の方が……」とか「ウエストマークのあるワンピースはやっぱり似合う」とか、データとともに教えてくれるので安心感が違う。ありがとう、お姉様方……!

さいごに

色々と似合う色、似合う形を探したわけだが、どうしてもこの色が好き!ということはあるかもしれない。
「そういうときは遠慮はいらないんです、好きな色をつけるときが一番ですからね!ただ、少しずらせるなら同じ紫色でも淡めの……だとか、工夫していただくことでもっとお似合いになります」
と言ってもらえたので、遠慮はしないでおこうと思う。白は二百色あるらしいので、二百もあれば白のカテゴリの中でも似合うものがあるだろう。
そして、長らく自分の服を買っていなかった(子供服はホイホイ買っていたのだが……)ので、人とお話ししながら買い物するのがめちゃくちゃ楽しかった。特に買わせようとする圧もなく、楽しんでお買い物できたと思う。ここで教えてもらったことを指針にして、クローゼットをちょっとマシな状態にしたいものだ。今度、同人イベで新しい薄い本を買うためにも。
もしイベント等で私に会って、ちょっとおしゃれになっていたら伊勢丹のお姉様方のおかげである。もし大して変わっていなければ、まあ人間そう簡単に変わらないよね、と人生の真理を実感してほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?