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荒鷲会解散を振り返る


2024年、交流戦で2016年以来となるエール交換が行われた。
2016年と言えば応援団が現体制に移行する前、全国荒鷲連合会(以下全鷲連)が存在していた時代である。
全鷲連から現体制に移行した経緯を振り返りながら懐古したいと思う。
本来であれば飛翔会や岩手アイアンイーグル、仙台荒鷲会などにも触れるべきですが割愛させていただきます。
駄文ですがお付き合いください。

1️⃣2018年までの応援体制の変遷
2005年に誕生した楽天イーグルス。近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブの吸収合併により生まれた球団をサポートすべく結成されたのが全鷲連をはじめとする諸私設応援団であり、2017年まで応援活動を主導してきた。
2018年、球団主導で応援プロデュースチームが発足し、人手不足に悩んでいた九州荒鷲会や北海道荒鷲会を救うべく活動を始めた。
このチームは球団職員らが所属し、応援を統括するグループである。
このチームを指揮するのがロッテの応援団長だったジントシオ氏だったことが大きな問題だった。14年間応援を担ってきた全鷲連が、球団に雇われた元ロッテ応援団の傘下に置かれたからである。
そして、プロデュースチームの指導のもと、応援の一部変更が行われた。

一部を抜粋する。

①448拍子→337拍子へ
②オープニングテーマ(青葉城恋唄)→初回先頭打者テーマ
③ヒットテーマ(桜咲く国)→その想い一つに

その他にも地方チャンテの変更や個人応援歌の歌詞変更などさまざまな改革が行われ、私設応援団とプロデュースチームの合同体制(実質プロデュースチームの指導)で2018年シーズンを終えることになる。

2️⃣2019年春
こうして2018シーズンを合同体制で終えた訳だが、2019年2月、ある噂が流れ始める。

「全鷲連、なくなるんじゃね?」

2/16第1回応援決起集会。
そこで発表された曲は全く馴染みのない新曲ばかりだった。知っている曲がほとんどない…。

しかし1番の衝撃は全鷲連の団員が参加していなかったことだ。これまで応援を主導してきた全鷲連の団員がいない。
いるのはジントシオとその部下たち。
困惑するファンでTLが埋まったのを覚えている。
2/18楽天の公式Twitterで発表がなされる。

応援歌刷新である。銀次、藤田、嶋、渡辺直、茂木…馴染みのある応援歌は全て消え、ジントシオ氏の作った「ラララ…」や「オオオ…」で埋め尽くされた曲たちに変わっていた。
また、全鷲連の特徴であった地方チャンテは全て廃止され、全国チャンテであったベニーランドや芋煮も廃止された。
「私設応援団と協議」とされているものの、全鷲連団員たちが続々とTwitterで退団を宣言、中には怒気を抑えられていないものもあり、円満な協議でないことは明らかだった。

その2日後の公式のツイートがこちらである。

一部の個人応援歌とチャンテの継続使用が発表される。ベニーランドや銀次、藤田の存続は安堵したファンも多かっただろう。
しかし、地方チャンテや多くの個人応援歌は廃止され、単調で歌いやすいジントシオ作の応援歌に置き換わった。
そして未だ続報のない全鷲連についての説明を求めるコメントが殺到する。

3/8 全鷲連の公式Twitterにて最後の全国荒鷲連合会日記が更新される。
全国荒鷲連合会6団体(総本部、北海道、東北、関東、関西、九州)の解散、残る団員は「イーグルス私設応援団」として活動することが発表された。
球団による応援介入やジントシオ氏による指導を嫌った団員が大量に脱退したことによる統合だ。
ここに全鷲連は消滅し、イーグルス私設応援団が誕生することになる。

2019年シーズンは、旧全鷲連団員が多く脱退したことによる人手不足解消のため楽天野球団に雇われた「パフォーマー」と「イーグルス私設応援団」がジントシオ氏の指導のもと応援活動をすることになる。
「全鷲連を潰してクーデターを起こした」とジントシオ氏は激しい非難に晒されることになる。

そしてコロナ禍を経て鳴り物が解禁された2023年は、21年オフにジントシオ氏が退職したことにより応援の主導権がイーグルス私設応援団へと戻る。
旧全鷲連の団員が多く所属するイーグルス私設応援団は、渋くてカッコ良い全鷲連路線と単調でわかりやすい応援を目指したジントシオ路線を使い分け、多くの名曲を生み出すことになる。
山﨑剛や小深田、村林や裕季也などの玄人好みな曲、レッツゴーわっしょいなどのライト層を引き込む曲…
また、復刻応援にも力を入れ、青葉城恋唄や地域チャンテ、チャンテ2(芋煮)、ウィーラーなど、全鷲連の曲を復刻している。

3️⃣応援改革で良かった点
ここからは筆者の個人的な意見である。

①ライト層へのアプローチに成功
これは大きな収穫だと思う。
島内や浅村などジントシオ作の曲はキャッチーで他の曲と比べても段違いに応援の声量が多い。選手を鼓舞するために声量は必要不可欠であり、全鷲連作の低い曲と比べて圧倒的に発声がしやすい曲ばかりであった。
他球団ファンからの認知度も圧倒的に高く、「ここで島内」や「ゴーゴーカズキ」はプロ野球屈指の知名度を誇る。

②権利関係の明確化
全鷲連体制の頃に作られた応援歌は原曲があるものが多く、著作者人格権の問題がグレーな部分も多かった。これは全鷲連に限らず私設応援団の多くが抱える問題である。
韓国野球KBOでは、作曲者の起こした裁判により応援歌が多く使えなくなるなどの問題も起きている。
応援刷新により著作権上グレーな曲は排除され、新曲も全てがオリジナル曲となったことは良いことだろう。

4️⃣応援改革への不満

①説明の不足
正直これに尽きる。仮にも2005年から14年間球団と苦楽を共にし、どんな時も応援を続けてきた全鷲連を結果的に排除する形になったことは残念と言う他ない。また、これについての説明が全くなされなかったのも、あまりにも敬意を欠いた態度であると思う。

②ジントシオ氏の招聘
ジントシオ氏が悪いというわけでは決してない。だが、ロッテの応援団長であったジントシオ氏をいきなり楽天の応援団長にするのは無茶である。全鷲連の反発は当然であり、結果的に両者とも幸せにならないものだった。
また、彼の作る曲もロッテ調のものであり、"楽天ぽさ"を感じないものばかりだった。

③使用できない旧応援歌
多くの団員が辞めたことにより、彼らが作った応援歌を今後使用できなくなったことは大きな損失だ。関東チャンテや福田将儀、嶋基宏などの名曲が使えなくなったことは非常に残念であり悔しい。

④球団による応援介入
「応援」とはファンが自主的に行うものだ。「お前たち!こうやって俺たちを応援しろ!」と強制されることなど絶対にあってはならない。
全鷲連は私設応援団であり、ファンの作る応援団であった。またMVPや竜心会、中虎連合のように問題を起こしたわけではない。にもかかわらず球団により解散に追い込まれたのは前述3応援団とは大きく状況を異にし、極めて残念である。

5️⃣最後に

過去に囚われる必要がないが、20年の歩みには確かに全国荒鷲連合会の歴史が刻まれている。

多くの困難を乗り越えて新たな応援を作り上げたイーグルス私設応援団とともに楽天を応援していきたい。

いつの日か球場で全鷲連の曲が歌えたらいいな。

最後に全鷲連の曲が全部入ってる動画を添付しておきます
https://youtu.be/RZcTiDBX920?si=M7jLAjZJtT-V-jln

拙い文章で申し訳ありません。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

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