表現の自由

「ちょっとそのカメラなんですか?」
「動画撮ってる」
「撮ってどうするんですか?」
「ユーチューブに晒す」
「やめてください、これアナタの私利私欲のためにしてるんじゃないですか」
「違うよ、警察にさばけないこと俺たちがさばいてるんだよ」
「でも、この動画の再生回数がまわればアナタにお金が入るんですよね」
「そうだよ」
「僕にもその一部もらえる権利ありますよね?」
「バカじゃないの、無理に決まってんだろ?オマエ今なにしてっかわかってるの?」
「なにも悪いことしてません」
「してるわ!バカ!下半身丸出しで自販機に抱きついてる時点で完全アウトだろ!」
「これは僕の表現なんです。それを無許可で撮影されちゃ困ります」
「ただ露出してるだけだろ?」
「ほら、またこうやってとばっちりですよ。なにかと表現の自由って安易に言ってなんでもかんでも許され過ぎなんですよ。表現としうのはあくまで人を中傷するようなものではなくって、みんなが平和になるためのものではならないんです」
「こうやってオマエが今下半身を路上で晒していることは、他の人を不快にさせていることに関してはなんとも思わないわけ?」
「またそういやってコンプラだモラルだと間違った集団心理で不快という感覚の幅を狭めてるんですよ」
「下半身は不快だろ・・・その感覚が麻痺してるならなに言ってもいっしょかもだけどな」
「もういいです、アナタと話しても埒が明かないです」
「いやいや、どこ行くんだよ」
「警察に行きます!」
「?!・・・・じゃあ、ちょうど今俺呼んだから待ってろよ、とりあえずズボンあげろ」
「わかりました」