女の癖に

小学2年に姉のギランバレーの回復には田舎暮らしが良いとされ、尼崎から島根県の田舎の父の実家にUターン。決めたの母さんじゃんかと引っ越しの時泣きまくった母をぼんやりながめていたのを今でもわすれない。
 尼崎の方言と島根県は本当に理解が難しく、ずっと帰りたいと泣いていた。土曜日の新喜劇が唯一の関西弁を聞く機会だったからすごく楽しみにしていた。テレビっ子だった。
 父は身体が弱い姉を大切にし、すぐ泣く私を父も共にと柔道に誘う。山口香さんが活躍していた頃の話。私は父が大好きだったからぐんぐん上達。勝てばお菓子を買ってもらえたり、練習の後好きなジュースを自販機で私だけ買えたのもやる気をさらにパワーにするウマの鼻先だった。
 しかし、女子は男子より弱いとされていたから私は一学年下でエントリー可能だった。私が中学になる頃には見直されたらしいが。笑
 女の癖に柔道なんかして、とその当時の女の教師をはじめ、かわいそうにお父さんがしなさいって言うの?と声かけてくるババア達。一緒の道場の子らは私がだんだん強くなるから一切言わなくなった。
 いざ大会となると、次の機会相手女じゃん、楽勝とガッツポーズしたり、監督らしき男がにまだ私と戦ってもないのにラッキーと✌️まで。私も私でそんな男らの前で、きょどる演技したり礼の練習して首ひねったりして弱い演技を。あ、根性が腐ったのはこの辺りですね😆
 めっちゃドヤ顔で対戦相手が私の前に立ち、いざはじめと声がかかると一番みじめであろう一本を出来るだけ短い対戦時間でぶん投げる。
 相手は頭を打って泣いたり、現実を受け止めないけど顔したり、やたら投げられて打ったであろう場所をさすったり。
 私は仁王立ちで半笑い。  
 ヒクヒク泣くそいつは、監督みたいなくそ大人に女に負けてなんだお前はだの、さっきはちょっと手加減しすぎただの。ひどいのになると、女の癖に柔道なんかしてって捨て台詞を私に吐くから、男の癖に弱って返事してあげたり、あんな女に負けてとプログラムで殴ってたのに腹が立ってそのバカ監督にあんな女って私の事ですか?って詰め寄った事もある。島根県の柔道教えてたジジイ達で私の名前見て舌打ちしてる奴は多分多数。私はみんなハゲ男にしか見えなかったから小学生の頃の仲間は数人しか覚えていない。
 親以外からの枠にはめられて私は小学生時代を過ごした。
 島根県チャンピオンになった瞬間、ババア達は久美ちゃんならやると思ってたと言われ、ああ、バカは監督みたいな奴らだけじゃなくババアもなんだと知った可愛い小学生の話。

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