刑事と鑑識
「ぶっちゃけホトケさん、ギャルだね」
「まあ・・・」
「やっぱり思った?・・・ホトケギャル」
「わからないですけどね、実際のとこ」
「いやいや、明らかにそうでしょ」
「・・・・・・」
「いわゆる地元ラブなDQNってやつ?ちょっと前の言い方すればさ。東大出てるキミからすれば底辺の人間ってことか」
「そんなこと思わないですって・・・ちょっと声大きくないですか?家族の人たちに聞こえますよ」
「そういう被害者って可哀想なのはこれだけ悲惨な事件であっても、ネット民は被害者の方に何かしらの落ち度みたいなものをみつけようとするんだよね。とくにニュース記事のコメント欄とかさ」
「そうかもしれないですけど、今ここで話すことではないですよ。ほら、被害者のお父さんがこっち睨んでますよ」
「なんで遅刻した?」
「・・・・」
「鑑識が刑事の後っておかしくない?被害者家族を見下してるとしか思えなくってさ」
「いえ・・・・」
「いっそ指紋検出してみようかなって思っちゃったわ。被害者の社会的なヒエラルキーによってキミは捜査を蔑ろにするってことでしょ?」
「そんなことないです」
「警察の中ではキミとボクって対等だよね?」
「はい・・・」
「キミが来るまでにいろいろ考えちゃったよ。世間って勧善懲悪っていう幻想にすがりたいんだなって。なにも悪くない人が殺されることに納得いかないんだろうね。でも実際はなにも悪いことをしていない人も分け隔てなく殺される時は殺されるんだなって。そんなことよりさっさと鑑識してもらえますか?」
「はい」