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川と橋のある美しい街 アメリカ•オーケストラ漫遊(18) Pittsburgh, Pennsylvania

 ミシガンでは大雪に見舞われた金曜日の翌日、まだ雪の降る中逃げるように南に向かった。大寒波が押し寄せる週末はだったがオハイオ州まで行けば雪の量も減って特に問題はなかった。今回の目的地ピッツバーグはオハイオ州を通り過ぎた向こう側、ペンシルバニア州で車で4.5時間の場所だ。
 地図を見ると二つの川が合流してオハイオ川になる地点にできた都市で元々は鉄鋼業が盛んだったのではないか。鉄鋼業を隆盛させたカーネギーの名前を見る機会がとても多い。また、ケチャップで有名なハインツもピッツバーグに本社を構え、コンサートホールの名前はハインツホールだ。
 オハイオ川はその名の通りオハイオ州を縦断して最後にはミシシッピ川に至り、沿岸にはシンシナティ、ルイビルなどの大都市がある。アメリカの産業に重要な役割を果たしたと想像できる。
 現地に到着してみると、川の合流地点の洲にあたる部分にダウンタウンが形成され、南岸は崖からダウンタウンを見下ろす地形、北岸はダウンタウンから広がった街が形成されていた。メジャーリーグ、ピッツバーグパイレーツの本拠地PNCパークの近くの宿をとったが、川にはいくつもの橋が架けられ、特に治安が悪い様子もなく行き来も問題なかった。

合流地点から下流を望む

 川に挟まれたダウンタウンから上流側に数マイル上っていくと大学や教会が多く建つ文教地区がある。各宗派の立派な教会やカーネギーメロン大学があり、活気があり快適な街であると感じた。

St. Paul Cathedral

2024年1月13日 ピッツバーグ交響楽団

1/13/2024, Sat, 7:30 pm, @ Heinz Hall, Pittsburgh, PA
Pittsburgh Symphony Orchestra
Peor Popelka, conductor
Yulianna Avdeeva, piano


  • Thunderbolt P-47 / Bohuslav Martinu

  • Concerto No. 3 for Piano and Orchestra in C Major, Op. 26 / Sergei Prokofiev

  • Pictures at an Exhibition / Modest Mussorgsky (arr. Maurice Ravel)

 今回の演奏会はピッツバーグ交響楽団。いわゆる主要オーケストラのひとつ、期待度としてはデトロイト交響楽団と同じくらいだった。ホールの形はクリーブランドと似た卵型。一回席は上が被ってきそうだったので二階前方にした。舞台の奥行きも深く高さがとてもあるホールだった。
 プロコフィエフのピアノ協奏曲はあまり良く知らなかったし、ピアノ協奏曲第3番を聴くのはもちろん初めてだったが、彼らしいピアノの使い方がわかると面白いのだと思った。オーケストラの中に入り込んで、一つの楽器として機能しているときもあれば、激しい跳躍など特徴的な動きをしていることもある。今回の演奏は上手くハマっていると感じた。Soloが見事に弾き切っているし、オーケストラともよく溶け込んでいるし。ソロのYulianna Avdeevaの弾きっぷりは格好良く、ピアノは力強く繊細だった。
 アメリカで何度も聴いてきた「展覧会の絵」。細かいところまで感覚が研ぎ澄まされた演奏だった。弱奏部が本当に繊細で、曲全体のメリハリがよく効いていて、とても引き込まれる演奏だった。各楽器のソロも良く引き立てられていて、指揮のPeor Popelkaがソロの裏の弦セクションに指揮で細かい指示を出していたのが印象的だった。それでいて、金管セクションの破壊力も抜群で、曲の最後の盛り上がりは見事に計画されたものだったのだと思う。最後はホールに飽和気味なくらいの圧倒的な音量で締めくくられた。素晴らしい演奏だった。

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