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ハロウィンの夜…(?)/柊木雪の場合

柊木雪とその主人は外国の荒野にいた。
雪『他の場所ではハロウィンの催しで華やかなんだろうなぁ…』
そんな呟きをもらしつつ2人は荒野に横たわっていた。
とある国への表敬訪問の帰り道、自家用機が不時着してしまった。なお、このときのパイロットは雪のご主人様であった。
『あっ、ご主人様が悪いんじゃないことは雪も重々二重三重に存じてますよ!』
そんな重ねなくても…?とおもいつつ、不時着時のことを思い出す。

もとより出発の時から疑問ではあったのだ。屋敷の整備士が、「新発明です!メイドの萌えをエネルギー変換して飛行することができるんです、つまりメイドと乗れば永久機関を手に入れたものです!しかも通常の3倍です!」なとどよくわからないことをのたまい、
雪『え、ご主人様今日こちらにお乗りになるんですか?それなら同行はこの柊木雪にお任せ下さい!ハ〜トウォ〜ムパワーでさらに3倍します!』
とさらによく分からないことを言い出したメイドと共に出発し(3倍の3倍はさすがの赤い◯星でも耐えられなさそうと丁重に辞退させて頂いた)フライト中、雪の絶妙なダジャレというハ〜トウォ〜ムを燃料としながら(ネタにネタを被せるギャグセンスに操縦桿へ何度頭ぶつけそうになったか…)往路はひとまずお腹がよじきれそうな状態から平静さを取り戻すくらいのトラブルしかなかった。が、復路でそれは起きた。そう、雪のダジャレが盛大に滑ったのだ。場がシーーーンと沈む、それと同調する様に自家用機の高度も沈む…沈む…沈む…(ズシャァァァ)←イマココ

雪『お腹すいたなぁ…』と呟きつつ星を眺めるメイドを横目に、まぁこの子はいつもお腹すいてそうだなぁと言葉には出さずに同じ星を眺める。
その時、空に赤い光がピカっと光った。まるで手に届くまで近くにあるような…というか近づいてくる、早くもなく遅くもなく手に取れるような緩やかさで降りてきたそれを
雪『とったどぉぉぉ!』
君はどこか無人島にでもおるのかとツッコミは後にして雪が手にしたものを見る
こ、これは…
雪『エビチリでした🦐❗️』
は?
雪『ですからエビチリ🦐ですって、まだ降ってきますよ。任せてください、雪が全部キャッチして見せます。これでも小さい頃はエビチリハンターって呼ばれてたんですよ』
いったいエビチリの何をハントしてきたのかこの子の幼少時代は…いやもうツッコむと話が進まない、やめておこう。
雪『とれましたー!全部で31個です!』
エビって1尾2尾って数えるんじゃ…?
雪『31個です!!!』
あっ、はい。
雪『半分こです、15個ずつ食べましょう』
なんでこんな荒野でエビチリが降ってくるのか、そもそもエビチリでシェアハピなて聞いたことがないなぁ、ともうわけがわからない状況ではあったがまだ終わらないらしい
雪『エビチリ…エビちらない…エビチリ…エビちらない…』
なにしてるの?と素朴に聞く、というかエビちらないって何。
雪『エビチリ花占いですよ?エビチリが花になったんです。経緯を話すと最後に残ったエビチリが蕾になったんです、その蕾が開いた時に綿菓子なり、その後たんぽぽのような花が咲いたんです。となれば花占いでしょう?』
なにがでしょう?なのか、まぁいいや
で、占いの結果はどうだったのか聞く
雪『なんと聞いて下さいご主人様!最後にエビちらないでした、つまりここでは散らないんです。あとはこの花びらに雪のは〜とうぉ〜むを込めれば…ヨシっ、たんぽぽのようなエビチリの花が綿雲みたいになりました!これで帰れますよ』
あーえーと、あ、うん。
完全に状況に置いてけぼりである。
帰れるならいいか、でもこの自家用機ここに置いとくわけにも…
雪『大丈夫です、こんなこともあろうかと雲もおっきく作っておきました!』
こんなことが起こること想定していたならもっと何かなかった?
雪『さぁお屋敷へレッツゴーですよ!』
あーもう帰れるならいいかと何かをあきらめる
雪『どんな状況だろうとご主人様にはこの柊木雪がついてますよ、如何なる困難でも乗り越えてみせます!雪のは〜とうぉ〜むを舐めないで下さい。むしゃむしゃ』
むしゃ?とおもうと乗ってる綿雲を摘んで食べてる。えーと、これってこのまま食べて浮力を失って落ちるパターン?
雪『ちょっと、ご主人様、雪がそんな考えなしで動くメイドに見えますか⁉️』
頬を膨らませながら抗議してくる
考えなしとは言わないけれど直感で動いているところは少なからずあるのでは…?
雪『そんなことはありません!雪はいついかなる時でも脳内の高速演算によって最適な面白いは〜とうぉ〜むをお届けしようと前略です、もとい全力です。更に中略、以下省略!ついでにおまけに敬具です。』
ほぼほぼ略されてるけどね?
雪『そんなわけで、これも計算済みです。もうすぐお屋敷なので少しずつ食べて軟着陸するんですよ。ほらご主人様も食べて下さい!』
つまむ、口に運ぶ。辛い。
雪『そりゃエビチリの花から出来ましたから。なに言ってるんですか当たり前じゃないですか』
確かにどんな理不尽な状況であろうとこの少女、メイド柊木雪ならばさらなる理不尽を持って乗り越えそうな気はする。
なんだか疲れと安心感でうとうとする…

雪『と、このようになるわけです!』
ここはバーチャルあっとほぉーむカフェの御屋敷の一室、柊木雪の部屋である。手元の時計を見ると帰宅したのは25分前くらい、らしい。
雪『水も出ない御屋敷ですけどしずくちゃんがお抹茶を出していたので雪も出せるんじゃないかと頑張りました!』
特に飲み物が出てきた記憶はない、というかハロウィンの夜に起きたフィクションを話していた記憶しか。
雪『ご主人様〜、気づいてなかったんですか。これが茶番です!』
お茶違いだよ!!!

※ご帰宅中まったりだったので即席で2人で作った小話に少しエッセンスを加えたものです。
登場人物及び舞台は実際のバーチャルあっとほぉーむカフェ及び現実の事象とは一切関係がありません。

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