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パスタの底なし沼から抜け出す方法

キモい前置き ※飛ばしてOK

深夜2時。いつもどうり帰宅する。
あなたは独身、アパートに一人暮らし。あなたは完全に昼夜逆転している。不健康極まりない。完全に自堕落しており、夜間のバイトのみで生活している。
とりあえずいつものようにパスタを茹でようとする。
「バキッ」
パスタを折る音が部屋中に響く。
孤独を感じたのも束の間、玄関を叩く音が聞こえる。
「誰だよこんな時間に。インターホンくらい押せよ。」
そう呟きながらドアを開ける。
「——ッ!」
十字架を持った某イタリア人の二人組に口を押えられ即座に拘束される。

当然ながら、脳が恐怖に支配される。
「ぅ… うぅ…」
ここはどこだ、どうしてこんなことになったのか。

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

「ハァ… ハァ… ハァ…」
この状況に慣れる。理性を取り戻した。「俺はもうそろそろ死ぬのか」と考える、しかし残念なことに動けず。なぜなら考えうる道具すべてを使われ手、足、口、目、ほとんどが封じられている。感じるのは車の振動のみだった。

数時間後…
ガチャ…
「Puoi uscire.」
ドンッ…!
拘束を解かれ、背中を蹴られる。車外に飛び出し硬い地面とキスを交わす。そんな予定だったが、体中に湿っているような、柔らかいような感触が伝わり、少なくともそうではないことは容易に理解できた。立とうとするも地面らしき何かに足がはまり動けない。軽くパニックに陥りながらもあなたはようやく理解した。

あなたは、パスタの底なし沼に、ハマっている。

キモい本編 ※飛ばすな

あなたは真っ先に考えた。ここはおそらくイタリア、俺はパスタを折ったからここに連れてこられた。そして、こう考えるのが自然である。
—ここから抜け出さねなければいけない—
と。

とりあえず、あなたは足を動かそうとする。
「…え?」
動かない。自力での脱出は不可能と考えていいだろう。
単純計算でも、1mほど沈み込んでいるため、1mほどのパスタの重みと、それに絡まる周囲のパスタの重み。約20cm四方の正方形ほどだと思われる。
計算すると、
20×20×100=40000
ということで、パスタの重みはこのサイトを参考に考える。

生パスタの生地なので、茹でてもそこまで重さは変わらないと考えよう。
27cm、22cm、1mmで20枚入り。それで1.6kg。
密度を計算すると、27×22×1×20÷1600=7.425(cm³/g)
それが40000cm³なので、40000×7.425=297000(g)
鮮やかなほどの297kg。そりゃ抜け出せないわけだと思いながら、他の方法を考える。

そうだ、足をまっすぐにすればいい。こうすれば足にかかる重さを少しでも減らせる。しかしそうしても動かない。そして、スマホがあると戸を思い出す。手を伸ばす。かろうじて取れる。あなたはこう思った。「LINE返さなきゃ。」一通りイタリアでパスタに埋まってることを伝える。すると友人から連絡が。『今行くわ』おいおいフットワーク軽すぎだろと思いつつ希望を見出す。まあ冗談であることは火を見るより明らかなんだが。
「俺様のご登場だ~、ってお前ほんとにパスタに埋まってんじゃねーかwwwwwww」
友人が来た。本当に来た。なんで?まあいい。助けてもらおう。
「お前引き抜いてよ」
「手が届かんのだわ」
よく考えたらそれはそうだ。手が届く距離ではない。何か近づく方法さえあれば…
「うまっうまっうまっ」
友人はのんきに超巨大ラザニア?を食べている。ざっと1m四方の大きさだ。
…閃いた
「おい友人!食うのをやめろ!それを足場にして近づいてくれ!」
「なるほど!木の板を足場にすれば圧力が分散して沈まずに済む!」
これは実際このような底なし沼にはまったとき、救助隊はこのようにして近づくそうだ。なおラザニアは使わない。木の板?と思いつつ友人が近づいてくる。
彼は歯形がついている木の板を持っていた。
とにかく引き抜いてもらおうとする。が、やはり抜けない。
「お前おおきなかぶかよwwwwww」
友人は冗談を言いながら勝手に大爆笑する。笑い事じゃねえよ。そして友人は、
「滑らすやつあれば抜けるんじゃね。」
それだ、たまにはいいことを言うじゃねえかと思いつつ
「ああ、そうしてくれ。できるだけ臭いのつかないものを頼む」
と言った。
友人は「あいよっ」っと軽い返事を残し去っていった。

数時間後…
スタバの袋、ケーキ屋の袋、そしてスーパーの袋を持った友人が近づいてくる。
「ごめーん 遅れたーwwww」
寄り道するんじゃねえよと思いながら、助けてもらっている身であることを思い出し、何も言い返せない。
「じゃじゃーん ケチャップ」
友人は大量のケチャップをぶちまける。
「そこは油じゃないのか」
「ケチャップのほうがウマいからいいだろ」
一通り話し終わったころケチャップを巻き終えた。
「じゃあ引き抜くぞ」
「よろしく頼む」
「憤怒ッッ!」
友人は掛け声としてはあっているものの何に対してかわからない掛け声を発し、自分の体はかろうじてパスタの外に飛び出した。
「ミッションコンプリートだな」

キモいエンディング

今回の友人の仕事には感謝しかない。(だいぶおかしい人だが大目に見よう)
「ああ」
俺がそう返事をしてる間に、彼はどこからともなくコンロを取り出し、火をつける。理解が追いつく前に、手の上でビニール袋に入っていたピーマン、玉ねぎ、ベーコンを切り、フライパンにケチャップがかかったパスタとともに入れる。器用な奴だと感心するものの、嫌な予感がする。
「ほらナポリタン 食うか?」
「遠慮しておくよ。さすがにイタリアでそれは…」
「じゃあ一人で食う」
後ろから足音が聞こえる。大勢のイタリア人がパスタをとる棒を持ってこっちに走ってくる。
「ああそうだ、イタリアではパスタにケチャップは許されないんだった。」
抵抗のしようがない。「終わり」だ。

Bad end

イタリア人に襲われる図


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