日記/ World for Twoというアプリに触れた夜の会話

「人間が、子供を一人しか産まなかったら、いずれヒトは絶滅するの?」
『まぁそうやな』
「二人だと?」
『二人だと均等』
「ふむ、維持か」
『うん』

「じゃあ、個体数を増やすためには二人の人間から三人は産まなきゃいけないのか」
『そやな』
「三人産むと死ぬ身体だとしても、それが続けばいずれ増えていく?」
『増えていく』

「なんか人間の個体数の増減は、ずいぶんと社会的というか、経済や政治が絡んでるというか、自然動物の理とはちょっと違うんやね」
『人間にとっての社会が、自然においての理やから、細かくみると複雑ではあるけどざっくりみると他の動物とそない変わらんやろ』
「そっか、社会が人間にとっての環境か」
『天敵のおらん、食べ物いっぱいある環境では増えて、そうやない環境では減る
それも人間が増えすぎたから縄張り争いも大仰になっとるだけやろ』
「飢饉で数を減らすのはどの生き物も共通だもんな」
『ということでまぁおんなじよ』

「社会性が習性なだけで種としてはほかの生き物と大差ないんやな」
『そうそう』
「そうすると逆に、なんで人間だけが知恵ある生き物のような扱いなのか不思議に思えてくるな」
『われわれが人間だから、われわれにとってはわれわれが一番ってだけよ』

『あとまぁ先進国は軒並み出生率低い』
「そうなの?」
『うん、人間をそれなりの権利やら持たせて育てるのは贅沢なことなので』
「うーむ、じゃ、生活に余裕がないほどに種としては増えるってこと?
でも、そしたら死ぬ個体数も増える?」
『そうなるんかなぁ』
「 “生活に余裕がないから子供を産めない” になるんじゃなくて、それでも子供を産んでしまうの、やはり本能なのかな」
『それはまぁ本能やと思う』
「産まない選択ができる豊かさ、なるほど、根本的に我々は本能に逆らって豊かな暮らしをしてるということになるのか」
『そうやなぁ、そうなるんか、自己主義ってことやな』

『まぁ、子育て以外にもすることが増えすぎた』
「豊かすぎるのかなー」
『うん』
「求める豊かさの水準がもう、遺伝子の求めてたレベルからは大幅に逸脱してるのかも」
『それはあるやろな
あとシンプルに教育を受ける時間が長すぎる』
「あー、長いな」
『どれだけ産もうとしても、そこで差が出てくる』
「またこれからの数十年、数百年で、廃れていくんやろか」
『どうなんやろな』

「ただ身体に産むちからがあるというだけでは、子供を産めないのが人間かー」
『そうなるな、量より質を求めすぎた』
「個体の幸せを求めすぎなのか」
『そういうことやな』
「そうかー、産んでも生かせない、自分が生きられないって未来を想像して、産まない選択をしてるのが人間なのか、そうか……」
『そうそう』
「それは結構、すごいな……逆に言うと、産んでも親と子の三人が生きていけるって確信もって産んでるケースが多いってことだもんな」
『そうやな』
「確信が持てない人でも、生物としてはきっと産んでも差し支えないレベルにしっかり保護されてる状態なはずやのに、お金の問題はなかなか、難しい話やな」
『難しい話や』