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キャラクターの言動からキャラ造形を考える(グノーシア)

 この記事ではグノーシアの各キャラクターの言動を見て、どういうキャラ造形をしているんだろう?と考えながら妄言をこねくり回している記事です。あくまでも妄言なのでこういう考えもあるんだなあ程度に見ていただけると幸いです。

「協力しよう」を言うタイミング

○議論中→SQ、シピ、沙明、夕里子

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 協力関係を結ぶ他、周囲に「自分には味方がいる」と知らしめる目的があるように思います。夕里子はかなり人を見極めてから協力を頼むイメージ、他三人は人間であることが確定している人、または自分に味方してくれそうな人と組みたがるイメージ。また、夕里子以外の三人はコミュ強故に議論中でもバンバン他人に「協力しよう」を言える感じもあります。そしてこの三人は、自分がグノーシアでもしれっと他人に協力を求めてくることがかなりよくあります。油断ならない人たちです。

○夜会話→ラキオ、コメット、しげみち、ステラ、オトメ、ジョナス

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 水面下で協力し、議論の時はさりげなくフォロー入れるからね!だからこっちにもフォローよろしく!と頼んでくるイメージ。慎重派の人が多い気がします。
 行動派っぽいしげみちが夜会話でこっそり頼んでくるのは、協力を頼んでくる時の「ダメなら、別に......いいんだけどな。別に」という言葉や協力を受けた後の「ヒェー、マジか! 言ってみるモンだなオイ!」という言葉、反対に断った時の「まあ気にすんなって! オレ、こういうの慣れてるからさ」という言葉から考えて、議論中に協力を頼んでくる人たちよりも協力関係を断られるんじゃないかという思いが強く、断られた時のダメージを重く受け止めているからだと思います。同様に行動派っぽいイメージのコメットが夜に協力を頼んでくるのは、「直感の高い自分が相手の嘘に気付いてもロジックやカリスマが低いため相手を追いつめられない」という自分の弱点を認識し、その上でそれを補う協力者を選んでいるからです。こうして自分の弱点をしっかり把握しているところは、ロジックのパラメーターとは異なるコメットの賢さだと思います。

○議論中+夜会話→ククルシカ、レムナン

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 好悪の感情が表に出やすく、相手への好意を示すのに場所を選ばないため議論中でも夜会話でも協力を持ちかけてくるイメージです。反対に嫌悪を示すのも場所を選ばず、ロジックより感情で票を入れることも間々あります。

○自分から協力を持ちかけない→セツ、ジナ
 責任感が強い性格から、自分一人でも頑張ろうとする傾向にあります。そのため自分から積極的に誰かと協力しようとしないのではないかと思います。軍人、航宙管制官という二人の職業からもそういった性格が表れています。協力を受ける時もかなり慎重です。


「協力しよう」を断る時の言葉

○自分に非があるような言い方をする→オトメ、レムナン、シピ、ステラ、沙明

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 優しい性格の人、言葉をオブラートに包むのが上手な人たちです。この顔ぶれの中で意外なのは、やはり沙明だと思います。普段他人に対して懐疑的な物言いをすることが多い沙明ですが、他人からの協力を断る時は「やめとけって○○。俺……お前が思ってるような奴じゃねーから」と自分を卑下する物言いをします。自分から他人へ攻撃性を向ける時や自分が他人から攻撃を受けた時以外の、たとえば「協力しよう」のような純粋な好意に対しては一定の距離を置こうとする沙明の根っこの性格が垣間見えるように感じます。

○普通に断る→セツ、ジナ、ククルシカ、ジョナス、コメット、SQ

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 何かと潔い人が多いイメージです。SQは「心に決めている人がいる」と言うので少しオブラートに包んでいる組かもしれません。私は今必死にvita版でジナの恋愛イベントを見ようとしては「嫌......かな」に心を砕かれています。「協力しよう」を他のキャラに言うの、結構勇気が要る......勇気要らない......?(ゲームの中でまでコミュ障のオタク)

○相手に対して攻撃的になる→しげみち、ラキオ、夕里子

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 めちゃくちゃ良い奴なしげみちが懐疑的な物言いをする様には驚く人も多いかと思います。これは彼が協力を申し出る時の言葉からも、その人の良さや特殊な見た目で嫌な思いをしてきたことがあったからではないかと思います。しげみち......幸せになってくれ......。ラキオと夕里子は、攻撃的というよりは元々の尊大な性格から断る時の口調も尊大になっているのだと思います。あくまでもメリットで協力関係を推し量るラキオと、メタ的な上位存在であるため「お前ごときが?」と良い笑顔ではねのける夕里子は、いつまでもこのままでいてほしいなと思える通常運転っぷりです。


「絶対に敵だ」を受けた時の反応

○認める→セツ、ジナ、SQ、コメット、シピ、オトメ、沙明、夕里子

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 優しい人、潔い性格の人が多いイメージです。夕里子の「その通り」からは、「絶対に敵だ」と事実上の敗北宣言を言い渡されているにもかかわらず、決して崩れることのない格の高さがうかがえます。また、ジナの「そう。それで......いいよ」からは、もう嘘をつかなくて良いこと、自分を敵だと周りが認識してくれたことへの安堵が見られるように思います。本編二回目のジナがエンジニアだと名乗り出るループで、最後に残ったのがジナ(グノーシア)、ラキオ(エンジニア)、主人公(乗員)かつ主人公がジナに投票した場合も、ジナは「何か遺言があるなら聞いてあげるけど?」と高笑いするラキオに「私は何もできなかったけど、何もしなくて済んだから。だからこれで良かったと思う」と主人公とラキオにお礼を言ってコールドスリープします。この時の言葉が、そのまま普段のループで「絶対に敵だ」をされた時の反応にも繋がっているのではないかと思います。自分がグノーシアだと告げるイベントが特記事項に関係するイベントの中で二回もある、ジナらしい言葉だと思います。

○敵意を向ける→ラキオ、ジョナス、ククルシカ、レムナン

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 負けん気が強い人、好悪の感情が表に出やすい人たちです。自分の価値を示すことに重きを置いているラキオや自分のかつての栄光にそれなりの自負があるジョナスは前者、議論中の挙動からも他人への好悪が滲み出ているククルシカとレムナンは後者といったイメージです。ラキオのコールドスリープされる時並みの長文からの、コールドスリープが決まった時の「......フン!」とシンプルに不満を露わにする流れが何回見ても好きです。

○狼狽、悲しみ→ステラ、しげみち

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 嘘を認める人たちとはまた違った優しい性格といった印象です。比較的ギャグ調のしげみちは嘘を認める人たちに近しい気がしますが、明確に狼狽を示した後に微笑んで「口惜しい」という感情を獲得するステラは、彼女が感情を擬似的に学んでいる擬知体でありながら普通の人間のように感情を得ている存在なのだと改めて感じられます。


土下座された時の反応

○同情、困惑といった正の感情→ジナ、しげみち、ステラ、ククルシカ、オトメ、レムナン

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 実際に目の前で成人男性が綺麗に土下座してきたらまあそういう反応になるよね、といった人たちです。それはそれとして互いに消滅の危機に瀕している状況なので、ちゃんと困惑したり同情したりしてあげるのは優しいなと感じます。自分より突然下手に出られることに怯えるレムナンからは上に立つことに慣れていない、転じて被虐者らしい性格が表れているように思います。この土下座に「子犬のような目」を見出すしげみちや、「こんな姿見たくない」と気遣うジナは特に優しいと思いますし、しげみちは詐欺の手紙が送られてくるのも納得の人の良さです。

○呆れ、蔑み等の負の感情→セツ、ラキオ、沙明、夕里子

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 セツ、夕里子は「絶対に敵だ」を言い渡された時潔く認め、コールドスリープされる際も「当然だと思う」「是非もなし」とコールドスリープを受け入れる二人です。そのため土下座という生き汚い行動に対してセツは呆れ、夕里子は蔑みます。土下座する姿を笑いながらもっと頭を下げろとノリノリのラキオは、下手に出られることに慣れていないレムナンに対し、上に立つこと、誰かが下手に出ることに慣れている環境で育ったことを改めて感じさせられます。沙明の「土下座とか、人としてありえなくね?」に関しては完全に「お前が言うな」状態の台詞なのですが、お前が言うなをしれっと言うからこその沙明なのだろうと思います。

○どっちでも良い→SQ、コメット、シピ、ジョナス

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 「どっちでもいい」と言いながら少し寂しそうな顔をしているシピは比較的同情寄りかもしれません。土下座を物珍しい様子で見ているジョナス、「......とか言ってるけど、どーする?」とドライに対応するコメットは恐らく本当にどっちでも良いのだと思います。個人的に夜会話での好感度が低い際の対応と言い、どうでもいい相手にはとことんドライなコメットがとても好きです。

雑談

○雑談を自分から始める→SQ、しげみち、シピ、ジョナス、沙明

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 「うやむやにする」スキルを使う人たちが雑談を始めることが多く、白熱している議論を一端中断させる、自分や仲間への疑いを一度落ち着かせる、注目を集めないようにするために雑談を振っているように感じます。特に沙明は「雑談する」スキルを教えてくれるキャラクターであることから、雑談をよく隠れ蓑に使っているイメージです。雑談を自分から始めるこの五人は、他人が振った雑談にもよく乗っている気がします。
 反対によく雑談を止めているのはジナ、ステラ、ククルシカ、レムナンといった真面目であったり「嫌い」「怪しい」と思っている相手に対し毅然とした態度をとる人たちであるように思います。

 また、体感になりますが雑談の話題に関しても参加率が異なっているように思います。五百ループ程周回して明らかに出現率が低かったのは、「恋愛」に関するレムナンとククルシカの話、「食べ物」に関するステラの話でした。レムナンとククルシカは二人の関係を考えると恋愛に関して積極的に言及しないのはさもありなん、といった感じです。恋愛について話すレムナンは五回ほど、ククルシカは二回ほどしか確認できませんでした。そして食べ物に関するステラの話は(タイミングの関係もあるかと思いますが)プレイ中一回も見ていません。ステラが食事についての話題で話すのは「よろしければ、後でお野菜でもお持ちしましょうか? うふふ、ラボで試験栽培してるんです。新鮮ですよ」というものです。他のメンバーが主に自分が食べるものの話をしている中、他人が食べることを前提として話をするステラは、彼女の正体を考えると納得のいく内容になっています。

嘘つき報告

○嘘つき報告をする→ジナ、SQ、シピ、コメット、ジョナス、ククルシカ、オトメ、沙明、レムナン

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 主人公のことを相談窓口か懺悔室か何かだと思っているのかな?となるイベントです。個人的にとても好きなイベントでもあります。
 体感になりますが、ジナが嘘つきを報告してくるのはほぼ確実に彼女が人間側で敵陣営の嘘に気付いた時であるように思います。正義感の強いジナらしい行動です。
 報告回数が多いと感じるのはシピ、コメット、オトメ、レムナンといった直感のパラメーターが高い人たちです。直感で「嘘をついている」と気付いたから報告した、という場合が多く、七割から八割ほどの確率で人間側としてちゃんと嘘つきを報告してきているように思います。その分敵陣営として嘘の情報を流されたと気付いた時のショックがかなり大きい四人でもあります。
 それほど直感が高いわけではないSQと沙明が嘘つき報告をしてくる時は、嘘の情報を流していることが多いです。グノーシアになった際も状況次第で身内を切ってくる、生存力が高い二人ならではの行動だと思います。


人間だと言え

○明確に「人間だ」と宣言しない→ステラ、シピ、オトメ

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 擬知体の端末であるステラ、猫になりたいシピ、人間になりたいイルカのオトメといった納得の顔ぶれです。オトメは自分が人間になりたいという話をする時に、「ステラさんやククルシカさんみたいに見た目だけでも人間になりたかった」と言うのですが、これは彼女たちの擬知体の端末、自律型の人形という正体に関わっている発言になります。そんな中で、身体言語と言えど「自分は人間だ」とにこやかに宣言できるククルシカの態度からは、人形に宿った彼女の人格の、自分は人間であるという明確な自意識が読み取れます。


グノーシア時の正気度

○人間の時の感覚を保っている→セツ、ジナ、シピ、沙明、夕里子

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 何度もグノーシアを経験しているセツ、全てにおいて達観した視点を持っている夕里子は「自分がグノーシアである」という事実を冷静に受け止めているように感じます。沙明は粘菌イベントが発生するのが彼がグノーシアの時、彼の昔話を聞けるのがグノーシア同士で一緒に生き残った時といったように、寧ろグノーシアの時の方が彼の本音を聞けるような印象です。仲間と一緒に人を消す苦しみを背負おうとするジナ、人を消すことを「そういう生き物だから」と言い訳できないシピは、人間の時の真っ当な感覚を保ちながら葛藤していると感じます。

○人間の時とあまり態度が変わらない→しげみち、コメット、オトメ

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 ノリが良い、親しみやすい三人がそのままシームレスにグノーシアをやっているイメージです。バグの時もいつも通りのテンションのしげみちやコメットが、同様にグノーシアとしても違和感や葛藤を感じることなく振る舞っているのは納得です。オトメがグノーシアであることを喜んでいるのは、孤立している役職のバグと違って仲間や友達といったオトメにとって大事な存在が身近にいることの他に、オトメがグノーシアで勝利した際の「グノーシアになったってことは、自分は人間なんですよね」という台詞から、オトメの根幹にある人間になりたいという思いがグノーシアになったことで肯定されているという思いもあるからではないかと思います。

○グノーシアになると色々と弾ける→SQ、ラキオ、ステラ、ジョナス、ククルシカ、レムナン

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 普段抑圧された思いを持っている人、元からちょっと大変なことになる素質がある人、影響されやすい人が揃っています。抑圧された環境に長い間置かれていて虐げられた経験がそのまま反転して攻撃性になっているレムナンの他、グノーシアになると頻繁に「船団や星系を陥れに行こう」「僕は自由なんだ」と言うラキオもまた、自身が置かれている超階級社会にずっと抱いていた不満が表に出ているように感じます。SQ、ククルシカはマナン周りのことを考えるとグノーシアになった時の大変さは納得です。また、元から少女や死体に関する嗜好がアブノーマルなジョナスも、グノースを少女の姿だと思い込んでいる、コールドスリープした体に何かしようとしている等、元々アブノーマルだった部分がグノーシアになったことで顕著になったという印象です。ステラは擬知体という汚染を素直に受け止めやすい性質が祟り、グノーシアになったときの変質が一番大きいと思います。


バグ勝利台詞

○悲しむ、謝る→セツ、ジナ、しげみち、シピ、オトメ、沙明

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 責任感の強い人、優しい人が自分が宇宙を壊す存在であることに責任を感じていることが多いです。しげみちは真面目な謝罪というよりは、いつもの議論で「投票する」に賛成する時と同じノリで「スマン宇宙! 成仏してくれ!」と言う辺りに彼のブレなさが見てとれるように思います。自分はバグで世界を壊してしまう、と認識している他のメンバーに比べ、沙明の未だに自分がこの宇宙を壊してしまうと信じられないような言葉からは、ある意味一番親近感を覚えます。

○楽しむ、肯定→ラキオ、ステラ、コメット、ジョナス、ククルシカ、レムナン、夕里子

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 世界自体に負の感情を持っているため世界が壊れることを喜ぶ人、グノーシア時に正気を保っていない人、どんな状況であっても現状を楽しめる人、考えが達観している人などが並びます。グノーシアになった際汚染の影響を強く受けている人たちが、バグになった際も宇宙の崩壊を肯定しているのは納得です。夕里子がグノーシアでもバグでもブレないのは、彼女の一段上にある視点の高さ故だと思います。いろんな意味で格が違う存在です。


AC主義者に対する反応

○お礼に消してあげる→ステラ、ククルシカ、レムナン

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 グノーシアやバグになった際の影響が特に顕著なステラ、無邪気故に「消してあげる」という発想が一番に思いつくククルシカ、自分は消えたいと思っているので消すことがお礼になると思っているレムナンの三人です。自身がバグの際に宇宙が崩壊することに心地よさを感じているレムナンが言う、「望んで消えられるなんて羨ましい」という言葉には並々ならぬ重みがあります。

○「これからもよろしく」等消さない意思を明確に示す→セツ、SQ、ラキオ、オトメ、沙明

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 セツの言う「これからもよろしく」は、グノーシアとAC主義者としてよろしく、という意味よりは「AC主義者として勝利できる頼もしいあなたと、これからもループを頑張っていきたい」という意味だと思われます。SQの「一緒に遊ぼう」「お楽しみはこれから」という言葉からは彼女の享楽的な性格が、ラキオの「これからも使ってあげる」という言葉からはグノーシアになった時特に顕著になる「気に入った相手、利用価値のありそうな相手は一緒に連れていきたがる」といった性質が見てとれます。何だかんだラキオは面倒見が良い......。オトメは先述した通り「仲間」「友達」といった存在に優しいため、AC主義者のこともグノーシア同士と同じ友達として認識しているのでしょう。沙明のお互い生存できたことを良かったと述べる様からは、彼の何が何でも生き残りたいという価値観がそのままAC主義者相手にも適用されているのが垣間見えます。


その他各キャラクターの言動に対する雑感

○セツ

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 主人公に対する少し気の抜けた話し方以外だと、論理立てて物事を考えているのが分かる話し方をしています。A=B、B=C、つまりA=Cといった思考のもとに話している感じです。
 また、エンジニアやドクターとして結果を報告する時の「情報を公開します」「私の方でも同様の結果が出ました」といった敬語の口調からは、軍人として報告は簡潔に、手短に行っていたのであろうセツの性質が見てとれます。役職に名乗り出てほしい時や何か発案する時の「――提案。」という言葉からも、まず簡潔に意見の要旨を述べるセツの口調が滲み出ています。
 セツが第一に考えているのは、本編中で彼女が言うように「全員を救いたい」ということです。それはループ全体に限った話ではなく、一度ずつのループの中でなるべく被害を抑えたいという思いにも繋がっています。そのため、セツは議論中敵を見つけ出すこと、人間を守ること、なるべく犠牲を出さないことに重きを置いた発言をします。被害者が出ずに朝を迎えた時の「そう……そう! 被害者ゼロ。お願い、このままで……」という嬉しそうな言葉や、協力関係を破棄する時の「これ以上、○○に協力することはできない。皆に危険が及ぶかもしれないからね」といった言葉からも、セツのなるべく被害を出さないようにしたいという思いは感じられます。
 そうして論理的に動くことが多く、個ではなく全の利益を考えて動くことができるセツだからこそ、彼女が好きな人を庇う時の「私は、○○を護るよ。たとえ……ううん、護りたいんだ」という、論理ではなく感情を優先する時の言葉は重みを持っているように思います。余談になりますが、セツが沙明を苦手としているのは汎である自分を女性扱いしてくることの他に、個の利益よりも全の利益を考えるセツと全の利益より個の利益を考える沙明では考え方が根本的に異なっている点にもあるのではないかと思います。

○ジナ

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 一見大人しい口調に見えますが、賛成、反対、怪しい、信じたいといった自分の意見が短い言葉の中でしっかりと述べられているのが特徴です。また、「全員排除しろ」に反対する時の「ヒトを犠牲にするのは最後の手段にしたい」といった言葉や、前日に誰かが消失した時に消失した人の存在を噛みしめるような言葉など、誰かが犠牲になるのを良しとしていない様子も数多く見られます。人間の犠牲を厭うのは、一般市民を守る軍人のセツや宇宙船に乗っている人々を守る管制官のジナの大きな特徴です。
 特記事項を開けて、彼女の人となりを知れば知るほど口数の少ない彼女の言動から優しさや勇敢さが伝わってくる、というのがジナの言動の何よりの魅力だと思います。そして、一緒にグノーシアとして生き残った時や好感度が高い時の夜会話などに見られる物静かな彼女が真っ直ぐこちらに向けてくる好意は、ジナの可愛らしさを一層引き立てています。

○SQ

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 軽いノリの物言いや蠱惑的な言い回し、何かしらの役になりきった発言をすることが多いです。「ハーイ先生! ○○君は自分の意見をゼンゼン言わなくて、怪しいと思いまーす!」「ヤッパ自分、○○組なんで……カシラの○○に付いていくっス!」といった言葉からは、SQの遊び心がうかがえます。「~だZE」「~なのDEATH」といった特殊な言葉遣いも大きな特徴です。良く言えば明るく可愛い、悪く言えば本音と嘘の区別がつきにくい物言いは、SQ本人が言うように「嘘つきっぽい」と他人に認識されそうなものでもあります。
 SQの口調が普段こういったものだからこそ、協力関係を結んで一緒に生き残った時の「ん……どう言えば伝えれるか、分かんないケド。あのね? ○○のコト、イイなって思うよ」や、夜会話で好感度が高い時の「えへへ……。○○、来てくれないカナーって思ってたトコだよ」といった真っ直ぐな好意の言葉の破壊力は随一です。そして何より、こういったSQへの印象を最高の方向に覆す恋愛イベントは秀逸なものだと思います。

○ラキオ

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 不機嫌な時はメッセージウィンドウいっぱいの長文ツイート(ツイートではない)をする傾向にあります。また、全体的に険のある物言いが大変多いです。「君が人間だってことは分かってるけど。君に人間と呼べる程度の知能があるかどうかが、まだ分からないンだよね」「そうだね○○。××を冷凍したがるような凡愚こそ、真っ先に消えて欲しいよね」「○○、無駄な発言は控えてくれないかな。君の存在自体が無駄に思えてくるからさ」等、口の悪さを挙げていけば枚挙に暇がありません。(二次創作する人は口調考えるの大変そうだなと個人的に思っている三銃士の一人です)
 また、好意を向ける時や信頼を向ける時の言葉がかなり分かりにくいです。同時に信用・信頼という理性と好意という感情の剥離が少ないのもラキオの言動の特徴になります。そのため他のキャラクターのような、「現状から鑑みて信用できないが好きだから信じたい」といった理性と感情が矛盾した言動はあまりありません。ラキオの信用している相手への台詞は、「僕の中で、君の評価が急降下してしまったじゃないか」(評価が急降下した、ということは元の評価は高かった)、「○○はミスを犯した。この僕の信用を失うのは当然だろう?」(信用を失った、ということは元々は信用していた)といったものになります。こういった分かりにくい信頼の表現は、ラキオのステータスに全く反映されないかわいげの一つだと思います。反対に、嫌いな人に対して「僕は君のことが嫌いらしいね」と客観的に自分の感情を理解した上で「嫌い」と告げるところからも、理性的な一面が見られます。
 個人的に最も驚いたのが、夜会話でラキオが最も好感度の高い時に言う台詞が「暇そうだね君。だったら僕の研究を手伝って貰おうか。ああ、その機材を横に――違う、その隣の奴だよ。それを――そっちじゃ無い! ああもう、出ていってくれない?」であることです。一見研究を手伝って主人公が怒られて追い返されただけに見える会話ですが、他の夜会話と違って主人公が自分に会いに来ることを「暇そうだね」と当然に受け入れている、他人に対してお世辞にも好意的とはいえないラキオが自分の研究を手伝わせようとしている、手伝いの指示をする言葉が心なしか気安い、といったように、よくよく見れば好感度が高いと分かる会話になっています。好意が分かりにくいものの確かに他人への好意がそこにあるラキオはやっぱりかわいげがなさ過ぎてかわいげがあります。
 また、先述したようにラキオはグノーシアになると普段あまり口にしない超階級国家への不満が発露します。グノーシアではない時でも、ラキオの自身が置かれている環境への不満は、特記事項に関係するイベントで口走る「グリーゼに生まれなかった君たちは運が良かった」という言葉からも読み取ることができます。ノーマルエンド後にクーデターを起こすのも納得といった感じです。

○ステラ

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 丁寧かつ論理的な物腰の柔らかい口調が大きな特徴です。「○○様を支持いたします」「○○様を疑う根拠は薄いですね」「○○様のリスク評価は、確かに無視できる値ではありません」といった普段の言葉遣いから、根拠やリスク、確率といった理性的なものを元に動いていることが分かります。ペンと手帳を持って発言を記録している彼女らしい立ち回りです。
 同時に、好意の影響が口調に最も出やすいのもステラの特徴です。普段順序立てた穏やかな言葉で話すステラは、好きな相手を庇う時「○○様……あなたを信じております。わたしは……○○様……」といった普段と異なる不安定な言葉遣いをしたり、好感度が高い時の夜会話では「わたしを訪ねてきて下さったのですか?嬉しい、○○様…...」と敬語が外れたりします。汎用台詞以外でも、「ステラはグノーシアに汚染され得る(人間と同じだ)」と伝える主人公に「嬉しい」「私は幸せになりたいの」と返すなど、好意や親愛が籠もった時には敬語が外れます。普段敬語を使っているキャラクターが何らかの状況でのみ敬語が外れるというのは、ベタながら思わず惹かれる演出です。男性主人公に対するモーションのかけ方やノーマルエンドでの彼女の結末を見てもステラは恋愛に強い憧れがあり、それがそのまま好意を示す時の分かりやすい行動に表れているのだと思います。反対に「嫌い」という感情はあまり表に出ないところに、彼女の優しさや人間に仕える擬知体という性質が見られるように思います。
 私が特に好きなのは、ステラは人型の端末に過ぎないため議論に参加しなくても良いと夕里子にステラが追い出された翌日、主人公とセツの説得により議論に参加することにしたステラと夕里子の会話です。「LeViを通して自分がグノーシア汚染されている可能性がある」と言うステラに、夕里子は「お前は自分がグノーシアか否か、自分でもわからないのか」と聞きます。それに対してステラは、「自分がグノーシアでない、と証明できないだけだ」と返し、夕里子はその答えに微笑んでステラの参加を認めます。これは、ステラが「グノーシア汚染されているかどうか分からないまま議論に参加しているのではなく、他の参加者と同様自分がグノーシアではないと証明できない状態だから自分も投票の対象になるべきだ」と、自分の意思で人間たちと同じ場に立っていると主張している言葉です。ステラがただ流されるまま議論に参加しているのではなく、明確に自分の意思を持って議論に参加しようと決めたから、夕里子はステラの参加を認めたのだと思います。穏やかなステラの芯の強さ、自分の意思を持ってそこに立っている人間に対し好感を抱く夕里子の性質がうかがえる、大好きな会話です。

○しげみち

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 好意を向ける時や弁護する時は勿論のこと、疑う時や嫌いな相手に対して発言する時も明るく気さくな口調で、端々から人の良さが滲み出ている言動が特徴です。役職が対立している相手に対しても「○○……オレがお前を倒してやる! 絶対に! 倒ーす!」といったコミカルな口調だったり、グノーシア同士で会話する時も「せっかくだし軍団結成しようぜ。オレ、グノースレッドな。お前何色がいい?」と話す等、どんな時でもこの口調や態度が変わることはありません。グノーシアになった途端豹変する、といったことが無い分しげみちの素直な性格がうかがえます。
 また、ゲーマーだったり現実の女性に恋をしたことがないということもあり、グノースレッドを名乗って軍団を結成しようとする、コールドスリープする人に「ヴァルハラで会おうぜ!」と声をかける、黙っている人を指摘する時に「隠しキャラ発見!」と言うなどサブカル系の趣味が垣間見られます。しかし分かりやすいオタクキャラとして描かれているわけでもなく、しげみちの愛嬌を底上げする程度の描写になっているのが絶妙なバランスです。
 その他に注目すべきは、協力関係を結んだ時の「オレ、あんま役に立たんかもしれんけど」という言葉や、誰かにかばわれた時の「こんなオレをお前……スマン、正直うれしいわ」という言葉、疑われた時の「イヤがられるのは慣れてるけどな……辛くないわけじゃないんだぞ?」という言葉などから見られる自己評価の低さです。これは卑屈というよりは、人の良さや特殊な外見によって嫌な思いを何度もしてきた経験からきている言葉だと思います。これがあるから何となく初手のしげみち投票が出来ないんだよな......。

○シピ

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 基本的に好青年な言動が多く、他人への嫌悪が分かりにくいのが特徴です。嫌っているのが分かりにくい割にかなり感情で動くため、突然変なところに疑いをかけ始めて驚かされることも間々あります。
 シピの嫌いな人への言葉は、疑いに同調する時の「俺も、○○は悪い意味で気になるっつーか、な」や、疑いを否定する時の「ははっ、そうカリカリすんなって」といった言葉です。言葉をなぞるだけだと嫌いかどうか分かりにくいのですが、議論での一連の行動に着目していると好き嫌いが結構はっきりしていることが分かります。こういった行動から、シピの「好きな時に好きなように生きていきたい」という猫らしい精神性や、自分の消滅がかかっている時でも好き嫌いといった感情を捨てられない情に厚い性格が読み取れるように思います。また、議論中に時々欠伸をする、一日目に議論を始める時に「遅くなっちまったな。悪ぃ悪ぃ」と寝過ごしたかのような発言をする、留守番として名乗り出る時に「出航までずっと部屋で爆睡してた」と言うところからも、好きな時に寝て過ごしたい気まぐれさが見られます。
 猫に対する思いが尋常ではないシピですが、基本的な性格は善良で優しいものです。シピが「嘘をついている」と報告した人へ投票した際に「誰だって好き好んで人を騙しているわけじゃないと思う」と言ったり、投票を始める時に「多数決って好きじゃねーんだけど、な」と言ったり、基本的に騙し騙されるといったことや少数派を多数派が押しつぶすといったことをあまりしたくないのだと思います。シピの自分の感情に正直な点は、たとえ少数派であっても自分の信じたいものを信じたい、自分の気持ちに嘘をつかないでいたいという普段の言動から見られる思いがそのまま反映されているように思います。彼が好きな人をかばう時の「たとえ○○が人間じゃなくても、俺は○○を信じてたと思う」という台詞からもその思いは見てとれますが、実際にこのシピの言葉をなぞるように「シピが人間じゃなくても主人公がシピを信じる(人間側の主人公が敵陣営のシピの嘘に気付いている状態で協力関係を結び、シピを勝利させる)」ことが条件になっている特殊イベントがあるところが、この言葉の重みを際立たせています。「人間の群れが怖い」と言いながら、人間側でもグノーシア側でも誰かを信じる気持ち、誰かを好きだと思う気持ち、誰かを嫌いだと思う気持ち、騙し騙されることを良しとしない気持ちを持ち続けているところが、ただの好青年では終わらないシピの魅力だと思います。

○コメット

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 直感と感情で自由に生きていることが分かる言動が多いです。直感がとにかく高いコメットの基本的な他人への判断基準は、「嘘をついているかどうか」になります。そのため誰かを疑う時の台詞は「なんかウソ臭い」「ウソっぽい」といったものであり、かばう時の台詞は「ウソついてないっぽい」「ウソを感じない」といったものになります。基本的な判断基準が嘘をついているかどうかになっているコメットだからこそ、好感度が高い時の夜会話での「○○ってさ、相当ホンモノっぽいんだよな。これでウソついてんだったら、もう僕の負けでいいや」という嘘をついていたとしてもあなたなら構わない、という親愛表現や、好きな相手をかばう時の「○○ってさ、なんかイイ匂いがするんだよな。お日様をしっかり浴びた雑草みたいな……」という嘘かどうかが関係ない好意の表現が愛おしいものに感じます。
 直感で生きていることもあり、論理的な思考をあまりしていないことが読み取れるのも特徴の一つです。確率的に怪しい人を疑う時の「えっと……
つまり○○がヤバ目ってことだよな?」というたどたどしい言葉や、人間判定が出た相手への「……アレ? 確か○○ってホンモノだったよね? ゴメンゴメン、半分忘れてた」といった言葉からも、理屈や記憶力といったものに頼った考えは苦手なのだろうと分かります。先述した協力関係を持ちかける台詞のように、ただ理論的な考えが苦手というだけでなくこういった自分の不足点をしっかり自覚しているところがコメットの魅力です。
 また、嫌いな相手やどうでもいい相手に対する対応が雑なのもコメットの特徴です。最も好感度が低い時の夜会話での「ああ○○、その辺気をつけなよ。罠かけたから。死ぬから」というとにかく雑な対応は、明確に避けられたり嫌いだと言われるよりも本当に嫌いなんだなと伝わってきて、胸にくるものがあります。また、協力を断る時や助けを求められたのを断る時のシンプルな拒否もコメットのどうでもいい相手へのドライさが見てとれます。好意を表す時も嫌悪を表す時も、感情に素直な性格が行動にそのまま表れているコメットらしい言動が私はとても好きです。

○ジョナス

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 詩的で難解な言い回しをすることが多く、ラキオに負けず劣らずメッセージウィンドウをいっぱいに使っていることが多いです。「ここが私のルビコン河、か」「打草驚蛇の計」といった聞き慣れない慣用句を使うこともあります。(二次創作する人は口調考えるの大変そうだなと個人的に思っている三銃士の一人です)ちなみにルビコン川とは渡ってはいけないとされていたにもかかわらずカエサルが軍隊を引き連れてローマへと向かうために渡った川のことであり、この故事から「ルビコン川を渡る」というのが「後戻りのできない重大な決断をする」という意味になっています。また、打草驚蛇の計とは草を打って蛇を驚かすという漢字の通り、あるものを懲らしめることで周囲に警告することのたとえです。
 ジョナスの言葉から垣間見られるのは、自身のかつての栄光に対する自負です。ジョナスはよく自分のことを「このジョナス」と称します。ラキオもよく「この僕を~するなんてね」といった言い回しをよく使いますが、これは自分自身に対する評価が一定以上高いため使う言い回しです。ジョナスの自負を支えているのは、やはり本編でも何度か言及される宇宙開拓の偉業でしょう。「現在のような宇宙転移の技術が無い時代に地球から宇宙開拓のため旅立った」という情報から見るに、彼が宇宙に旅立った千年前とはちょうど今私たちが生きている現代の時代だったのだと思います。現代において宇宙開拓のため旅立った人間となると、確かに彼は英雄と言って差し支えない存在です。また、グノーシアのキャラクターの多くが宇宙服を元にしたようなデザインの服を着ている中、ジョナスはプレイヤーにとって馴染みのある服装をしています。これは恐らく千年前の服装であり、今になってもこういった服装を好んで着ている点からも、彼の過去の栄光への自負が見られるように思います。
 ジョナスにとって過去の栄光が大きなアイデンティティの一つだと分かるのが、「絶対に敵だ」を受けた後の夜会話での台詞です。ジョナスは自分が人間の敵だと言われたことについて、「この私が人間の敵だとは! 笑わせてくれる!」と否定するように叫んだ後、それでも変わることのない自身が人間の敵という事実に「ならば聞け! 私は、わたし、は……何者なのだ?」と困惑し、自分自身を見失ってしまいます。人類の英雄、偉業を成し遂げた者として自らを定義していた彼が、人間の敵だと言われて自分を見失う様は、どうしようもない寂しさを感じます。

○ククルシカ

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 思わず「可愛い!!」と叫びたくなるような言動が多いです。協力を持ちかけられた時、好意を向けられた時、頼られた時の破壊力は並大抵のものではありません。また、嫌悪の感情が軽蔑という強い形で表れたり、協力や弁護を断る時にはっきりと拒絶を示す等、好意や親愛と同様に嫌悪や敵意も態度にかなり出やすくなっています。そして、グノーシアやバグになった際の人間の時と変わっていないようで確かに変わっている彼女の変質は、単なる純粋な美少女では収まらない魅力があります。
 ククルシカのどこか蠱惑的な魅力が詰まっているのが、お互いにグノーシア同士で今夜誰を消すべきかの相談をする時の会話と、その後ククルシカの望み通りの人を消した後のお礼の会話です。ククルシカは他のキャラクターのように「○○を消したらいいんじゃないか」という提案の形ではなく、(○○が危ないの。だから……と。今夜消す相手に、○○を選んで欲しいようだ)(お願い、××……。すがるように訴えかけてくる)といったように、縋ってお願いをしてくる形で相談をしてきます。こちらはグノーシアで、人間を消すという良くないことをしている筈なのに、こうして悲しそうに縋ってくるククルシカを見ているとまるで幼気な少女のために正しいことをしてあげているような倒錯的な気持ちになります。そして次の日、ククルシカの望み通りの人を消した時の(○○を消せたことが嬉しいのだろう。ククルシカの喜びが伝わってくる)(ちらり、とこちらを向いて、ククルシカは、少しだけ微笑んだ)というやりとりからは、二人で一緒に秘密の良くないことをしてしまったという背徳感が感じられます。
 人間側の時に可愛らしいというだけでなく、グノーシアの時もバグの時も変わらない無邪気で純粋故に恐ろしく魅力的に映る言動が、ククルシカというキャラクターの他に無い魅力だと思います。

○オトメ

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 ククルシカと同様、思わず「可愛い!!」と叫びたくなる言動が多いです。個人的に特に好きなのは、確率的に信頼できる人をかばう時の「だいじょうぶ率はけっこう高い」、好きな人が確率的に怪しい時疑いに同調する「え? あ、ほんとだ......」、好きな人をかばう時の「あたし……○○さんの音、うれしいです。聴いてると、シュキュワワッてなるの」、プレイヤーが絶対に敵だ判定をされた後の「このたびは、ごしゅうしょうさま?でした」等です。どれもこれも可愛すぎてめちゃくちゃになります。
 何もかもが可愛らしいオトメですが、ロジックのパラメーターが高いこともあり確率や論理を元にした言動も多いです。「バグがまだ残っているかもしれないから今はグノーシアに投票しない方が良い」という論理的なスキルである「投票するな」を教えてくれるのも彼女であり、ロジックが高いため心優しい彼女に一見似合わない「全員排除しろ」のスキルを使うこともできます。ただ可愛いだけでなく、しっかり計算して物事を考えられるところ、その上でどうしても優しさが上回ってしまうところがオトメの魅力の一つです。特に自身がグノーシアの時は、人間の時に特別目立つことがなかった「仲間をかばう」という行動が目立つようになります。論理的に考えれば仲間を切り捨てる、疑われている仲間を過剰に擁護しないというのもグノーシア側の重要な立ち回りの一つなのですが、それを見過ごせないところにオトメの優しさが見られます。反対にロジックが高いからこそ切り捨てる時は味方を容赦なく切り捨てるラキオや夕里子とはまた違った動き方です。
 人間の時も、グノーシアの時も、オトメは「仲間」「友達」といった関係を大切にしています。自身の生活している惑星について話す時も、「自分の仲間が沢山いる」と話し早く惑星に帰りたいことを話しています。好意を向けている人への言動が殊更優しく可愛いのは、その相手のことを大切な「仲間」「友達」と認識しているからだと思います。

○沙明

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 謎の英語が入り交じったりことわざが入り交じったり下半身直結発言が入り交じったりかと思えば突然スン......とテンションが下がったりするかなり特徴的な口調です。(二次創作する人は口調考えるの大変そうだなと個人的に思っている三銃士の一人です)特に誰かに対して攻撃的な意見を言っている時、誰かの意見の尻馬に乗っている時の沙明の発言は生き生きしているように思います。好きな人、信頼している人への言葉もどこか胡散臭かったりノリが軽いものが多いです。初めこそ耳触りの良くない印象を受けますが、聞いているうちに何だか楽しくなってくる不思議な魅力を持っている口調だとも思います。個人的に「おいおいお前ら、なにボンヤリしてんだよ?○○様の有り難いお言葉にヘイコラ従っとけって」、「投票前に根回しかよ。カーッさすが○○! ヤリ口がエグいっつーの。そりゃ豚みたいに従いますよ? 逆らうと後が怖ェし」、「○○の顔、よーく見てみろって。ほらな、詐欺師以外の何者でもねーだろ?」辺りが好きです。
 沙明のテンションが突然スン......と下がるのは、主に彼がグノーシアの時です。誰を消すか前日に相談する時、グノーシアとして沙明が勝利した時などに、いつものようなハイテンションで話を始めた後突然冷静な口調に戻ります。また、グノーシアになった時の彼の言葉から読み取れるのは「残った人間に手荒な真似はしたくない」「残った人間には自分がケリをつけておく」といったような、いたずらに人間を弄びたいわけではないという考えです。自分が生き残ることを最優先に考えており、自分が生き残るためなら他人を踏み台にすることにも躊躇いがない沙明ですが、自分の保身以上の目的を持って他人を傷つけることを良しとしているわけではないように感じます。こういった考えの根幹には、やはり沙明自身がいたずらな虐殺で大切な存在を失ってしまった過去を持っていることが関係しているのではないかとも思います。グノーシアになった時に普段の保身に特化した言動の根っこにあるものが見えるという、珍しいキャラクターです。また、こういった言動が顕著になるのは主にグノーシアになった時ですが、全員排除しろに反対する時の「……○○、分かってんのか? お前今、村ごと犯人を焼き殺せって言ってんだぜ?」という言葉、ドクターとしてコールドスリープした人を複数人調べその中に一人もグノーシアがいなかった時の「……やっちまったな。凍らせた奴全員、グノーシアじゃねーわ」という言葉からも読み取れます。ちなみに沙明が比較的真面目に話をしている時の台詞には謎の英語やカタカナ語や擬音があまり含まれていません。
 このように自分のことしか考えていない軽い奴、というだけでは決してないところが沙明の大きな魅力ですが、だからといって単なる「嫌な奴に見せかけた良い奴」というわけでもなく、ろくでもないところはしっかりろくでもないところが更なる魅力になっているキャラクターだと感じます。

○レムナン

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 全体的な口調から卑屈さ、自己評価の低さ、染みついた被虐者としての性質、それらに連なる他人への信頼度の低さ故の攻撃性と猜疑心が見てとれます。これらが最も分かりやすいのは夜会話で協力を持ちかけてくる時の一連の会話です。「協力したい」と普通の人が当たり前に言えることをどうしても言い出せないところ、それを言ってしまったことへの後悔からは生来の大人しい性格に加えて「自分なんかが協力したいと言ってしまった」という低い自己評価が滲み出ています。その後それを承諾された時の「何が狙いですか」という疑いからは「自分なんかが協力を受けてもらえるわけがない」という自意識の元、「自分なんかの協力を受けたからには何か狙いがあるに違いない」という他人を信頼していない気持ちが滲み出ています。そうして他人を疑っている、時に他人を攻撃する割にすぐに謝り、「頑張りますから許してください」と言うところに今までの虐げられてきた経験が出ています。何度聞いても単にお前が好きだから協力したいんだよ!!!!!!!!!!!!とどつき回したくなる会話です。
 卑屈な性格、被虐者としての性質、他人への警戒心が目立つレムナンの言動ですが、議論での疑い合いや騙し合いが関係無い、普段の何でもない会話から見られるのは彼が生来持っている優しさと年相応の好奇心です。擬知体について話す時、しげみちとジョナスのゲーム対戦を観戦する時、機械について話す時、ジョナスの偉業について詳しく聞きたがる時のレムナンの姿は、家族が好きで、ゲームが好きで、機械が好きで、英雄譚に夢を見る普通の少年の姿です。元々のレムナンは、擬知体に囲まれて育ったこともあり人見知りや他人に対する警戒心こそあったかもしれませんが、必要以上に卑屈でも他人を疑わずにはいられないような性格でもない、大人しくも優しい少年だったのだと思います。そんな彼が今のような性格になったのは、やはりマナンに虐げられてきた過去が彼にとって根深い傷になっているからなのだろうと思います。皮肉なことですが、レムナンの人生において彼女の存在は酷く大きいものだとレムナンの言動を見ていると感じさせられます。レムナンは大人しい印象から一転してグノーシアになった時やノーマルエンドで意外な攻撃性を見せますが、グノーシアになった時の自分を見下す人たちへの攻撃性は虐げられた経験の反転、ノーマルエンドの後日談で見られる執念深さはゲームや機械などの好きなものへの拘りがそのまま嫌いなものへの執念深さに反映されているのではないかと思います。

○夕里子

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 一段視点の高い発言、えも言われぬ格の高さが感じられる発言が多いです。夕里子自身も人間である筈なのですが、決選投票で結論が出なかった時の「人間に与えられた時間は、そろそろ尽きるようです」という言葉やコールドスリープされる時の「人間風情が……」といった言葉からは、人間というものを一つ上の目線から見ているかのような印象を受けます。これは彼女が星舟の巫女として人間を電脳化できる力を持っていること、その過程で人間というものの本質や在り方を見てきたことが由来しているのだと思います。また、自分のことを「この身」と言うのも視点の高さがうかがえる一人称です。その他に、夕里子は「幕引き」「終幕」「盤面」といったような、今の状況を舞台のように捉えている比喩表現をよく使います。本編でグノーシアについて「グノーシアなど人間と大して変わらない」と話していることからも、夕里子にとってはグノーシアと人間の互いの消滅がかかった現状すら、舞台の一つに過ぎないのだと感じられる言い方です。
 高いロジックと抗えない迫力を持っている彼女ですが、嫌悪や好意といった感情を思いの外シンプルに表現するのも大きな特徴です。信頼している相手にははっきりと「期待している」と告げ、協力関係を結んだ相手と一緒に生き残った時には「真にお前を従えることが出来れば良いのですが。そこまでは望むまい」とこれからも共に居られれば良いと思っていることを口にします。余談ですが、夕里子がこの時主人公に言う「……良い旅を」という言葉は、プレイヤーがゲームを始める時に性別や好きな色やステータスを設定してスタートボタンを押した時に表れるメッセージウィンドウに書かれている文章と同じものです。こういったメタ的な要素を持ち合わせているところは夕里子の底知れなさを引き上げている点なのですが、この「良い旅を」という言葉からは底知れなさ以上に共に協力し生き残った主人公への、そしてこれからもループを続けていくプレイヤーへの親愛が感じられます。私は一人のプレイヤーとして、夕里子のこの台詞が何度聞いても本当に大好きです。逆に嫌いな相手への態度も非常にシンプルで、好感度が低い時の夜会話での「去れ」という一言は正に取り尽くしまも無いといった感じです。議論での彼女の動き方は基本的に論理的で感情に動かされることはほぼありませんが、夕里子にも好き嫌いというものがあるんだなと何となく感慨深い気持ちになれます。


 グノーシアのキャラクターは、同じ状況にそれぞれの台詞が設定されていることでそれぞれの言動を見比べて各キャラクターの魅力を無限に読み取ることができる素敵な造形をしています。そして、同じ「疑う」「かばう」だけでも膨大な差分があることで、同じ台詞を何度繰り返していても彼らがまるで生きてそこで思考しているかのように感じられます。ループを繰り返す度に新たな魅力を見せてくれる彼らが大好きだなと色んな言動を今一度見つめ直して思いました。やっぱりこうして妄言を捏ねている時が一番オタクしてて良かった~!!って思います。楽しかった~!!!!!!



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