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FIVE NEW OLDとして日本語を歌う。

どうも。お久しぶりです。

 7月17日に新曲“Vent“をリリースしてひと月。
10年目を迎える僕たちの新しい「風」を皆さんに届けるべく、
日本語詞の曲を書きました。

2nd Album “Emulsification”から約10ヶ月。
この曲を書くに至った経緯、そしてこの先のアルバムに向けて…。
回摘んでラジオ等で話しているけれど、改めて備忘録的にここに書き記しておこうと思います。


英語詞で歌ってきた理由、アジアツアーでの経験

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 どうして英語詞を選んだのだろう?
子供の頃から洋楽、洋画に囲まれて育った僕は英語が持つ音の響きに魅了された。世界中でツアーを行うミュージシャンはまさにヒーロー。
憧れの的で、「カッコいい!自分もこんな曲書けるようになりたい!」と思ったのが一番の理由だ。

一般的に、日本人は英語をあまり得意としない人種だろう。
僕自身も英語が母国語ではないし、ネイティブスピーカーの人に比べたら流暢とは言えない。
それでもHIROSHI少年は耳コピでStevie Wonderを覚えたりして、
「日本生まれ、日本育ちの僕でも世界で通用する音楽をやれるって証明したいんや!」という大和魂(?)を胸に抱いていました。
洋楽に馴染みのない日本の人にも海外の音楽を聴くきっかけになる、所謂「音楽の架け橋」になれたら…なんて一丁前に思ったりして。

 昨年の春、バンドを初めてからずっと夢だった海外ツアーが実現しました。
(音楽やり続けてよかった!)

アジアの国々を回る中で、英語詞で(国際言語として)メッセージが伝わるのを実感できたのは本当に嬉しかった。

「まさに子供の頃に思い描いていた夢の中にいる…!」

そんな実感と共にライブをしていると、その夢の中では思いも寄らなかった瞬間に出会った。

オーディエンスのみんなが時折織り交ぜていた日本語詞に沸き、喜んでくれているのがビシビシ伝わってきたのだ。
中国、台湾、タイ、どの国でも同じ感覚があって、終演後に話しかけてくれたファンの人達を通じて、僕の中で何かが変わろうとしていた。

「何語で歌ってるとか、あんま関係ないなぁ。」と。

そしてこんな気持ちが芽生えた。

「この日本語しか持たない『音』をもっと僕らの音楽で、世界で響かせてみたいな。」


“Emulsification”リリース&ツアーを終えて

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 そんな思いを持ち帰り、製作中だったアルバム“Emulsification”では、曲の世界観に新しい色を付ける様に、日本語の「音」を曲ごとに織り交ぜることにチャレンジした。

10周年を目前に控えたタイミングでの作品という事もあり、
「今までとこれからが溶け合う」
その瞬間を掴むようにアルバムを仕上げていった。
(アートワークにもその感じ出てるよね。マジ名盤だぜ。聴いてね。)

そしてライブも、今まで以上に、「自分達が何者なのか」という事をしっかり音に乗せて伝えられるようになったと思う。

FIVE NEW OLDは「日常をささやかに非日常へと変えていく」音楽なんだと。

 そして迎える10年目。

このアルバムツアーで「今までのFIVE NEW OLD」を終わらせて、
「新しいFIVE NEW OLD」を始めようと思った。
アジアツアーで感じた「日本語への想い」を形にしようと決心したのだ。

僕は同じことを繰り返すのが好きではない。
新しい場所へ向かいたくなる。
だから次は日本語で歌おうと思った。

もちろん不安もありました。
「きっと英語詞のまま歌う僕達が好きな人もいるだろう。」とかね。
僕だって嫌われたくないですもの。ハイ。

だけどそれでも自分の想いに挑戦しようと思えたのは、
あのツアーで僕等を信じて追いてきてくれるファンのみんながいる事を再確認できたからです。

みんな、ありがとう。

それに、日本語詞を聴いてみたいって人もいると思うし、自分たちの音楽や想いがより多くの人に届く可能性にワクワクしたんだぜっ。

日本語詞の難しさ

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 2020年、年明け。
誰もがオリンピックが開催されて賑わう日本を思い浮かべ、その未来に募るエネルギーが漂う中、僕達自身も10年目のアニバーサリーイヤーを駆け抜けるべく、みんなで準備を進めていた。

後に“Vent”となる曲を書いて
「10周年ライブでお披露目するぞー!」なんつって頑張っていた。
その中で日本語詞に改めて真っ向から向き合ってみて…。

「あれ…。なんやこれ…?(困惑)」

今までとは違う感覚に戸惑った。
 
 個人的な感覚なので共感してもらえるものなのか不安なのだけれど、

「言葉の音と意味の距離感が違う」と感じた。

どういう事かと言いますと、

僕は英語詞で書く場合、英語で書いてから、翻訳を付ける。
そのほうがメロディに自然とハマるし、言葉の音を大事にしたいと思っているからだ。

英語詞は作詞上(表現としての隠喩が多用される分)、言葉の持つ音と意味にある程度の距離があった。
要するに音に比重が置ける。

 ところが日本語詞ではその距離がより密接である為、意味の力が強い。
そうすると浮かんだ曲のイメージに寄り添う言葉を作詞してきた僕にとって、音と意味のバランスを上手く取ることが難しかった。

(※あくまで個人的な音楽的作詞上の感覚なので、日常会話だったり、バイリンガルの方などはまた違うと思います。)

めっちゃザックリいうと

「歌詞が伝わりやすい分、日本語の言葉選び難しぃ!」ってことです。(笑)

もちろん今までも伝えたい想いは歌の中に詰め込んできた。
僕達の音楽を聴いてくれる人は日本人の方が多いし、今まで以上に言葉の力がよりダイレクトにリスナーの人に伝わるでしょう。
(もちろん海外の人たちも沢山います。日本語を話せる方もいるでしょう。)

それ故に

「その言葉で、音楽で何を届けるのか。」

が改めて目の前に大きく立ちはだかり、答えが見つからないまま時間が過ぎていった。


当たり前が崩れた

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 コロナウイルスの影響は僕達の想像の遥か上を行き、当たり前だった暮らしが遠ざかってしまいました。

正直、2月の末ごろは「春にはライブもできるだろう。」と事の深刻さもあまり理解できずにいたのだけど、10周年のライブも大阪、東京公演共に延期するような状況になって、愕然とした。

今日、10月の大阪振替公演も再延期となりました。
また先延ばしになってしまってごめんなさい。ライブしてぇなぁ…。

 どうして「失って気づく大切さ」ばかりなのだろう?
この10年間曲を作って、ライブをするために国内外あちこちへ赴いてきた。
その当たり前だった日々が目の前から消えてしまって、どれだけ大切だったかを痛感する。

そんな緊急事態宣言後、自宅で過ごす時間の中、言葉が乗らないまま携帯のボイスメモに残された“Vent“のメロディを聴いた。

「その言葉で、音楽で何を届けるのか。」

が分かった気がした。

ライブが出来なくても、どこにいても音楽は僕等の側にあって、息が詰まるような自粛の日々にも喜びを運んでくれる。
たとえ会いに行けない日々だとしても、音は空気を伝って、風に乗って貴方に届く。

「この日常もささやかな幸せと共に楽しもう。」

この想いを今だからこそ日本語という「音=言葉」で歌いたいと思った。
今じゃなかったら、また少し違った歌になっていた気がする。

そんな中で生まれたのが”Vent”です。

Sha la la 風 走れば
心の隙間に吹き込む
喜びも 哀しみも 
青の空へ 舞い上がれ

探し集めた 言葉の欠片
出鱈目なメロディで
日々を飾ろう
建前ばかりじゃ 息苦しいな
誰も気づかない音で雨を降らそう

暗闇でそっと
探した明日がきっと
輝きを生むよ
新しい色の 
日常を駆け出せ

Sha la la 風 走れば
心の隙間に吹き込む
喜びも 哀しみも 
青の空へ 舞い上がれ

昨夜の隅で 取り残された
ほつれる時の糸に意味を括ろう

怠けた朝がやっと
重い夜を退かせばきっと
世界が名を呼ぶよ
さぁ、嘘を蹴散らせ

Sha la la 愛の歌を
心のリズムに乗せよう
街も 人の波も
ゆらゆら 揺れるや
Sha la la 風 走れば
心の隙間に吹き込む喜びも 哀しみも 
青の空へ 舞い上がれ

抱いた想いへ
その距離 飛び越せ

When the world is livin’ damn so loud
Tell me is there something I can do for you?
Shut em’ up and then let’s turn it up
This is something make us feel alive

Baby I will you take you to the moon
Anything can happen when I’m with you
And you know that it’s just a matter of time
We know who we are
So we won’t stop

 僕が歌詞を書いている間にメンバーが楽曲のアレンジをしてくれていて、バンドメンバーにも助けられました。(制作はほぼリモートでやってた。)

お気に入りはイントロに出てくるシンセブラスの音。
元々は生の管楽器を使っててんけど、
SHUNくんの「逆に今ほとんど使われてないシンセブラスってアリじゃない?」っていうアレンジが光りました。

この音のお陰で、MVの冒頭がフルハウス的演出になってます。
ダサかわいいよね(笑)。



これから

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 このVentのリリースにあたって、
最初に書いた通り、日本語も英語も掛け合わせ、よりグローバルに音楽活動をしていく為、ワーナーミュージック・ジャパン/CENTROに移籍しました。

メジャーデビューさせて頂いた、TOY‘S FACTORYの皆さんにも本当にお世話になりました。ありがとうございます!
ホルモン先輩の「拝啓 VAP殿」と同じ気持ちです。
新しい環境で新しい仲間に出会えることに感謝して変わらず頑張っていきます。

これをきっかけに国外での作品リリースや海外アーティストとのコラボなんかも増やしていけたらいいなと思っています。

子供の頃の夢にまた一歩近づいたぞ!という感じです。
どうぞ一緒にワクワクしてください。

名は体を表すと申しますが、
FIVE NEW OLDは

新しいものと古き良きものを掛け合わせて前に進んでいくバンドです。

今までを大切にしながら、これからも
「日常をささやかに非日常へと変えていく」音楽を。
また来年には次のアルバムが出るし、その中から次の新曲も近いうちに聴いてもらえると思うので、楽しみにしていて下さいね。

長くなりましたが、
ここまで読んで下さった方、どうもありがとう。

それではまた。


p.s. “Vent”をリズム隊が演奏した動画が出たから見てね!


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