どうか奪って

私は私の中の情動を知っている。
激しさを知っている。
昔は何も分からなかったけれど、いろんな失敗を経て知ったのだ。
いかに、この心が乱れ騒ぎ攻撃的で激しいシステムのうちにあるかを。

だから常に冷静でいようとする。
辛さにも怒りにも嬉しさにも心を動かさず、ただ平坦な人間でいたいと願う。
しかし、それがどれほど難しいことかも、やはり知っている。

コントロール出来なくなる度、救われたいと空を仰ぐ。
こんなものは捨ててしまえたらいいのにと泣く。

でも、これが無ければきっと、絵を描くことも出来なかったのだ。
たぶん、私にはこれが必要不可欠なのだ。

今日も私は私に翻弄され、早くここから救われたいな、と綿雲を仰ぐことしか出来ない。