オトナ帝国の矛盾と限界について

オトナ帝国観返したけど、やはり何度観ても凄まじい映画だなと思う。

ただ、組織イエスタデイワンスモア(このネーミングセンスも神)のやはり無理があるところは、 懐かしさで時間を止めたように見せたとしても、時間は不可逆であるということなんだよな。

さらっと流れてるけど、野原一家が洗脳から解けた後、ノスタルジックな街の中を逃走するシーンでおばちゃんが家でカレーを作ってくれてるけど、
あれは本来ひろしやみさえの実の親であるべきなんだよな。
ただ(存命にしても)ヒロシとみさえの両親は用意できないから、"匂い"だけ持った知らないおばちゃんを出さざるを得なくて、それがイエスタデイワンスモアの計画の矛盾と限界。

まぁそのように虚構の世界にも限界や問題点はあるわけだけど、
10年後か20年後か、その限界が来るまで20世紀の思い出と一緒に人生を過ごすというのも、
今となっては悪くない気もしてしまうな。

過去の感想も見つかったので追記

@hiru_377 2018年5月12日

オトナ帝国の凄いところはめちゃくちゃたくさんあるんだけど、悪役のケンの設定の深さと、ノスタルジックの表現のレベルがとにかく高すぎて凄すぎる。 クレしんという媒体だから出来たし、映画公開のタイミングもバッチリだし、こんなんぶっちぎり1位だわ。

分かりやすい凄いところはもうめちゃくちゃみんな堪能してるから、今回だから俺が感じられた箇所といえば、「懐かしさの匂い」についてかな。 作中だと、ノスタルジーが強調されていて、皆過去の世界で止まった時を生きたいと思っているけど、懐しさは確かに魅力的だけどそんなに依存するほどかな?って思う部分もあって、

作中では「懐かしさの匂い」を散布することで大人を洗脳していたんだけど、今回俺がすごく引っ張られたのは、ノスタルジーの街で知らないおばあちゃん的な人に、「カレーができたよ」って言われるところなんだよね。 結局過去に回帰して変わらない日常を生きるということは

なくなった自分のかつての家族(おばあちゃんなど)ともう一度共に過ごせるということで、それは猛烈に魅力的だよなぁと思ってしまうね。 ヒロシは結局新しい今の家族を選んだ訳だけど、この辺は結構危ういラインだと思うね。 少なくとも現状現実がうまく行ってない人は過去に戻りたいと

思うんじゃないかなぁ。 いやぁ、ものすごい名作だわ。 クレしん映画で一番格好いい悪役はマカオとジョマだけど、別の意味でケンはかなり哀愁を背負っていていいよなぁ。 ラストで心中しようとするケンを、過去を持っているヒロシとみさえは止められないって場面も凄くいい。

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