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がんと『楽しむ力』(その2)

先日、『楽しむ力』をつけましょうという提案をさせていただきました。
今回はその続きとして、
では、どうしたらその『楽しむ力』をつけることができるのかについて考えていきたいと思います。

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STEP1:明確な目標・目的をもつ
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明確な目標があり、それを達成することにワクワクしているような仕事の場合、多少辛くても頑張れたりします。
一方、同じ仕事であっても、明確な目標を知らされず、何のためにやっているのかわからない状態だと、やっていることが辛く感じたり、すぐに飽きてしまったり、時間が長く感じたりするのではないかと思います。
抗がん剤治療も基本的には同じだと考えます。
つまり、目標・目的が明確でなく、急に「がん」になってしまって、治療は抗がん剤になるといわれたからやっているという状況では、副作用が辛い場合に辞めるという選択をしやすくなってしまうでしょう。
逆に、抗がん剤治療をうけることに明確な目標・目的がある、例えば孫が結婚するまでは元気でいたいなどの場合は、それを目標に頑張れそうです。
孫が無事結婚したら治療を辞めてしまうのかというと、僕の経験上そういう方はほぼおらず、きちんと次の目標を決めて、それを励みに抗がん剤治療を頑張っています。
ですので、まずは抗がん剤治療を行う目標・目的をきちんと明確にしましょう!

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STEP2:自己コントロール感
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抗がん剤の投与日は定期的にやってきます。
「明日は抗がん剤の日だ。憂鬱だなぁ~」
「抗がん剤入ると、数日は調子悪くなるから、あの予定はキャンセルしなきゃ」
と、抗がん剤を中心に自分の生活が回っていく感じになってしまうことが多いです。
そうすると、やらされている感じや他の人に決められている感じが強くなり、モチベーションが下がりやすくなってしまいます。
「あくまでも、自分でやると決めたからやっている。」
「やりたくなくなったら、自分の意志でやめられる。」
「予定だって、抗がん剤治療よりも優先することがあってよい。」
というように、自分主導で治療を行っているという感覚、いわゆる自己コントロール感を手放さない方が長続きしやすいと考えています。
時々ですが、血液検査等ではこれまでと変わりないのに、副作用が強く発現してしまうことを経験します。こういう時、よくよく患者さんに聴いてみると、
「あのときは実はいつもより調子悪かったんだ。でも、先生が抗がん剤治療できるって言うから受けたんだけど・・」
という風に、本人の感覚の方が正しい場合が多々あります。
担当医の意見も重要ですが、自分自身の感覚も大切にして、最終的には自分で決めるくらいの方がうまく行くことが多いような気がします。

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STEP3:無理矢理にでも楽しいところを探してみる
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辛い状況の中でも『楽しむ』ということは、辛い状況の中に楽しめるポイントを見つける必要があります。
例えば、抗がん剤による「吐き気」がつらいという場合、吐き気止めを飲むタイミングを色々と調整してみて、一番自分の生活にしっくりくる所を探ってみる。
●「食前」って書いてあるけど、自分の場合は飲んでから効くまでに少し時間がかかるから、食事の1時間くらい前に飲んでみたら結構うまく食事が食べられた!とか
●横になっていた方が楽かと思っていたけど、気分転換に外を歩いてみたら、予想以上に気持ちが良く、吐き気も少しおさまったみたいだ!とか
色々と試してみて、自分に合った方法が見つかると、抗がん剤治療を受けるのも楽になるし、今度はこれを試してみようなど、新たなトライが派生してきて、『楽しみ』につながって行くのではないかと思います。
「自分で勝手に調整したら担当医に怒られるから、言われた通りにやっています」という方も多いのですが、「言われた通り」にしていて副作用が辛いのであれば、「言われた通り」ではダメということになりますよね。
また、多くのドクターは、吐き気止めを飲むタイミングを変更したくらいで怒ったりしませんのでご安心ください。
むしろ色々とトライして抗がん剤治療が楽に受けられるようになれば
「何だか最近調子よいね!」と担当医も安心してくれると思います。

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Extra-STEP:やめることを考える
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どうやってみても『楽しむ』ことができない、『辛い』だけだ、という場合は、本当に続けるべきなのか?を一度立ち止まって考えてみた方が良いかもしれません。
もちろん、『楽しむ力』はすぐに身につくものではないので、がん治療を頑張りつつ、『楽しむ力』を鍛錬していく時期がある程度あって良いと思います。
しかし、いつまで経っても『辛い』状況から抜け出せないときは、辛い治療をやめるという選択肢もあると考えます。
がん治療を受けるそもそもの目的は、「幸せな生活を長く続けるため」という方が多いと思います。
その幸せな生活を犠牲にしてまでがん治療を受けるということは、目的と手段が入れ替わってしまっている状態です。

子供の頃を思い出してみてください。
例えば、近所の公園に毎日のように遊びに行っていたりしませんでしたか?
遊び相手も毎回同じ、公園の遊具も同じ
だけど毎日飽きることなく、親が迎えに来るまで何時間も汗だくになりながら、なんだかんだ遊びを考えて遊んでいた記憶が僕にはあります。
このように、子供の頃はみんな『楽しむ力』にあふれていたと思うんです。
いつ、どこに置いてきてしまったのでしょうかね?(僕自身も含めて)

楽しいことをイメージするだけで「免疫力」が高まるらしいです。
(https://diamond.jp/articles/-/189071?page=2)
しかし、がんになってしまい、イメージとはいえ楽しいと感じることが少なくなってしまっている方は多いかと思います。
「がん」という中でも楽しめる力、楽しむ力がつくといいなぁ~というお話しでした。

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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