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コーチング脳で『がん医療』を考える⑨

ここまで、過去の楽しかった思い出などから『価値観』を抽出する方法、そしてそれをすることの重要性をお話してきました。
そのうえで、「本当はどんな未来を望んでいる?」「未来、どんなことが起こっていたら最高?」という質問を考えてみましょうというお話までさせていただきましたので、今回はその次のステップに進んでいきたいと思います。
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▼新たにゴールを設定する
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自分の『価値観』を発見し、それに沿った『希望』をイメージしてみたものの、現実離れしてしまっており、とても実現することは難しいと考えてしまっているかもしれません。
特に「がん」患者さんの場合、「もし『がん』でなかったら?」とか「『がん』が治ったとしたら?」という前提で想像した未来ではあるものの、現実的には医者から「がんを治すことは難しいです」と言われていたりすると、「『がん』治る」という前提自体がとても苦しいものになってしまい、結局無理じゃんってなってしまいかねませんが、大切なのは「方向性」なのだと思います。
がんが治る治らないの問題から少し離れて、自分軸に沿った方向はどちらの方なのか?
その方向に向かっていくのがワクワクするのであれば、がんがあろうがなかろうが、その方向に向かっていくことが幸福につながる道なのではないか?と考えませんかということではないかと僕は理解しています。
北の方角にゴールがあるのであれば、道がわからなくとも北極星に向かって進めば、少なくともゴールと反対方向に進んでしまうことはなく、少しずつゴールに近づくことはできるはずという考え方なのだと思います。

そして、その幸福への道を進むために、「現実的に、まずはどこを目指しましょうか?」というのが次の問いです。
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▼「がんが治ったら、その体験をがんで困っている人に伝えたい!」
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前回僕が勝手に描いた目的がいくつかありました。
その一つが「がんが治ったら、その体験をがんで困っている人に伝えたい!」でした。
もしこのように考えている方であれば、抗がん剤治療中であっても現在進行形で自分が困っていることに対してこう考えてこのように対処してみたら、その結果どうだった。成功例だけでなくてもいいと思います。失敗であったなら、次は●●をしようと思う、などをがんが治る前からSNSなどで情報共有してみようとか考えてみてもいいと思います。
別な方法としては、がん患者さんが集まっている会に参加して、そこで話し合ってみようとかもよさそうです。
これらはどれをするがいいと言うよりは、これまでにはあまり自分では積極的に考えなかった行動について検討したりできるようになることが大きなメリットだと考えています。
実際にSNSに投稿しなくても、困りごとに対して自分で色々と解決策を調べたり、考えたり、それを実際にやってみたりしていくなかで、自分自身が多くのことに気がついたり、学んだりできるようになるだけでも大きな進歩と思います。
またがん患者さんが集まる会に参加できなくても、待合室でとなりの人に話しかけてみたら、ためになる話が聞けたり、誰かに話しをするために下調べをするようになれば、それも大きな進歩なのではないでしょうか?

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▼「がん患者さんが集まれるカフェを作りたい!」
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夢が「カフェ」であった場合はどうでしょう?
まずは気の合ったがん患者さん数名と最寄りのカフェにいって色々とお話ししてみるところからはじめてもいいでしょう。
まだそのような一緒にカフェに行くような「がん友」はいないよというのであれば、病院などで開催されている勉強会や患者会・がんサロンなどに参加して、参加者の方とお話ししてみるなどが第一歩になるかもしれません。
「カフェ」を作りたいのは、「自分と同じように困っている人が集まって相談できる場所」を作りたいと翻訳できれば、実際にカフェを開かずとも、自宅に紅茶やコーヒーを用意して、「がん友」を招き、そのような会を開くことも可能かもしれません。

ここまで読まれてお気づきと思いますが、重要なのは未来の夢が実際に叶うという結果ではなく、その夢に向かって第一歩を踏み出すことだと僕は考えています。

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▼現実的な計画を立てるための4項目:GROW
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ここまでの話の流れは、コーチングで最も基本的なモデルとされる「GROWモデル」を使用してきました。
「GROWモデル」とは、「Goal」「Reality」「Option」「Will」の4つの単語の頭文字をとって名付けられたものです。
下に少し解説を加えます。

■Goal(ゴール):「どんな状態になることを目指しますか?」
まず一番初めに望む状態=ゴールから設定することがポイントだと思います。
そしてなるべく具体的な方がよいです。具体的であればあるほど、そこにたどり着くための行動を考えやすくなるとされています。

■Reality(現状):「今既にできていることは何ですか?」
できていないことに着目するのではなく、できていることをできるだけたくさん列挙することが重要です。
「ゴールと現状では何が違いますか?」
現状とゴールのギャップを明らかにすることで、そのギャップを埋めるための方法や行動が考えやすくなります。

■Option(選択肢):「どんな方法がある?」「他には?」
ゴールに近づくための方法をたくさん出せるといいです。
一つだけだとうまくいかなかった時にそこで止まってしまいますが、たくさんの選択肢があれば、次はあれをやってみよう、こっちの方がいいかも・・と、うまく行かなくても安心です。
うまくやっている人はどうやっているのだろう?とか、自分では考えつかないような方法をやっている人は世の中にたくさんいるので、そのような人を参考にして見るのも効果的です。

■Will(意思決定):「具体的に何から始める?」
最後に実際に行動を起こせるよう、具体的な行動をあげ、近いうちに実行してもらうよう約束します。
「GROWモデル」や「コーチング」で話してワクワクできた気持ちだけで終わってしまってはもったいないです。
実際に行動してみたからこその気づき・学びはとても大きいと思います。

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▼まとめ
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どうでしょうか?
「GROWモデル」を使えば自分にもコーチングができるかもって思ってもらえたらうれしいです。
困っている人から相談を受けたら、是非このコーチング的な関わりをしてみていただけると、これまでの相談とはひと味もふた味も違う結果が出るのではないかと思います。
レッツ、コーチング!

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

“コーチング脳で『がん医療』を考える”シリーズ⑨はいかがでしたでしょうか?
何か参考になることがありましたら嬉しいです。
次回以降もどうぞよろしくお願いいたします。

この文章は、宮越大樹さんの著書『人生を変える!「コーチング脳」のつくり方』(ぱる出版)を教科書として、『がん医療』にコーチングを応用する方法について考えておりますので、まだ本書をお読みでない方は是非とも読んでみてくださいませ。

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